９．１１陰謀説？（10）平和運動と陰謀説

　このシリーズは陰謀説支持派からの強烈な反論がこない限り，これで一段落とする．早く猫遍歴の記事を書き上げなくては，薩摩長州さんに見限られてしまう．
　とにかく，一段落するためのまとめの意味で，この記事では各論ではなく，９．１１陰謀説自体が図らずも内包している危険な意味，という総論的な考察を改めてここに書いておく．
（「陰謀説は市民を疑惑の眼で見ることだ」を改題しました．）



　ブッシュ一味の自作自演説の内包する危険な側面のいくつかは既に書いた．この中で，まやかしの平和主義者たち（きくちゆみさんや中丸薫さん）の『金儲け』を一生懸命に手伝っていることになる側面，とナイーブな平和主義者達が簡単に騙され乗せられる，という側面が最も大きなものであろう．
　ここではもう一つ別の側面を指摘して一段落のまとめとしたい．
　私は改めて断っておくが（私だけでなく自作自演説に懐疑的な多くの人も）世に陰謀はないと思っているわけではない．いや，必ずあると信じている．ブッシュとチェイニーがしょっちゅう，こそこそと陰謀を企んでいるだろうことも信じているし，ロスチャイルド家やロックフェラー家などがひょっとしたら世紀の大陰謀を企てているのかもしれない，と眉唾ながらも一応警戒はしている．従って，ブッシュ攻撃大いに結構，ロックフェラー家への疑惑だって書くことは自由だ（でもどうして陰謀が外に漏れるのだろう？【注１，２】）
　しかしながら，こんだけの連載記事をしつこく続けてきてわかったのは（初めからそう思っているのだが），そういう『ブッシュ攻撃』と『ブッシュ一味の自作自演説を唱えること』は全く意味の違うことだ，『自作自演説』を『ブッシュ攻撃の延長』だと思ってはいけない，ということを訴えたいのである．一体何が決定的に違うのだろうか？

　それはインサイダーの範囲である．ブッシュ攻撃はブッシュ個人への攻撃であり，あれだけの悪業をやったのだから，きわめてまっとうで正しいことと信じる．しかし，自作自演説はブッシュだけではなく，一般市民（消防士や爆破の仕掛け人やパイロットやひょっとしたら犠牲者自身，その遺族たちも）も悪者になる，ということである．９．１１陰謀説は，インサイダーとしてここまで含めないと成り立たないストーリーの宿命を持っている．
　では『一般市民も悪者になる』，と考えることがなぜ問題なのだろうか．それは単に道義的に反する，という意味ではないのである．それは，

　『米国人なら一般市民もそういうことをやりかねない』ということを信じることになる

からである．ではさらに，これがなぜ問題なのか．これは金正日体制が信用ならん，となればその国民全体を色眼鏡で見る，ということに繋がる．中国指導者層は信用ならん，となれば中国国民のやることなすこと，すべて陰謀に見えてしまう，ということにつながる．アラブ諸国に対しても同じこと，イスラエルに対しても同じこと．上の「　」の中の『米国人』をこれらの国に置き換えてみてほしい．いかに危険かわかるだろう．
　こういう態度，風潮は平和運動にとってきわめてマイナスだ．ということに気が付くべきである．どの国の市民であっても，そこの市民とは信頼感で結ばれていなければ，支配者層同士が険悪になればあっという間に戦争気分に突入してしまうではないか．こういう危険性は，平和勢力の側に立っていると自認する人であればよく納得できるはずである．
　ずっと言って来たが，『真の敵は自分の国にいる好戦的な支配層である』．ということを思い起こせば，『米国人なら一般市民もそういうことをやりかねない』と信じることがいかに逆方向で危険なことかわかろうというものだ．その中には反ブッシュ，親ブッシュ両方いることだろう．しかし，どちらも自国民をテロで虐殺するような市民であるとあなたはホントに信じるのだろうか．

　このように考えると，私が『悪意ある』と表現している，きくちゆみさんのようなプロモーター達がとんでもないシロモノだということがわかる．きくちゆみさんは何をやっているかご存知だろうか？なんと

　『平和省プロジェクト』

こんなもの，毒にも薬にもならない，と私は思っているが，まあ邪魔する気はない．しかし，このようなプロジェクトこそ，各国の市民レベルの連帯感，信頼感が基礎になるのではないか．それを推進する人であれば人一倍，市民同士の連帯感・信頼感に心をくばるべきではないか．そのような人が平気で『９．１１陰謀説』を大々的にプロモートするのである．鈍感でなければ詐欺師か偽善者であると言いたい．
　このような浅墓なセンスの人にわが国の平和運動はリードされようとしているのだ，いかにレベルが低いか思い知るべきである．きくちゆみさんを素朴に信奉しているア・ナ・タ！

　【後で追記】　このような考えは，仲＠ukiuki さんが既に書かれた記事，「陰謀論」と平和運動、レイシズム　と相通じるのではないだろうか．

　ついでながら，天木直人さんのブログを見て，うーんと唸ったことがある．そこのトップページに，ベンジャミンフルフォードさんの「お知らせ」があったのだ．そのお知らせとは

＝＝＝＝ここから引用（公平のためすべて引用する）＝＝＝＝
　「September 10, 2007
新たに証拠続出、９．１１偽テロの６年目の真実ＤＶＤ９．１１は偽テロであるとわかっていても、誰がなんの目的のためにやったか？という疑問を持つ方、また９．１１が未だに本当のテロだと信じている方にも、是非みていただきたい最新証拠映像、解説付きのＤＶＤをつくりました。
最新の９．１１の証拠映像（ＢＢＣ放送が、ビル崩壊前に崩壊したと報道したでっちあげ証拠映像含む）と、過去の偽テロの歴史と、秘密結社の秘密会議の特別映像などが入っています。
多くの方に見ていただき、真実を知っていただき、目を覚ましていただきたいです。

商品名：「９．１１六年目の真実」ＤＶＤ
販売価格：２０００円（送料込み）
※尚、いただいた代金はベンジャミンフルフォードの活動費用（取材費用、今後よりコンテンツの高いサイトを作るための費用）に充てさせていただきます。

購入方法：下記宛に振り込みが完了したら、振込み完了日時、氏名、住所、連絡先を明記の上、
メール（benjaminoffice88@gmail.com）にてお申し込み下さい。

振込先：三菱東京ＵＦＪ銀行
高円寺支店
普０７２４１４９
ベンジアミン　フルフォード
※名義人は“ベンジアミン　フルフォード”となっており“ベンジャミン”ではございません。
振込みの確認が取れ次第、順次発送いたします。
お問い合わせ：　ベンジャミンフルフォード事務所
　（benjaminoffice88@gmail.com）
古歩道ベンジャミン
＝＝＝＝ここまで引用＝＝＝＝

　これを見てあなたはどうお感じになりますか？私は次のように感じました．

　これはまるで企業情報，お得情報の宣伝・販売ではないですかね．「この情報がほしかったら２０００円出しなさい」，という態度ですよね．
　『９．１１の新しい証拠』？誰が集めた証拠か知らないが，そういうものを商売の道具にするとはね．９．１１の真相も，きっと自分の個人所有の特許情報となるのだろう．ジャーナリズムの欠けらもない．いずれ，次の宣伝文句を見る日が来るかもしれない．
　
　真相を知りたい人は○○円必要です！

　みなさん，認識を新たにしましょう．平和販売業は儲かるんですよぉ！

【注１】　　例えば，マクドナルドが全世界の食文化をハンバーガーで支配しようという野望を抱いた時，それは『陰謀』なのだろうか？それは『戦略』というカテゴリーのものではないだろうか．
尤も，それは全世界にとってきわめて迷惑千万な話で，大それた傲慢な姿勢なんだけども，その迷惑さと「陰謀」とは元々無関係の概念ではないだろうか．この種の混同も見られるようだ．
【注２】　　　ロックフェラー家が歴史上ずっと人類支配の野望を抱いてきたかどうか，というのはロックフェラー家しか知らないことだ．それがなぜ外に漏れるのか，を考えてみた．
　歴代の誰かが，そういう特権的な大それた野望，に心を痛め，ロックフェラー家から自ら出て一介の市民として生きる，という奇特な一員が出現しないとも限らない．もし，一家だけしか知らない野望が外に漏れたとしたら，そういう正義感に燃えた反骨者による『内部告発』の可能性がなきにしもあらずだ，
　という馬鹿な考えしか思いつかなかった．