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アルバイシンの丘
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随想や意見,俳句(もどき)

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構造改革と心の報酬
 笠智衆が遠い眼をしてぼそりぼそりと口を動かす・・小津安二郎のどの映画でもいい,必ずこういう場面があるだろう.そばには娘の原節子が健康な笑みを満面に湛えて,控えている.そのセリフはいろいろあったろうが,記憶によると中にはこういうものもあったに違いない.



 「大学教授というものはお金には恵まれんが,きっとお前を幸せにしてくれるじゃろう・・・」

 私は小津映画のファンであるがマニアではないので,細かいシチュエーションはあるいは異なるかもしれないが,赤字の部分,『大学の教授というものはお金には恵まれんが』というセリフは確かに記憶に残っている.
 ただし,「お金に恵まれん」というのは相対的なもので,他の庶民からすれば少しはマシであるはずなのだが,ここでは結婚の他の相手,銀行員や自営業や売れっ子芸術家や町医者や・・・そういうのと比べたものであろう.そういうのと比べたら確かに「恵まれん」けれども,公務員としては特別職を除いてトップレベルの待遇ではあったろう.
 しかし,本人達の主観からすればもっと高い待遇でもしかるべきだ,という思いはあったかもしれない.博士の学位を持って,高度の専門知識を有し,人類の智に寄与している,その割には・・・という思いである.
 ところが,実際に友人である教授によれば,「これまでは」ちっともそうした思い(もっと優遇を)を抱いたことはない,という.自分の好きな研究をやって,学生にそれを伝え,その成長を見る,これで給料をもらえるなんて,なんて申し訳ない,という気持ちだったそうだ.そりゃもっと待遇が良ければそれに越したことはないが,なによりこの自由度が素晴らしい,その自由度と引き換えに待遇を上げる,と言われても,ご免蒙りたい,ということなのだそうだ.
 友人の感想を全面的に肯定するわけには行かないが,ここには,報酬だけでなく,仕事の質,周囲の眼といったものがきわめて重要であることが示されている.仕事の自由度のほかに,学生や社会からのリスペクトもあるだろうし,創造的仕事,という自負もあるだろう.こういうことで,例えば医師になった同期生に比べて「恵まれなくても」十分,納得の行く仕事であったらしい.
 このようなことは「心の報酬」のちょうど良い例だなあという思いで聴いた.ところがである.ずっと過去形で書いてきたのは,国立大学法人化あたりから,まったく様子が変わって来たという.彼によれば,小泉構造改革の被害では,傍目には目立たないけど大学こそ最大の被害者の一つであるらしい.一言で言えば,大学自体が独立採算を採る企業体,教授はそこの使用人に成り下がったのである.
 そこには既に自由度はなく,無意味と思える形式的な報告書作りのような時間の浪費を強要される場になった.学生からのリスペクトもなくなった.なぜなら,授業評価とやらで,学生は教授に復讐できるのである.教授はこれまで,時間を厭わず,学生が求めれば授業や進路の相談に乗ったりしたのであろうが,今は学生からの質問受付時間を設けさせられるのだという(オフィスアワーと呼ぶそうだ).これはむしろ,その時間以外は学生の相手をしなくていい,ということになる.
 このようなことを知ると,これまであった「心の報酬」というものがすでに彼には感じられなくなっていることが容易に推察できる.そして,なお無残なことに,独立採算で人件費を削る必要から,現ナマの報酬自体も減ったのだという.彼によれば,大学はすでに昔の大学ではなくなっているのだそうだ.

 彼の話をどのように評価するのか問題ではある.今の世で大学だけ「旧き良き社会」であっていいはずがない,ということもあろうし,大学教授の質も下がってきたので仕方ない,もあるかもしれない.いっぽう,長期的視点を欠いた国のデザインに,もう長くない国の末路を感じるのもあるかな.しかし,いずれにしろ,一つだけ言えることがある.大学でも「プロの仕事ができなくなった」ということである.
 プロの仕事,というのは瀬戸智子さんが使われて以来,私が気に入って使っているのだが,この構造改革された社会の問題点を一言で言え,といわれれば,「プロがプロの仕事をできなくなったこと」と言えないだろうか.
 大工は大工,医師は医師の仕事に粛々と打ち込む,そしてその結果,数学の教師に対してよくあんな難しい式が理解できるものだ,とか,よくあんな病気を治せるものだ,というような社会的尊敬が生まれる,と思うのだが,この小泉社会ではそれがまったく不可能になった.これは報酬が減るためではない.本来の仕事に掛けられる時間が削減され,大量に雑仕事が押し付けられる,という財政至上主義の結果に拠るところが大きい.この状況下ではプロでない人がその仕事をやらされているのかもしれない.だって人件費が安くて済むから.
 最近,信じられないような初歩的なミスで大事故が起こったり,その後の対応がひどかったりすることが多いが,それらの原因の多くはここにあると信じている.
 これまでは,上下ではなく,多様性の価値観で相互に尊敬する関係があり,その感情も自然に沸き起こった,と思う.しかし,今は財政至上のため,報酬に廻す金銭も限られる.その結果,報酬をどこに廻すかのために,基準を一元化し,ピカソとベートーベンを比較するようなことをやらなければならない.これでは報酬の取り合いになって,相互の尊敬や信頼関係がはぐくまれるはずがない
 報酬はまあこれまで通りでよいから,プロとしての仕事に粛々と打ち込める環境に戻すことが必要である.すべての再生はそこから始まると思う.

 それにしても,福田首相や都知事殿,あなた方にも心の報酬を受け取って欲しいのです.現ナマと引き換えですが.
by papillon9999 | 2007-09-25 19:33 | Comments(9)
Commented by 布引洋 at 2007-09-28 12:30 x
「プロの仕事」を職人の世界、職人の仕事と解釈して理解しました。
「モノ作り」の世界で、一二争うのはドイツと日本。何れも職人制度の長い伝統がある。
ドイツのギルドとマイスター制度は有名だが、日本でも幕末期に来日した外国人は職人の技量と仕事に対する責任感、プライドに深い感銘を受けたらしい。
現在すべての分野で職人が居なくなりつつあります。プロの正規雇用の人員を首にしてマニュアル化された単純仕事のパートや派遣社員に置き換える作業が現在進行中。
以前はサービス業で、03年解禁後の現在は製造業でプロの熟練社員を、プロの自覚を持てない派遣に置き換える。
なにやら恐ろしい事柄が静かに粛々と進行している恐怖。
製造業で熟練労働者を派遣の未熟練労働に変換できたのはIT革命の結果なんです。
今までの熟練を要する汎用機械に変えてコンピュータ制御のNC機械やロボットに置き換えて作業をマニュアル化することで未熟練工でも作業が可能になった。
Commented by 布引洋 at 2007-09-28 12:31 x
200年ほど前にイギリスで起こった産業革命の結果と驚くほど似ています。
当時、長年の習練を必要とした職人に代わって、機械を使う工場労働者に仕事が取って代わられた。
結果は働く労働者の待遇は、以前の職人に比べて大幅に引き下げられてしまった。
歴史は繰り返すと言うが、2世紀ほど離れて殆ど同じ出来事が進行中です。
最初は蒸気機関の導入による産業革命で、今回はコンピューターの導入によるIT革命の結果。

大学教授などは最後の職人仕事であって欲しいものですね。
Commented by papillon9999 at 2007-09-28 13:59
詳細な分析ありがとうございます.我が国の製造業の始まりからつい十何年か前まで,設計そのものはすべて外国の完全なるコピーでした.しかし,製造現場における職人達の桁違いに優秀な能力によって高度な生産技術が花開き,低コストで高品質の製品を作り出すことが可能になったのですね.産業革命や産業ロボット導入で生産性は格段に向上しましたが,怖ろしいことは,さらに人員削減を狙っていることです.
一人で1台見ていたのが,2台,3台となっていくことや安全・保守体制を異常に切り詰める,ということですね.しかも熟練者とはいえない作業員です.どこかで手を抜いて,帳尻を合わせる,ということが起こりがちです.
Commented by papillon9999 at 2007-09-28 14:01

残念ながら,大学教授は今までの高校教員並みになりそうですよ.友人は教授室という個室がありますが,これさえ将来はどうなるかわからないとのこと.一同,職員室に集められるのではないか,とあきらめ顔です.
こちらの怖ろしいことは,反体制の大学教授がいなくなるだろうことです.未だ,任期制は一部に留まっているようですが,再任拒否というカードができてしまえば,体制には逆らえなくなるでしょう.
創造的仕事ができない,なんていうのはまだかわいいもので,体制に都合の悪い仕事はできなくなるでしょう.こういうことからも戦前体制への回帰は進行していきそうです.
Commented by 布引洋 at 2007-09-29 09:06 x
職人は自分ひとりで設計、製作するので製品(作品)に最初から最後まで係わり、全責任を受け持つので仕事に対する満足感も其の分高い。
『仕事に対する満足感』を『心の報酬』と捉えても間違いはないでしょう。
現在この『心の報酬』を得られる職業はどんどん少なくなって来て、医師や大学教授でさえ満足に得られなくなって来ている危機的状況。
すべてを一元化する新自由主義のグローバルスタンダードが蔓延した結果でしょう。

大昔の日本はそうではなかった。
逆にすべてに職人根性が支配する稀な国だったらしい。『世界に一番通用しないのはラグビーだ!』に書いた、自分のやっている競技がスポーツの中のスポーツ、スポーツの最高峰と考える世界。
スポーツを職業に置き換えた世界です。其処ではすべてが直列関係ではなく並立関係になっている。
すべての職業人が自分の仕事にプロ意識をもち責任感とプライドを持っていた。
Commented by 布引洋 at 2007-09-29 09:32 x
幕末期に来日した欧米人が異句同音に馬丁や船頭、人足などの外国ならば最下層に属する人々が、信じられないほどに礼儀正しく仕事に責任感とプライドを持っている事実に驚愕しています。
支配階級のサムライを除く庶民階級の『仕事に対する満足感』がすべてに行き渡った社会だったらしい。
サムライ(幕府官僚)以外は、すべて自分の仕事にプライドを持っていた社会
書物によると士農工商から外れた不可触階級に属していても自分の職業、製品(革製品等)に責任感とプライドを持っていた。

自分の仕事が、仕事の中の仕事、『職業の最高峰』と考えて欲しい医師や大学教授さえ満足できない社会は不幸です。
プロ意識をもち自分自身の職業にに対して責任感とプライドを持って仕事をして欲しいものです。

Commented by papillon9999 at 2007-09-29 09:54
布引さん,ここでの布引さんのお話を竹中平蔵や小泉純一郎に聞かせたいものです.トヨタの奥田,その他財界人,田原総一朗,もろもろ.
日本を壊した上に私服を肥やしている.インサイダーは犯罪です.竹中追求のためには植草氏が必要でしょうか.時効にならないようにしたいけどもう時効かもしれない.竹中は経済的犯罪者です.早く民主党が政権を取って竹中追求をかけてほしい.
Commented by 布引洋 at 2007-09-29 09:59 x
『会社は株主のもの』と言い放った新自由主義の寵児ホリエモン。
彼の台詞は法律的には全くの正解なのです。
株式会社は其の名前のとうり、株式を保有する株主の所有物です。
『株式会社』は決して実際に運営している経営者のモノではなく、いわんや実際に働いている労働者のものではない。
ところが庶民感覚では『社員のもの』が一番多く二番目が『経営者』『株主』と答えた人は少数だったらしい。
社員(労働)>社長(経営)>株主(金)の順番が庶民感覚。
しかし制度は株主(金)がすべてになっている。
資本主義の中の資本主義(新自由主義)とは簡単に言うと『金』がすべての社会と言い換えても良い。
そして現在、『金がすべて』の社会が確実に世界に蔓延している。すべての価値観が一元化されたグローバルスタンダードが、命を預かる医療現場や、科学の最高峰(最前線)であるべき大学にまで押し寄せて、すべてを飲み込もうとしている。
新自由主義恐るべし。
Commented by papillon9999 at 2007-09-29 14:23
<新自由主義恐るべし。>
これはやわらかいファシズム,ソフトファシズムとでも名づけましょうか!直接的な武力を介さないファシズム!