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アルバイシンの丘
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随想や意見,俳句(もどき)

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『30年で大地震の確率は87%』の竹中メソッド(図を追加)
 ウィキの原発関連御用文化人リスト竹中平蔵について初めて見たら,面白いものを発見した。(話題はこれだけだった)
 それというのは浜岡原発の停止問題にまつわる話である。ご承知のように停止の理由が『30年で大地震の確率は87%』で危険だからということであった。ところが竹中さんは原発を停めたのが気に食わなかったので,次のように文句を言ったらしい。(ウィキより)



30年で大地震の確率は87%・・浜岡停止の最大の理由だ。確率計算のプロセスは不明だが、あえて単純計算すると、この1年で起こる確率は2.9%、この一カ月の確率は0.2%だ。原発停止の様々な社会経済的コストを試算するために1カ月かけても、その間に地震が起こる確率は極めて低いはずだ。

つまり,今動いているのをすぐに停めなくても,地震の確率は0.2%なんだから1カ月ぐらいかけていろいろ検討してもいいじゃん,という理屈である。

 この理屈はまあ措いといて,騒然たる問題になったのは,30年で87%の確率のものを,この1年での確率として30で割っていいのか(87/30=2.9になる),という点である。竹中が生理的に嫌いな人が多いから,この竹中メソッドはめちゃめちゃにこき下ろされたらしい。
 ところが,これに対して,まあそれほど間違ったものではないよ,という解説をした方がおられた。それがこちらの方,奥村さんの記事である。

 その方の判定によれば次のようになるらしい。

 『数学を使わない説明するからちゃんと読め 「あえて単純計算」する限り竹中平蔵の算数は正しい』

 そしてその記事に対して多くのコメが寄せられ,騒然となった。しかし,そのような状況でも奥村さんは微動だにぶれず,話の本筋はしっかり通っていたようだ。

 以上が前置きである。(ナゲエ!)この記事では,あまり自信はないのであるが,この問題に対するパピヨンなりのわかりやすい説明を試みたいのである。統計や地震の確率などにまったく縁がなかったのでシロウトであり,こういう考え方で良いのかどうか,この記事を御覧の方に教えて戴きたいのである。

 初めにパピヨンの結論を書いておくと,竹中を落とせないのは悔しいけど,上の奥村さんと同じく『「あえて単純計算」する限り竹中平蔵の算数は正しい』となる。
 ただし,その説明法が,奥村さんやそこに集まったいろんなコメント群には見当たらなかったので,ここに書いて見てその当否を教えて戴きたいという次第である。(ただし,あまりに簡単なので心配している(^o^)/^^)

 パピヨンの考え方の骨子は,『30年で大地震の確率は87%』を確率密度関数で表わすこと,である。確率とは確率密度関数の積分(面積)であるから,『30年で大地震の確率は87%』ということは次のような関数グラフが描かれたイメージで捉えることがきると思う。
 まず,横軸に時間(年とか月,あるいは連続的な時間軸),縦軸に確率密度を取ったグラフ(関数)を考える。この横軸は原点が現在(すなわち0とする)を表わし,ずっと右側に30年の位置を表わす点がある。さらにその右側にも時間軸はずっと伸びている。
 一方,縦軸は連続関数のグラフが描かれるが,その形は定かでない。しかし,時間軸の0から30年まで或る曲線が描かれている。さらに30年より先はどうなっているかといえば,急にあやふやな曲線になって,破線で頼りなく描かれている,まあ,こういう状況なのではないだろうか。
 【図を追加したので参照してください.】
『30年で大地震の確率は87%』の竹中メソッド(図を追加)_f0036720_10492593.jpg


 すると『30年で87%』というのは,時間軸の0から30年までの曲線の面積(積分)が87%であるということだろう。だから,では15年で起きる確率はいくらになるかといえば,それは0から15年までの曲線の面積ということだから曲線の形がわからないと厳密には計算できないことになる。当たり前だが。すると1年で,というのも同じく曲線の形が与えられないと厳密には何もわからないのである。しかし竹中メソッドの当否を判断するには,この曲線の形はそれほど重要ではないと思われる。

 竹中メソッドはこの曲線の30年間分の面積をえーい,と同じ面積の長方形に直したことに相当しているのである。だから,これが適切かどうかは必要な精度と曲線の形に依存するわけであるが,精度は必要ではないしまあ平均的に考えていいじゃん,というスタンスが竹中メソッドということである。このように考えると竹中メソッドはそれほどおかしいものではないことが理解しやすいのではなかろうか。悔しいけど!

 コメント欄では統計や確率に詳しい人が,いろんな分布を仮定して適切かどうかを判断していたが,その方たちは当然ながら,言ってなくても上に書いたことを想定していたと思う。しかし,そうでない人も多く見られたような気がする。特にサイコロの出目などと比較しようと試みた人はたぶん違う(間違った)結論が出てくるのではないだろうか。

 以上で記事の所期の目的は達したが(間違いがないという意味ではない!),一つ重大な疑問,というより好奇心が生じている。

 それは,その真の確率密度関数の曲線は,もし1年が無事に過ぎたとしたらどうなるのか,である。30年後まで同一の曲線であり続けるのか,それとも1年ごとに曲線は更新されるのか(学問の進歩によってではなく),という点である。
 全然更新されないとしたらおかしいことになる。考えやすいように,87%を100%として見よう。すると,29年目まで無事に過ぎたら,30年目には100%起きるはずである。しかし,最初の曲線がそのままであったらその100%を表わすことができなくなるではないか。つまり,30年目には100%となるグラフに更新されてなければならない。ということは毎年,曲線は更新される,という結論になる。これは正しいだろうか?
 【図を追加したので参照してください.】
『30年で大地震の確率は87%』の竹中メソッド(図を追加)_f0036720_10531128.jpg


 すると今度はどのように更新されるのかという問題がある。
理論的に更新アルゴリズムが確立しているのだろうか?
 詳しい方,ぜひご教示を賜りますよう。

重要なコメントを記事の中に書いておきます。(2011-08-26 22:07)

Commented by papillon9999 at 2011-08-25 22:20 x
念のために書いておきますが,厳密な確率や期待値の話をする時は,もちろん竹中メソッドは使えません。
それは原理的にダメというのではなく,それで得られた値が精密な話をすることが必要な問題には(大雑把過ぎて)役に立たないという意味においてです。
確率曲線を長方形(水平線)以外にも同じ面積の右肩上がり,右肩下がりの直線,あるいは上に凸の放物線,下に凸の放物線に置き換えて考えることもできますが,それは初めの確率を高くしたいか低くしたいかの恣意性の餌食になります。それよりは長方形で均したのはまあ許せるでしょう。むしろ逆に(記事に書いたような初めに小さくて後で大きくなる曲線だったら)危険度を多く見積もったことにもなります。

Commented by papillon9999 at 2011-08-26 00:07 x
再度念のために書いておきますが,そもそも確率曲線の形がわかっていたら長方形近似も何もハナから必要ないわけです。
それが(曲線が)全然わからないので,しょうがないからどうにかして推定したいという動機がある場合の話なのです。
すると,まあ,長方形しかないではありませんか,ということなんですよ。
by papillon9999 | 2011-08-23 23:15 | Comments(10)
Commented by pulin at 2011-08-24 18:25 x
たとえば降水確率で24時間以内に雨が降る確率は50%というとき、その24時間に含まれる一瞬一瞬の降水確率を足し上げて24時間分合わせて50%になるわけではなく、その24時間以内ならどの一瞬においても降水確率は50%とみなすわけです。
同様に考えればこの「竹中メソッド」は何かおかしいようにも思います。
降水確率の例だと、1時間が経過したときの確率状況は上がるのか下がるのかなどの
このような時間変化を伴う動的な確率の扱いについて今少し考察中なのでまた機会があったら述べます。
Commented by papillon9999 at 2011-08-24 19:49
pulinさん,コメントありがとう.重要な指摘だと思いますが,たぶん

>どの一瞬においても降水確率は50%とみなす

というのではないと思います.これはサイコロの出目の問題ではないですかね.
今から近所の人のお通夜に行きますので,その間考えてみますが.
Commented by papillon9999 at 2011-08-24 22:11
降雨確率と地震確率は似ているようで重大な違いが1点だけ(じゃないかも知れんけど)あります。それは1回きりがそうでないかです。

降雨は一度降っても,24時間内で何度も降ったりやんだりできますが,地震確率というのは違います。一度起きたら今までの確率密度関数はチャラになることです。
突然今までの曲線は消えて,低い低い処を這う確率曲線に変化します。

>どの一瞬においても降水確率は50%とみなす

というのはひっきりなしにサイコロを転がしている現象に似ています。偶数になる確率がどの瞬間も50%です。降水確率というのはそれとはまったく異なるのです。
Commented by papillon9999 at 2011-08-24 22:28
記事の中で,
『その説明法が,奥村さんやそこに集まったいろんなコメント群には見当たらなかった』
と書きましたが,もう一度じっくり見たら,ブログ主さんのコメントの中に『確率密度分布関数』という言葉も使われていました。失礼しました。趣旨は全く同じだと思います。
Commented by たんぽぽ at 2011-08-24 23:11 x
トラックバック、ありがとうです。

地震の起きる確率はどういう分布になるのか、
わからないけど、ポアソンではなさそうですね。
前に地震があったことが、のちの確率に影響しそうですし。

それでも、竹中の計算は単純すぎて、違和感がありますね。
長方形で近似はできないように思います。
(それとも、30分の1くらい小刻みなら、
なんとかなっちゃうということ?)
Commented at 2011-08-24 23:12
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by papillon9999 at 2011-08-24 23:38
たんぽぽさん
>長方形で近似はできないように思います
これが精度的な意味(本来の確率の値とかけ離れる)であれば,そうかもしれません。しかし,そもそも87%という数字や確率密度関数の曲線自体が結構な誤差を含んでいるとすれば,長方形近似で得た値と果たしてどちらが正しいものに近いかわからん,ということも言えそうです。(そうは言えんかも知れんが,最初の1カ月の確率を精密に求めたとしてほとんど意味はないと言えます。)
そう,これは実務的な問題になります。ホントに大まかな目安にしてもいいのでしょう。

それから竹中長方形の1年目より右の部分は長方形から外れても無論いいのでしょう。トータルの面積が87%になりさえすれば。
Commented by papillon9999 at 2011-08-25 18:22
pullinさん,ちゃんと整理できてから書いてくれませんか.まるで私の記事が疑問満載のように思われてしまいます.
いただいたコメントは別記事にまとめて掲載しますので,ここのコメントは削除させていただきます.

とにかく,この問題は,確率というものが確率密度関数の積分で表される,という基本的なことを理解してない人には正しい考察は無理です.
Commented by oxon at 2011-08-26 07:56 x
僕の理解と同一です。ただ、実際には関数は右肩下がりになると言われているようです。これは、東海地震が最も発生しやすいと思われていた時期を既に経過したためです。
Commented by papillon9999 at 2011-08-26 08:14
私の考えが同一の理解と確認できて嬉しく思います。

>実際には関数は右肩下がりになると言われているよう

そうなんですか。そういう方面はまったくわからないもので。ご教示ありがとうございます。