政治主導の無惨な敗北

　まさかこれほどとは思わなかった。原発・震災関連の情報統制である。次の記事を拝見して，リンク先を辿って行って愕然とした。
政権へのレッドカード



特にひどいのは，次の記事に引用されている実態だ。

事実上の報道管制（デマ・憶測は摘発）

「今後、原発問題で、官房長官、原子力安全・保安院、原子力委員会、東電等、関係機関が発表する内容以外の情報を流したものには「デマ・憶測」として警察庁は摘発するとしており、・・・」

ただし，その記事のソースが明記されていないのでホントにそんな警告が出されているのかどうか，保証はできない。読者の皆さま，ご確認ください。

しかし，総務省のHPには以下の記事が出ている。

東日本大震災に係るインターネット上の流言飛語への適切な対応に関する電気通信事業者関係団体に対する要請

これはいかようにも恣意的に運用できる性格のものであり，各事業者を萎縮させる効果をもつ。文字通りの流言飛語に限定されればいいが，必要以上に安全側に事業者を駆り立てるだろう。この場合，安全側とは事業者の立場から見てであって，取締り強化の方向である。決して表現の自由を担保する側とはならない。その他，種々の例が数多く指摘されており，由々しき時代となった危険を強く感じる。

　ただ，この主導者については，Ladybirdさん（最初の記事の筆者）とは違った感想を持つ。恐らくLadybirdさんがやり玉に挙げる菅内閣そのものが発源ではないと思う。菅内閣はおろおろと，いうがままに漂っているだけだ，きっと。（無論，以下のことを為すがままにさせておく，という罪はとても深い）。

　隠れた主導者はだれか，いうまでもなく「官」機構である。無論，警察庁を含めたもの。「菅」ではなく「官」は「菅」を脅し，おだて，いろんな手管を使って翻弄しているに違いない。
　「官」は今回の大災難を奇貨として政治主導，すなわち国民主権に対して絶対的な優位性を確立しようとしてるのかもしれない，「菅」を利用して。消費税１０％，２０％論などその最大のものだ。
　シチュエーションは違うが，これは戦前の軍部が暴走を始めたことと似たものを感じる。警察権・検察権が軍部の代わりである。彼らが守るものは「官」機構だ。

　果たして「菅」を替えて「官」に勝てるか？そう考えると絶望的な気分になるだろう。それがまさに軍部アナロジーが成立していることの証左である。政治主導＝国民主権のみじめな無惨な敗北。だれが首相になっても一緒，などとニヒルを気取っているとこうなるのだ。手遅れになったらどうしようもない。