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続・赤木智弘さん
2007年 11月 29日
前回の記事で赤木さんの『貧相な戦争観』を指摘した.つまり,赤木さんの戦争観は『硬直化した社会を再び円滑に流動させるため』の必要悪という観点と『戦争の方が尊厳を持って死ねる』という二つに集約されるのである.こんなものではとてもとても『希望は戦争』という言葉の重みに耐えられない,と.こういう貧弱さは本人の社会的責任に帰するが,後で触れる.
dr.stoneflyさんは,これに関して『「死生観」がこんな程度で語られることに力が抜けます』,布引さんは『戦争の本質論を語ろうとしない』,愚樵さんは『戦争が固定化した社会を流動化させると思い込んでいること。このあたり、戦国時代の「下克上」のあたりの古臭い戦争観でしかなく、近代以降の戦争がむしろ社会を固定化させるために引き起こされるものだということ理解していれば、どう考えても戦争と希望とは結びつきようがないはずなんですが』などと書いてくださった.いずれも私の記事を補強して戴いた内容だと思う. 2.自己責任と自己の社会的責任について 次に指摘したいのが,『自己責任』と『自己の社会的責任』についてである.赤木さんのウェブ記事のタイトル,『「けっきょく、「自己責任」 ですか」』という時の「自己責任」というのは何をさしているのだろうか.赤木さんに反論した論者達は,一言も『赤木さん,あなたの自己責任だよ』とは言ってないようである.それなのに,このタイトルにある「結局,自己責任で済ませるのですか」という意味を含ませるのはどういうことなのだろうか.ウェブ記事を読んだだけでは実はわからなかった. ご本人はどうも新自由主義者の言う『自己責任論』というものを,誰が主張しているのか区別せずに議論したがっている節がある.これはすなわち,赤木さんのような格差被害者からみれば,「安定労働者」となっている者はたとえ新自由主義に反対していても『同じ穴のむじな』に見えるだろうからだ.そのことはウェブ記事にも怨嗟の言葉となって連ねられている.それはある意味,仕方のないこととは思う.愚樵さんがコメントで指摘された,『赤木さんから見れば,Pappilon(私のこと)と内田さんも似ているように見えるのかもしれない』ということに繋がるのだろう.しかし,以下に書くように,私はこれも一つの社会的責任を果たしていない,という批判が可能と思っている. まず,新自由主義者のいう『自己責任』について確認しておかねばならないだろう.これを一般的にいえば,『本人の責任ではないことを理由として格差を押し付けること』とでも言うしかない.しかし,これでは何のことかわからないので,具体例で考えるのがいいが,発想を逆にしてまず『自己責任でやらねばならないこと」を考えてみよう. ・大学の単位を取得するため授業をまじめに受講する.まじめに受講しなくても己の勝手だが,その所為で単位を取れなくても文句は言うな! ・毎日,仕事に行かずにパチンコ通い.そのため欠勤が多くなり減給・首切り.生活費の使い込みでサラ金.(こういう人たちの社会的救済は別途考える要あり) ・NTT株売り出しで,これを買って大損.(こういう宣伝をした国の責任は別途追求) ・スピードの出し過ぎでカーブを曲がりきれず,ガードレールに激突,即死. ・子供に義務教育を受けさせること.ある水準以上の収入があれば,給食費と学費はきちんと払うこと.それをやらない時は財産差し押さえ.文句は言わせん. ・医師になりたいなら医師の免許を取るため大学へ行って勉強すること.それをやらなくて医師になれなくても文句は言うな. ・コンピュータのUNIXの技術を一生懸命勉強した.しかし,一般にUNIXは使われなくなって,せっかく勉強した技術が無駄になった.これは勉強し直すしかないです. ・東京大学を優秀な成績で卒業して,当時最も旬であった石炭産業に就職した.しかし,石炭斜陽化で会社が儲からなくなって,成績が下の同級生に負けてしまった.どうしてくれる! これはその会社が元気なうちに次の手を打たなかったあなたの責任.任天堂を見よ.花札から見事に脱皮している.石炭になびいたというと今で言えば自動車会社になびくのと同じかな?今調子いいと思って自動車に就職して,あとでどうなっても自己責任ですよ. もうひねり出すのが疲れたので,その逆を考えよう.これが『許されない自己責任論』と言える. ・親の収入が少ないためにいい教育を受けられない,という場合.(塾に行けない,というのは除外するが,東京大学に通う学費が出せない,というのは格差に当てはまる.) ・労働中に災害に遭った時,下請け会社員の救助と正規社員の救助に差がある場合.また受ける治療に差がある場合. ・労働賃金の単価に差があるのはある程度致し方ない.経験年数と会社の払える体力に依存する方がむしろベターかもしれない.しかし,法的に最低賃金のようなものを質の高いものとして設定する必要がある.例えば今の2倍くらい.その分,正規雇用の単価が安くなるだろう.【注1】 ・いわゆるキャリア制度.学歴や学閥で,仕事の機会や職階に制限があること.これは昔からある古典的格差. ・うーん,ひねり出すのも時間がかかるなあ.コメントでいろいろ募集しようか. ということで,捻り出すのは今のところこれくらいにしておく.出て来次第,順次追加することにしよう.要するに,大事なことは上の二つの『自己責任論』は質が違っている,ということだ.これらを混同すべきではないし,だれも赤木さんに突きつけて非難しているわけではない. 私が問い質したいのは次のようなことだ.これは『個人が持つべき社会的責任』と言えると思う.この責任は持たなくてもいいが,持たない人は社会に対して文句を言える立場ではない,ということ.赤木さんはたとえば ・20歳になってからずっと投票に行ったのだろうか ・国の官僚機構が税金掠奪システムを隠していることを知っているのだろうか ・健康弱者についてどれだけ関心を持つことができたのだろうか(【注2】) ・公害問題が環境問題にスリ替えられて個別の責任があいまいにされたのを知っているのだろうか ・竹中平蔵が巨額の不正蓄財をやったことを知っているのだろうか ・こういうことが格差社会を造り上げたという原因結果を理解できているのだろうか ・まだまだい~~~~~~っぱいある.ここも例のご教示お願いしま~~す. それらを全部理解した上で言っているのだろうか.理解している?そうでしょう.赤木さんほどの人なら理解できてないはずがない. しかし,である.論理的には以下に示すように,理解して知っていても知らないでいても赤木さんの責任は逃れられないのだ. 知っていたとしよう.すると,知っていたくせに今の状態にしてしまった責任と言うのは少なくとも私の何分の一かはある.フリーターだから知っていても何もできなかったと言うのか?そうか.でも親に食わせてもらっていただろう(【注3】).私の何分の一かの時間がなかったとは言わせない.誰でも生きることに一杯なのだ(私でも). 知らなかったとしよう.すると,そういうことに対してなんら関心を持っていなかったことになる.学生時代は何をしたのだろう.何かをしないといけない,と言うつもりはないが,それだったら今になって『戦争してくれ』という言い方はやめて欲しい.道連れにするな. 要するに,赤木さん自身にもいくばくかの責任,というものがあるはずなのだ.それを一顧だにせず,ただの攻撃.しかもそれは『格差社会の元凶への攻撃』,『癌病巣への攻撃』ではなくて単なる『破壊,がらがらポンへの憧れ』なのである.これらを混同するな.私が石原慎太郎を似ていると持ってきたのは,こういうところなのだ.これは単に『甘ったれ大人』でしかない.格差の被害者にしては軽すぎる. とはいえ,赤木さんの糾弾も凄い所がある.私も声を大にして言いたいことでもある.この指摘は鋭いものがあるが,残念ながら単に指摘に留まっている.我々がそれらを汲み取ることも必要だと思う.ということで,今回はここで切って,次回に回す.ふうー,思った以上に長くなった・・ 【注1】 正規・非正規の 【注2】 関心を持つ,ということについては慎重な考え方が必要である.例えば水俣病に同情した(関心を持った)ということだけで免罪にならないのは言うまでもない.ここではそのレベル以前のこととする(関心を持つだけでもよしとする).現実に,すべてのことに対して行動はできない.すべて偽善で片付けては元も子もない.ここでは赤木さんが偽善だと言っているわけではない. 【注3】 親の世代が自立して暮らせる,ということは子供の世代にとってもとても助かることなのだ.これをよく,世代間の戦争,などという人がいるがとんでもない.子供の世代が安心して自分の家族だけの生活に専念できるのは(たとえ安月給でも),親が自立して暮らせるからなのだ.これはどこかに既に書いた.今は,その安月給さえ手に入らない.これこそが格差社会の根本問題なのだと思う.
by papillon9999
| 2007-11-29 00:47
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Comments(11)
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>正規・非正規の区別自体,ないのが当たり前
言葉が混乱しています。 正規・非正規の『差別』が良くないのであって、『区別』は当然。 性質の違う両者の区別を無くすことこそ、差別に他ならない。 例えば男女差別はいけないが、区別は当然なけらばいけない。 国籍差別、人種差別は違法だが、在日外国人や外国系日本人に対する出身国の歴史や言葉、文化等の特別教育を実施しなけらばいけない。区別せず一般日本人扱いは、其れこそ差別を誘発する。 キャリア幹部職員と正規雇用労働者の差別はいけないが、区別が無いといけない。 例えば幹部職員の遠隔地への移動は当然でも、一般労働者が関東から九州勤務に移動は簡単に許すべきでない。 自己責任は元々株等の金融取引用語。 株を買うかどうかは個人の自由(自由な選択が可能)。よって株取引による損失は自己責任。 100%判断能力(責任能力)の有る個人の、100%自由な選択の結果だけに個人の責任が問われる。 それで心神喪失者の犯罪は免責され少年犯罪は減刑される訳です 。
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なるほど,良く納得できます.最初の”区別”は”存在”,後の”区別”は”差別”に訂正します.ただ,”正規と非正規の両方の”存在”は必要なのか,必要悪なのか,仕方ないのか,なくすべきなのか,そのことを判断しかねています.経済的な意味と社会的な意味の両方において.
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非正規雇用でも最悪は派遣社員。
昔は直接雇用以外は立派な犯罪行為。労働者の派遣などの行為は、手配師や女衒などヤクザの領域で、マトモな企業は相手にしなかった。 派遣労働が合法化されたのは85年の中曽根内閣の時です。このときは通訳やコンピュータプログラマー等の専門職だけの限定。 製造業まで無制限に派遣労働を広げられたのが04年の小泉内閣の時。 中曽根康弘と小泉純一郎。 この二人の悪質極まる犯罪行為は、すべての日本人は決して忘れるべきでは無いでしょう。
なるほどご教示ありがとうございます.参考になります.考えてみればパートというのは直接に雇用していたのですね.うーん,十分意識していませんでした.次の続報にも関連しています.
新自由主義を支える重要な柱の一つが「派遣労働」という仕組み,と言えましょうか. ![]()
”正規と非正規の両方の”存在”は当然必要です。
一般労働者でも数ヶ月の長期休暇のあるヨーロッパでは正規雇用労働者の休暇中に、穴埋めの為の非正規雇用の臨時職員が必要になります。 この時の非正規雇用の労働者の雇用条件は、正規労働者と同等の待遇が用意されている。(同一労働同一賃金の原則) ここで当然のことに正規雇用労働者のほうが熟練していて、非正規の臨時雇い労働者には同等の仕事は出来ない。それでも同一賃金。 これでは企業はなるべく臨時雇いを正規雇用にして其の仕事に習熟して欲しいと思うのが当然です。 日本にもこの原則は有るが、憲法9条並に瀕死の状態で見る影も無い。同一労働同一賃金の原則を厳格に適用しさえすれば非正規雇用門外は解決します。 労働者は企業が直接雇用すべきで派遣労働は原則禁止とします。労働者のピンはね行為はヤクザだけで十分でしょう。
明確なご教示,ありがとうございます!これは名答,何も迷うことはありません.まさに「聞くは一時の恥」!
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社会にとって百害ある『派遣労働』が日本に導入された動機はアメリカの物真似(猿真似)が改革だと思っている売国自民党に有るのは自明の事であるが、それでは何故アメリカに『派遣労働』が蔓延るかの謎です。?
これが簡単なようで難しい。 労働者個人にとっては百害しかない。社会にとっては『派遣労働』は百害あって一利しかない。 一利を得る其の『企業』も、短期的には利益でも長期的には不利益になる。(全体の誤謬になる) 結果的に派遣労働を積極的に導入する動機に欠ける。 ![]()
其れを言うなら大企業の首切りリストラも全体(集団)の誤謬になり企業全体(社会)にとってはマイナスになる。(竹中は零細企業の経営者程度の知識で世界第二の経済大国の財政を説明しょうとした)
これは多分日本の経済を不景気にしてアメリカに資本が集まるようにした。(売国奴の面目躍如) この説明では、肝心のアメリカに派遣が導入された目的が説明されない。田中宇ならアメリカの単独覇権を弱めて集団覇権に向かわせる為と説明するだろうが、賛成しかねる。 何故派遣労働か。?の説明は難しい。 隣国と長い国境を接しているアメリカには幾ら取り締まろうと『出稼ぎ』不法移民が大量に流入する。 不法であろうと合法であろうと、『出稼ぎ労働者』に仕事を与えなくてはいけない。(出稼ぎの失業者は治安対策として危険な存在) そこで考えられたのが『派遣社員』では無いでしょうか。?(数年働いてもらって本国に帰ってもらう) これなら社会的に派遣労働は必要ですね。
うーん,この分析もすごく納得できるような・・・竹中の役目は『日本を不良債権化して米国に極安で提供するための深謀遠慮』の使い走りでしょうね.無論,戦略を建てたのは米国,竹中は傀儡人形に過ぎませんが.
田中宇という人もよくわかりませんね.例によってパスしてますが,(私は飛びつき買いしません)もし何か見るべきものがあれば教えてください.布引さんの示唆なら自分で調べる気にもなります. しかし,米国になぜ派遣が導入されたか,という視点とその回答案は新鮮でした.私も考えて見ます. ![]()
日本で一番有名な諜報員はリヒャルト・ゾルゲですが、彼の情報収集のほとんどが一般に公開されている出版物の解読(情報分析)だったそうです。
アメリカも戦争中に敵国(日本、ドイツ)の情報収集の主力が、公開されている情報の解析に因っていた。 現在のCIAなども世界のマスコミ報道を精細に収集して分析しているはずです。 田中宇の手法は、外国語報道をウオッチして分析する正統派ではないでしょうか。?『田中宇の国際ニュース解説』はぜひ読むべきですね。 彼の解説は、世界の主要マスコミの報道を読んで分析した結果、『アメリカの覇権は自滅に向かっている』『内部のの国際派がアメリカの覇権を自滅させようとしている』と言うものです。 前者は同意見ですが,後者の『国際派の云々』は賛成しかねます。 しかし田中宇の中東に対する情報量や分析は、大手マスコミを遥かに凌駕しています。
布引さん 貴重なご教示ありがとうございます.心に留めておきます.
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