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アルバイシンの丘
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随想や意見,俳句(もどき)

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当麻寺遊行
 私の飲み仲間は当年83歳のAじいさん,63歳のBおっさんであり,そして最年少の私(?歳)Cを含めて三人組である.週に1・2度,あるいは2週に一度,程近いところにある素敵なママのいる店で語り飲む.そのママに最もご執心なのは83歳のAじいさんだ.時々,ママの手を握らせてもらったりしている.BとCはそれに気付かぬ振りをしながら,もっぱら山登りや仏教やギターや囲碁や三鈷の松について語り合う.



 Cは多趣味を以て任じているが,Bおっさんはそれに輪をかけたマルチ人間,そしてAじいさんはギターと囲碁以外はそれ以上に何にでも造詣が深い.話し相手のママを他の客に取られたら,こちらの話に参加して,ああだ,こうだ,と教えてくれる.ちゃんと聞いているのだ.どちらかといえばCはいつも聞き役に廻る.
 Aじいさんは兵隊に行った.その折の詳しいことは聞いていない.話しぶりもぼそぼそと声が小さいのでちょっと聞き取れないこともあるが,はっきり問い質すようなことはしない.しかし,どうも韓国と中国が嫌いなようだ.南京大虐殺も否定したい雰囲気が伝わっている.私の意見とは正反対なのだが,ちっとも悪い気はしない.おそらく,兵隊に行った負い目と面子があって,今更何言っても一緒だ,と言いたげに見える.むしろ,高みから見下ろすように無責任な正論を声高に言いっ放しにする『サヨク的人間』の話を聞く方が苦痛だ.
 さて,Bおっさんが60になって勤めを定年退職するとき,記念旅行をしようという話になった.その行き先として選ばれたのが当麻寺.ここの住職とAじいさんが友人だという.へーっ!とその意外な人脈に感激した.その当麻寺遊行からもう3年ほどになる.

 当麻寺,當麻とも書く.タケウチノスクネとタイマノケハヤが相撲の元祖と習った,あのタイマだ.飛鳥時代の万葉の舞台は,遠い故里に帰ったような漠然とした感慨を与えてくれた.飛鳥の里の代表的イメージはこの寺にある.ふたこぶの容貌を持つ山の懐に,2本の塔を持つ寺がそっと抱かれている図だ.どちらかと言えばグレイスケール刷りが望ましい.ふたこぶの山容を持つ山は二上山(にじょうさん).すなわち,二上山に抱かれた二本の塔を持つ寺が当麻寺だ.
 当麻寺を有名ならしめるものは二つあると思う.一つは中将姫伝説,もう一つは牡丹である.この寺のご本尊は仏像ではなく,なんと中将姫が織ったとされる曼荼羅である.千年近い時を経ているにも拘らず,今なお鮮やかな曼荼羅模様を見ることができる.驚異的だ.ご住職自ら案内をして下さり,さらに複雑な曼荼羅の絵解きまでして下さった.Aじいさんはともかく,BとCは恐縮至極であった.
 一方,この寺の別名は牡丹寺という.牡丹の満開時にはものすごい数の見物客が訪れるそうだ.我々の遊行はその最盛期を避けたしばらく後の時期だったので牡丹を堪能することはできなかったが,真っ赤を通り過ぎてやや黒味を交えた落花が酷い遺骸を横たえていた.それこそボタっという感じで落ちていた.当麻寺遊行_f0036720_14333981.jpg

   「姫君の 乳房恋しや 二上山」

   「姫君の 秘めたる恋か 紅牡丹」
                  あかぼたん

 実はこの二つの句は大恥をさらしている.気がついた方はおられるだろうか.ふたこぶの山容を乳房に見立てた単純な感性とかセクハラ問題ではない.これらも実に恥ずかしいが,もっと恥ずかしいことがあるのだ.それは中将姫伝説を知らないことを大宣言していることだ.
 当麻寺では中将姫伝説を書いたきれいな本を用意してある.我々はご住職からこの本をプレゼントされた.実は,私はこの本で初めて中将姫伝説の全貌を知ったのだった.それによれば,何と!中将姫は全く恋愛していない!完全な信仰物語なのだ.継母から逃れて,この当麻寺において信仰三昧,曼荼羅制作に没頭するのである.悲運の最期を遂げるまで信仰を続ける物語だった.
 私は当然,王子様か誰かとの悲恋物語だと思っていた.全然違うのである.『姫』とあるから,当然貴族の王子が出てくる,と勝手に思い込んでいたのである.だから『恋しや』としたのだ.この句を幾人かに贈った後,このことに気付き,深~い自己嫌悪に陥ったのだった.
 なぜ未練がましくこの句を捨てないでいるか.この句は私から姫へのプレゼントなのだ,恋愛の.
【写真は境内の池に咲いていた睡蓮.このほかいくつか写真アップの予定.今親の家に来ているので写真がありません.】
by papillon9999 | 2006-05-06 14:20 | 済み | Comments(1)
Commented by papillon9999 at 2006-05-06 17:18
雑談日記さん,TBありがとうございました.お手数をかけてすみません.