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アルバイシンの丘
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随想や意見,俳句(もどき)

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経済学のお勉強(2)供給と需要
 次に考えるべきは『供給と需要』についてだと思いました.というのは,『利潤=剰余価値』という説が否定されるためには,『富が増えないこと』が絶対の前提となるからです.
 早雲さんがお考えになる『供給と需要』では、『需要』が『供給活動』以上に膨れ上がることはなく,閉じた経済社会では決して利潤を上げられない,とされるのです。



従って,そこには利潤がないわけですから『剰余価値』もない,従って『搾取もない』ということになります.ところが,利潤自体は現実に存在しているので,その原資は『外国から持ってきた』とされるのだと思います.

2.『供給』と『需要』について

 それでは改めて早雲さんの説(S説)をまとめてみます.まずS説では,
 『供給』とは『生産活動に投下された通貨の総量』となります.その生産物は投下された通貨で買われるしかないのでその通貨量が『購買力』になり,それを『需要』と呼んでおられるのです.
 生産物がすべて売れても,最初に投下した通貨量以上の購買力はないから富は増えていない,従って,利潤の上げようがない,という論理だと思います.これを次のように言われます.
====
供給=需要であり、需要に向けて支払われた通貨は供給者に戻るという視点が重要です。 供給主体が給与を引き上げても、それは回り回りながら、自分のところに返ってくるのです。
====

言い換えると,経済活動のダイナミズムは次のようなベクトルの下に動く,という主張です.
 供給→需要
購買力(需要)は通貨が貯蓄に廻ったりするために常に供給よりは小さくなる可能性が高いのです.ということで次の不等式が成り立ちます.
 供給=>需要
これを繰り返すとどうなるでしょうか.それは経済の縮小再生産のスパイラルとなり,経済活動の停止に至る,と主張されるのです.この捉え方によれば,経済活動においては常に通貨不足の状態,すなわちデフレ圧力が常在していることになります.ですから常々,
『現在のデフレ不況は当然の結果であり,今のままではデフレ不況から逃れることはできない』 
と指摘されています.

 以上は私なりに理解した,S説における『供給と需要』の捉え方とそれが全体の論理に果たす役割です.(これでよろしかったでしょうか?)
 
 以下では,以上の捉え方に対する私の疑問,ないしは意見を書いてみます.これも身の程知らずの大変無謀な試みと思いますが,恥さらしを覚悟の上です.

 (1)外部との交易がなくとも富は増えることができるのでは?
 上の『供給と需要』の考え方には同意できません.閉じた経済社会でも経済拡大は可能と思われます.その一つの例が『子供がたくさん生まれるようになった国』です.私のコメント欄の記述(言い替えあり)を再掲しておきます.
=====
『子供がたくさん産まれるようになった国』を想定してみます。そこでは、直ちにミルク、オムツ、おもちゃ、等々、新たな需要がたくさん生じてきます。それにも拘らずそれまでの賃金ではそれらを買えないものとしましょう。
すると企業や政府(資本家側でも良い)はどうするでしょうか。賢明な戦略は,『子供手当』を新設して,『購買力増加』を図ることでしょう.企業側もそれを歓迎するはずです.なぜなら儲かる事が目に見えているからです。これはすなわち、購買力が増えたことを意味するはずです。つまり需要が供給をも押し上げる、ということになります。
問題は手当ての財源ですが、企業から取ること、賃金から取ること、の他に、『通貨量を増やす』という対応が可能と思います.いずれを選択するかは時の政府の賢明さ次第でしょうが,(中央銀行の機動的な采配によって)通貨量を増やすとすれば、『パイが大きくなった』=『経済は拡大した』といえます。この増えた通貨量は決してバブルではないと思います.
 ただし、これで問題はないと言ってるのではなく、『資本の論理の抱える矛盾』は相変わらず蓄積していきます。例えば『作りすぎ』の問題は常について廻ることでしょう。
=====

つまり,
需要が供給をも押し上げる,あるいは『需要→供給』というダイナミズムの存在が窺えます.もしそれが言えるとすれば利潤は国際交易がなくとも存在し,生産過程において生じる,と言うM説が有力になってきます.
 実際,需要→供給のダイナミズムはケインズ学の応用によるニューディール政策で示されたのではないでしょうか(ただし,こういう評価には自信がありませんが).そもそも『需要と供給』という言葉の意味がS説においてはぜんぜん違って用いられているのだと思います.(ケインズ学とM説では同じ意味だと思えます.)

 もう一つの経済拡大の例は,携帯電話を考えると分かりやすいでしょう.携帯電話はそういう製品が先にできて,あっという間に世界中に広まった,という例なわけですが,この場合も通常の意味で新たな需要が掘り起こされた,と考えられます.明らかに新たな経済活動が起こったわけで,『パイが大きくなった』,『需要→供給のダイナミズムが働いた』と言えると思います.

 (2)賃金の高低は

 供給活動に投下した資金の中には当然,賃金も含まれます.ところがその賃金で生産物を買ってくれるのだからいずれ自分(資本家)の所に戻る,だから,賃金の高低は(あまり)問題とはならないのだ,ということを上に引用した文で主張されています.
 しかし,これは事実に合わないのではないでしょうか.現実に資本家は賃金を低く抑えようとしますし,労働者は高い賃金を要求します.双方にとってそれはきわめて深刻な問題だと思われます.価格競争に負けないためにも低賃金は必要なはずです.
 もちろん,低賃金は購買力の低さにつながりますから戦略としても低賃金は最低なはずですが(現在はその最低の状況でしょう),経済規模が大きいと当面の自社の儲けだけに目が行きますので,『低賃金というまずい戦略』を自覚するには話が遠いのでしょう.

 (3)デフレ圧力とは

 私はこの部分はあまり自信がありません.その程度のこととして書いてみます.今のデフレ状況というのはひとえにグローバル化の悪影響ではないでしょうか.資本の論理として,原価となる人件費や材料費や生産費用は常に安い所流れていきます.今の新自由主義は特別ひどい状況と思われますが,全世界の搾取余地の大きい所へ向かい,競争力を大きくする力学が働きます.今のデフレ状態というのはグローバル化の途中で生じた特殊な状況ではないかと思うのです(自信はない!とキッパリ!)
 もしグローバル化が成功したらインフレの圧力に転化するのではないでしょうか.つまり,グローバル化がない状況(完了した状態も含め)では資本の論理(=自己増殖)としてインフレ圧力が常にかかっていると思えてなりません.

 この項の最後に,S説とM説の重大な相違について書いておかねばなりません.些細なこととは決して言えない,ということです.

 S説においては,A企業の労働者とB企業の労働者は常に対立関係となります.また,A国の労働者とB国の労働者との間にも対立関係が生じます.そして一企業において労働者は小遣い値上げを迫る宿六亭主の位置に落ちぶれてしまいます.
 一方のM説では資本主義に内包されている論理を科学的な推論で分析し,『労働者同士は対立関係にはないんだよ』 ということを知らせてくれました.

 これを偉大な業績といわずに何といえば良いのでしょう.
by papillon9999 | 2008-05-08 23:25 | Comments(13)
Commented by 愚樵 at 2008-05-09 06:14 x
私の方からpapillonさんに疑問を提示させてもらいますね。

>『子供がたくさん産まれるようになった国』を想定してみます。・・・、新たな需要がたくさん生じてきます。それにも拘らずそれまでの賃金ではそれらを買えないものとしましょう。
すると企業や政府(資本家側でも良い)はどうするでしょうか。賢明な戦略は,『子供手当』を新設して,『購買力増加』を図ることでしょう.

その『子供手当』の原資がどこから出てくるのか? ここが疑問です。原資は湧いて出てはきません。どこからか供給されます。税金から供給されるにしても、税金はまた国民から供給されます。

利潤のない世界では、『子供手当』は富の再分配に過ぎません。新たな需要は別の需要を抑えることで可能になる。もし、新たな需要が新たな供給を生み出したとなると、その供給の原資はどこから出てくるのでしょう?
Commented by papillon9999 at 2008-05-09 09:46
愚樵さん,コメントありがとうございます.

子供手当の原資は青色部分に書いておりますが,中央銀行による通貨供給量の増大です.
この増えた通貨量は実需の裏づけがあって,バブルではありません.従って富の再配分でもないと思います.
Commented by 愚樵 at 2008-05-09 18:42 x
ああ、ごめんなさい。ちゃんと書いてありましたね m(_ _)m

>この増えた通貨量は実需の裏づけがあって,バブルではありません.

実需は増えました。それは理解できます。けれど、実供給はどこから来るのでしょう? 「原資」というのは、そういう意味だと捉えなおしてください。

需要が増加。これは議論の前提ですからOKです。需要にあわせて通貨も増加。これは政策で実施できます。しかし、増えた通貨に見合うだけの供給がなければ、貨幣価値が下がり物価が上昇するだけの話です。この供給は、今の日本で考えると、輸入に頼るしかないのではないでしょうか?
Commented by papillon9999 at 2008-05-09 18:55
もちろん,工場で生産するのですよ.携帯電話でもオムツでも,必要なだけの量の品物を供給するのです.その商品は作ったら売れるのです.だから,増えた通貨というのはきちんと品物で消費されるのです.
今の場合,工場が外国にあるか国内にあるかは無関係です.工場が国内にある,そういう国を想定すればいいからです.
Commented by 愚樵 at 2008-05-09 20:31 x
>もちろん,工場で生産する

またまた失礼しました。その通りですね。そしてM説によると、労働者の労働によって生産されるのですね。

さて、では、そのお答えに対してさらに疑問を。

工場が国内にあると想定したとして、その原材料やエネルギーはどこから供給されるのでしょう? ここでも一応、国内から供給されるとしましょうか。原材料等の供給余力があれば原材料は労働により生産・供給され、需要を満たします。では、供給余力がない場合はどうですか?
Commented by papillon9999 at 2008-05-09 20:58
もちろん,地球上のどこかから持ってこないとできませんね.地球上のどこにもなければ品物はできませんね.
Commented by 愚樵 at 2008-05-10 04:42 x
ですよね。海外からの輸入になる。

papillonさんの理論に従うと、まず需要があって、通貨が増加。海外から持ち込まれた供給(の元)には増加した通貨で輸出国に支払いをするわけです。

輸出国(A国としましょう)に渡った通貨は借金です。この借金は当然、A国の需要を満たすことが出来る。輸入国(日本としましょう)から購入できるわけです。

A国と日本が同量の通貨で製品を交換します。労働価値説によるならA国、日本双方の労働量は同じです。ですが供給(の元)で考えれば、同じ通貨量でも日本>A国です。A国の供給は減少します。

いうまでもありませんが、ここでは資本家の搾取はカウントに入っていません。資本家が搾取しなくても、同じ労働量でも、A国の供給は減少するんです。
Commented by papillon9999 at 2008-05-10 09:48
なんかタメにする議論ですね.この例は内部発熱の存在を言いたいのですからワンワールドで考えていいのですよ.または世界中にも携帯電話の需要があると考えてもいいのですよ.
念のためですが,これはパピヨンの理論なんてものじゃないと思いますよ.経済分析の際の常識を私がつたない例で追認したに過ぎません.
Commented by 愚樵 at 2008-05-10 20:36 x
内部発熱をするにだって、エネルギー源は必要なんですけど。無から有は生まれません。経済だって同じことです。

供給が日本>A国になるのは、有の性質に因るんです。熱力学の第2法則。エントロピー拡大の法則。有である供給は、手を加えられ何物かに生産されるたびに減少していく。時間と共に減少していく。これが実在の存在である有=財にかかる絶対の法則なんです。

ところが貨幣も、それからM説による労働も、ともに概念に過ぎません。概念は財の流れから見ると無ですから、減少しません。だから同じ貨幣量、同じ労働量でも財は減少するという事態が起こる。

これは経済活動内における物理法則と人間概念の相克からおこる、必然の現象なんです。
Commented by papillon9999 at 2008-05-10 21:13
『子供がたくさん生まれる国』というのはまさに『無から有』のモデルです.子供を『生産』するためには『供給活動が必要か』と問われればどうお答えになりますか?
生物学的には父と母の『ある活動』は必要でしょうが,『経済活動』は不要ですよね.

愚樵さんたちの重農主義にしても,自然に(つまり経済活動とは無関係に)有用物が得られるということで,富が増える(唯一の)装置とされたのでしょう?
水産資源にしたって,急に増えたりしたら幸運としか言いようがなく,経済活動とは関係ありません.
しかし,そこに,より効率的に多くの水産資源や農作物を得ようとしたら,それは経済活動の一環となります(産業の一つ).

こういうことで,経済活動的には『無から有』を生じることがあり,それが経済活動に対しては『熱源』となって内部発熱モデルと考えることができるわけです.
Commented at 2008-05-10 23:42
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 愚樵 at 2008-05-11 05:35 x
>子供を『生産』するためには『供給活動が必要か』と問われればどうお答えになりますか?

もちろん、必要、と答えます。子どもの生産どころか、人間の生存には供給が欠かせません。自然環境(外部)からの供給です。

経済活動は、供給に余剰が生まれたことから発生したものです。子どもがたくさん生まれると、当然のことながら余剰は減り、経済活動に影響がでます。

経済活動とは、その活動の媒介に人間の概念がどのように絡もうとも、つまるところはモノやエネルギーの交換活動でしかありません。無から有が生じることはありえません。今、私たちの経済活動が無から有を生じさせているように感じられるのは、石油資源など、過去の地球の蓄積を消費しているからに過ぎませんし、それはまもなく底を着きます。

>より効率的に多くの水産資源や農作物を得ようとしたら

いえいえ、より効率的に生産することは原理的に不可能です。熱力学第2法則がそれを示しています。「より効率的」というとき、私たちは人間が勝手に作り上げた基準で持って効率的といっているに過ぎません。外部(自然)からの供給は、人間が「効率的」に使おうとすればするするほど、非効率的に消費されます。
Commented by papillon9999 at 2008-05-11 07:17
愚樵さん

論点がずれてきているのを感じます.それは次のような言葉において,意味や文脈がお互いに違う所で話をしているからです.

『供給』,『まもなく底をつく』,『無から有』,『効率的に』.『熱力学第2法則』

等々です.しばらく時間を置きましょう.