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アルバイシンの丘
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随想や意見,俳句(もどき)

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万邦無比の国家(7)神話の歴史化
8.ストーリーの確認と『現人神』の誕生

 原著にはないが,前回の記事ですでに『現人神』が誕生しているのではないかとパピヨンは気が付いた。ストーリーの復習を兼ねて,それをここで確認しておきたい。(原著を参考にしたパピヨンなりの勉強結果のまとめと編集,勝手な解釈が入り混じっているので,おかしい点があればそれはパピヨンの責任である。)



 途中,中興の世は確かに何度かあったものの,それからでも何百年もの時を経て,ようやく果たした『王政復古』。しかし世界は人権思想が豊かな花を開き,立憲主義は文明国の必須の条件であった。同時に国民は徳川幕府の超権威主義からようやく解放され,真の四民平等という名前の人権思想に目覚めた。
 時の政府はこの『人権思想と天皇絶対親政を両立させる』ことに腐心しなければならなかったのである。恐らく明治のいつ頃までかはこの両立を真摯に求めていたように思われる(とパピヨンは今では思う)。
 しかしながら,この両立は結局うまく果たせなかった。天皇が蔑ろにされたから(人権主義=議会主義を軽視した)というのではなく,政府の政策,例えば軍事費の捻出など,が人権思想のために思い通りに実行できなかったからである。このため,政府は議会に対して優位に立つ権力構造の思想を作り上げようとした。それは『超然主義』と呼ばれるものであった。
 ところが,超然主義は立憲主義下という超困難な条件付きであったので,その理論的根拠の捻り出しに苦悩することになってしまった。そしてそれは憲法の位置づけを,文明国普遍の意味ではなく,日本国誕生時からの天皇家と国民との「君民分義」【注1】を具現化するためである,とすることで成功したのである。
 しかし苦悩はそれで終わるわけではなく始まりであった。それならそれで,日本だけどうしてそのような『特殊化』が可能なのか,その理屈も確立しなければならない。その特殊化こそ,『万邦無比の国家』建設なのである。
 その理論的根拠は『社会進化論』から捻り出した。実に見事な理屈である。すなわち,国家を構成する優者と劣者,その劣者を優者が指導する,しかし,優者がもし暴走したらどうなるか?国は成り立たない。それを制御する者が必要である。その役割を果たすものが天皇なのである。
 このような「存在」とは一体何であろうか?それはすでに『神の位置』を占める『何か』ではないだろうか。
 『現人神』はこのようにして誕生したのではないだろうか?なぜこのように考えるかといえば,通常は歴史の役割は『神の子孫』の根拠づけであって,決して現君主本人が『神』であることを主張するわけではないからだ。ところが,我が国の「特殊化」では,現君主自体の「神化」が必要となったのである。
(このような点は原著には書いてない。現人神誕生論がもっと別にあるのかもしれないが,素人の気安さで書いておく。)
 このような『社会進化論』はまだ『万邦無比の国家』誕生には不十分であった。弱者を擁護するための『神の存在』の必要性はどの国にも当てはまるからである。我が国独自の理論とするには,日本という疑似生命体が天皇家によって作られたという遺伝子で生きてきたからだという理屈がさらに必要であった。
 こうして,『万邦無比の国家』建設には,特殊な日本独自の『古代の物語』が必要となった。それはその遺伝子を求める探索の旅にほかならないのである。

 ともあれ,以上が前回までのストーリーである。

9.不平等条約改正の悲願

 この巻の副題は「歴史の神話化」ではなくて「神話の歴史化」である。このすさまじい出来事は以上のストーリーの最後のように,『万邦無比の国家』へ向かう限り必然の結果であった。
 ところで,そもそもなぜこのような『万邦無比の国家』建設が必要だったのかを見ておかねばならない。いや,それは「超然主義」を合理化するためであるが,そういうことではなく,政府はなぜ議会・人権主義を捨てて,議会を超越した権力を志向したのかということである。
 やはりこの点をしっかり確認しておかねばならない。「王政復古」だけなら,「普遍的人権主義」と十分両立できるはずだからである。

 これもまた原著には書いてないが,それはやはり,世界進出のためのフリーハンドを得るためではなかっただろうか。「神話の歴史化」が具体的に始まるのが1890年代であり(そういう意図はそのだいぶ前に生じたであろう),これからあと,日清・日露戦争をみるまでもなく,尖閣諸島調査や竹島編入など,半島・大陸進出の意図・行動が具現化していくからである。
 そういうことを視野に入れて,当面の目標は『不平等条約の改正』であった。

 では,『万邦無比の国家』建設によって,悲願であった『不平等条約の改正』はできたのか?できたのである!

 そう,原著によると,そうすることによって初めて条約改正が可能になったのである。では,それはなぜだったのだろうか?
 実は,その当時,不平等を解消する外交交渉が成功することなど,奇跡の類であったらしい。(小学校の時読み物で読んだことがあるが,条約改正が不十分であった大隈重信が爆弾攻撃され,片脚を喪ったのは1888年であったのだ。)

 この奇跡的な条約改正を成功させたのが陸奥宗光であり,陸奥の戦略が,件の『万邦無比の国家』の主張だったのである。
 そのあたりの本の記述も非常に面白い。陸奥以前の外務大臣が失敗したのは,普遍的な文明度の土俵で対峙したからであるという。それで勝負する限り,日本は欧米列強にまだまだはるかに及ばない。何より,相手側が『文明度の低い国』としか見てくれないから,成功するはずもないことであった。
 しかし,唯一,『普遍的な文明度』の価値観で見ていない『文明国』が一つだけあったという。それはほかならぬアメリカであったのだ。
 これは意外であったが,ではアメリカはどういう価値観だったのか?本では「独自の文化を持った民族国家であること」と表現してある。これは,文明国でなくとも「一つの生物種」のような『ひと塊の民族としての実在性』さえあれば良い,ということであろうとパピヨンは翻訳した。それはともかく,要するに,アメリカはそれまでの国際的価値観を変えるのである。【注2】

 これは結局,覇権がイギリスからアメリカに移りつつあったこと,それに際して,従来の価値観を変えなければアメリカの出る幕が無くなるから,というような事情の故だったと思う。
 陸奥はこの価値観の変化を敏感に感じ取って,『万邦無比の国家』の理念を利用して,米国を味方につけることにより,イギリスとの条約改正に奇跡の成功を収めたのであった。それが1894年,日英通商航海条約であった。

10.神話の歴史化:『国史眼』

 さて,『万邦無比の国家』建設は,以上のように当時の支配層にとって国家の死活問題であった。そこで,『古代の物語』作りの苦難の道が,これからさらに続くのである。

 莫大な国費を投じた『大日本編纂史』が惜しげもなく中止させられたのは1893年であるが,その前,1889年には帝国大学に,「史学科」があるにもかかわらず,それとは別に「国史科」が設置された。そして,1890年に,

 帝国大学の―最初のー国史教科書

が出版された。その名前を『国史眼』と呼ぶ(そうだ)。その『国史眼』の書き出しが,まさに『神話の歴史化』であったのである。すなわち,その冒頭の章は

 第一紀 『神人無別の世』

というタイトルで始まるのである。

 この巻,所期より長くなったので,10章を一旦ここで切ります。この章,つづく。

【注1】 『君民分義』と言う言葉は前回の記事で使わなかったが,原著にはちゃんと書いてある。日本は君主と臣民の役割,存在意義が誕生の時から定まっている,そういう国である,ということ。この頃にはすでに半島や大陸進出が大目標となっていて,国民を一体としてそれに向けていく準備を始めていたのだと思われる。

【注2】 これで思い出すのが,米国の単位系変更の経緯である。うろ覚えであるが,米国以外は早い段階からメートル法を導入した。これに対し,米国は頑なに,インチーポンド系を維持した。そして,それを改定する時,メートル法に移行するのではなく,全世界を国際単位系(ISO単位系)に統一したのである。これについてパピヨンは,自分とこだけ改定する不利を避け,全世界を道連れにしたのだと思っている。(的外れかなぁ?)
by papillon9999 | 2011-01-03 19:00 | Comments(11)
Commented by 灰汁狸菟簀 at 2011-01-04 10:50 x
陸奥宗光
「政治はアートなり。サイエンスにあらず。巧みに
政治を行い、巧みに人心を治めるのは、実学を持ち、
広く世の中のことに習熟している人ができるのである。
決して、机上の空論をもてあそぶ人間ではない」

鳩山も管も見事なまでにこの定義に当てはまらない
「机上の空論をもてあそぶ人間」ですねえ。

腹黒いマキャベリストの小沢と仙石が
未だマシに見える訳だ……(^o^)/
Commented by papillon9999 at 2011-01-04 19:23
ようやく小沢の政治がわかりかけてきたようじゃの・・ふふ

だが,陸奥のいう,実学のみであってもいかんのじゃろう,理念も語れぬ総理であっては国民が惨めじゃ・・・

カンからさんは両方ないように見えるバイ・・・ああ・・
Commented by pulin at 2011-01-10 18:38 x
君主が本当に理想的な神のような超人なら絶対君主制システムも理想的に機能します。
しかし実際にそんな人間は居るわけがないので臣下が集まってあれこれ考えたことを君主の詔だから絶対であるとして出すのがこのシステムの正体で、その幻想を維持するためには様々な締めつけが必要だったわけですね。
このシステムの残滓はごく形式的になって今の憲法にも残っています。
今のこれはまあ威儀を整える程度の意味はあるから、すぐに無くすべきものであるとは私は特に思いません。なくなる時がくればなくなるでしょう。
Commented by 灰汁狸菟簀 at 2011-01-10 21:21 x
ニッコロ・マキアヴェッリ「君主論」

>君主が軽蔑されるのは無節操、軽薄、軟弱、臆病、
>優柔不断と見られる場合である。君主はあたかも暗礁を
>警戒するように、このように見られないように
>用心しなければならない。
>そのためには行動にあたって偉大さ、勇気、威厳、
>堅忍不抜さが見られるようにし、個々の臣民の取り扱いに
>際しては自らの決定が撤回不可能であることを
>知らしめるべきである。

有徳であるよりもズル賢い方がよく、誠実であるよりも
他人を騙せる方がよく、善良であるよりも必要な悪行を
ためらわない方がよく、かつそうでありながら表面的には
善良な人だと装うことが重要だと説いています。

小沢も仙石もマキャベリストとしては小物ですねえ…(^o^)/
Commented by pulin at 2011-01-11 03:17 x
東洋でも西洋でも君主はこうあるべしこう振る舞うべしと説かれるのは、とりもなおさず君主として絶対権力を握る人間にはそれ程の能力が体現されてはいないからで、神に由来する権力の絶対君主だから神聖であるというトートロジー的幻想でしかないのよね。。。
民が選んだ凡人政治家の政治よりも、幻想でも建前であっても「神聖な君主」の絶対君主システムを採用したいよ、という政治思想はあり得るとも思いますが・・・・。現代では難しいかな。。。
でも、将軍家という絶対君主を戴くすぐれて日本的なシステムである幕府の再興は一考に値するかもしれないと、私は考えたりもしています。
Commented by papillon9999 at 2011-01-14 22:16
>君主が本当に理想的な神のような超人なら

絶対的な聖人君子が歴史上,皆無だったとは言えないでっしょネ。しかし,残念ながら人間である限り寿命があるわけで,存命時は真に理想的な政治が可能としてもその死後はどうなるか。
残念ながらそういう個人の超人性を頼りにした社会制度は諦めんばとですね。

>このシステムの残滓

とは象徴天皇制のことですかね?まあ,わけのわからんシステムですたいネ。今は棚上げになっとるが,いずれ右からも左からも揺すぶられるこつでしょう。
Commented by papillon9999 at 2011-01-14 22:43
>小沢も仙石もマキャベリストとしては小物ですねえ

これは意味がわからんが,

>表面的には善良な人だと装うことが重要

ができていないからという意味やろか?なんか意義のわからんコメやけん削除してよかやろか?
Commented by papillon9999 at 2011-01-14 22:53
>東洋でも西洋でも君主はこうあるべし・・・

これは現在では「君主」を「リーダー」に置き換えて考えるべきでっしょ。
確かに何事もリーダー次第で大きく変わるし,リーダーにふさわしい資質ちゅうもんがある。
しかし,それはマキアベリのいう一面的なもんではなかでっしょネ。ああいうタイプ,こういうタイプ,というのがあって,あとはどのタイプがよかったかは結果論に過ぎんような気がしとるです。
Commented by papillon9999 at 2011-01-29 10:43
読者の皆さま

更新が滞っていて大変申し訳ありません。次々と急ぎの仕事が入ってじっくり時間を取れません。ヤマを越えるのももうすぐですので,あとしばらく(二三日)失礼します。
Commented by D at 2011-01-29 21:59 x
有料配信とかじゃないのですから、のんびりとやって下さい。(と言いつつ、更新を急かしたい気持ちも多々あるけどwww)
Commented by papillon9999 at 2011-02-01 20:45
おやぁ!D選手じゃなかですか!お久でござりまする。お元気そうで何よりですバイ。更新は急ぎますけんネ!