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国民の幸せを奪うもの(民活)
2009年 05月 29日
戦後しばらくしてから80年ごろまでの階級対立時代に,日本は経済的に豊かになってきた.すると,労働者階級の方にもそこそこおこぼれが廻ってくるようになった.パピヨン史観では,このことを階級対立は少しずつ緩和していったと捉える.
ただし,階級対立の本質が変わったわけではなく,おこぼれを廻す程度の余裕が資本家階級側にできたということの意味でしかないんだが.この点で,パピヨンの思い描く国民本位社会における階級対立の”止揚”とは意味が全く異なるのである. ところが,そうしたおこぼれに与かれたのはやはり恵まれた労働者(組織労働者や中級以上の公務員)であって,恵まれない労働者(底辺というべきか未組織労働者というべきか,パピヨン史観では下級公務員もここに入る)は相変わらず恵まれないままであった.それどころか,労働者階級は二層に分断され,資本家階級だけではなく恵まれた労働者階級からも搾取される羽目になったのである. この時代はバブルの前夜であったが,官僚たちは階級対立を尻目に,未だ旧来の既得権益層,これの代表は土建族かな,に寄生し,隠れ資産を莫大に膨らましていた. この時代,取り残された国民は,未組織労働者,サラリーマンでない農林漁業者,資本の論理で見捨てられた”公害”被害者たち,そして用地買収や冤罪などで国家権力と直接対峙せざるを得なくなった人々などだろう.だが,その他の国民は,ほぼ中流意識を持つまでに至った.しかし,この中流意識は幻想に過ぎなかったことを,これからあと国民は思い知らされることになる. 80年代に入るとかの中曽根政権が始まり,国民にとっても官僚にとっても新時代を迎えることになる.キーワードは『民営化』.中曽根民活により日本は大きく変化していく. 『民営化』とは官僚たちの権限が小さくなっていくことである.つまりもう一つの対となるキーワードがあってそれは『規制緩和』【注1】.こういう時代に向けて,官僚システムは新たな対応策を練った.そして,その素晴らしい知恵袋から,(国民の利益ではなく自分たちの利益のための知恵がいっぱい詰まった知恵袋から)素晴らしい知恵がどんどん見つかった.そのため権限が小さくなっていくにもかかわらず損にはならないと踏んで,中曽根民活を一緒になって推進して行ったのである. その知恵の最たるものは大量の国有(国民)財産の叩き売り,およびそれに伴うお金の還流システムであった.官僚システムにとっては,税金収奪システムは一部の形を変えるだけで良かったのである.それらはたとえば公団や第三セクター,払い下げ会社などのポストや株の形に化けたかもしれないし,何かの基金管理を牛耳る形になったかもしれない。これが焼け太りと言わなくてなんであろう。国有財産はあくまで国有財産であり,官僚個人の物ではなかった(退職すれば利権からは遠ざかる)ものが,堂々と形を変えて私有化されたのであるから。 中曽根民活で最大のイベントは国鉄解体であった。史上最大の叩き売り。これは国有財産の散逸という背任問題と同時に,労働運動解体の意味も併せ持つイベントであった。いわゆる国労つぶし。 国鉄労働者への国民の反感【注2】をうまく利用して,一気に国労を潰してしまった。この時の国鉄労働者(国労組合員)への言語に絶する非人道的扱いは,長く語り継がれるべきである。国鉄労働者へのやっかみや反感に任せてそれを許してしまった国民は,めぐりめぐって今,新自由主義のどん底であえいでいるのである。 新自由主義の投資家・資本家・株主至上主義=この世は株主のためにあるという狂った思想,これはパピヨン史観では階級対立とは異なるとみる。しかし,そこに至る事態は階級的史観を放棄した労働者・国民の怠慢が招いたことと考える。その間(怠慢な間)に,資本主義自体が大きく変質,いや奇形化していったのである【注3】。それをおろかにも国民は歓迎した。無論,小泉ヘーゾー時代がその象徴である。しかしそれを許す芽は,この中曽根民活における国鉄解体にあったのである。 この分野の学者ではないパピヨンの独断によるシリーズですが,次回はいよいよ最終段階として,新自由主義と官僚の関係のまとめで締めることにします。 【注1】 たとえば90年代の初めだったと思うが,確かタクシーの規制緩和があったと思う.それまでタクシー業界は一生懸命に献金していたが,規制緩和の波に抗しきれずとうとう見捨てられた。パピヨンはその当時,官僚の許認可権限が弱まること自体が善と考えていて,これを歓迎したものだった。 もう一つは保険や銀行”護送船団”の開放。これも一見似たような感じがあるが,決定的に違うのは外資の存在である。すなわち,この開放は米国資本の日本進出が企てられた結果であった。 そもそも,護送船団の司令官である大蔵省が,これを手放すということをよほどのことがない限り容認することはありえない。官僚機構はこれともうまく共存を図るべく,新たな戦略を練っていく。これは新自由主義の基盤であり,現在まで曲折を経ながら延々と続いている。 【注2】 パピヨンの記事のあちこちに国鉄のことを書いている。パピヨンは鉄道の旅に限りないロマンを掻き立てられるタイプで,だから国鉄ファンでもあったのだ。しかし,駅の窓口でいつも駅員と喧嘩していた。駅員の横柄な態度が我慢ならないからである。そう,国鉄労働者の一部はとても横柄であった(もちろん,とても親切な人も多かった。あくまでも一部であり,どの世界にもある話であることを強調しておく)。 一般国民は国鉄解体の時は一部のことをすべてのように思い込んでしまったのである。国労憎し,国鉄不要,というムードに流された結果でこれもよくある話。 【注3】 労働者が何も考えず眠っている間に,なぜ資本主義は自ら奇形化していったのか。それはやはりまっとうな資本主義だけでは埒が明かなくなったからであろう。つまり,早晩,資源の取り合い,市場の取り合いで成り立つシステムはその存在基盤がなくなってしまう,という見通し(危機感ではなく見通し)ができたのであろうと思うのである。そういう新たな戦略が必要だという先見の明が禿げ鷹たちを生んだのだろうと思う。
by papillon9999
| 2009-05-29 21:58
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Comments(16)
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papillon9999 at 2009-05-31 22:13
これから『行政』の民営化が始まる恐れがあります。行政が営利事業と化すなんて,その結果は誰も想像できないでしょう。未知の歴史時代に突入していきます。それが楽園か暗黒かぐらいは想像できる人間でありたいものです。
未曾有の暗黒時代となっても誰も責任を取らない。そのときの国民が哀れです。
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kyusedai
at 2009-06-05 22:38
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資源の少ない日本でのんびりと仕事をしてきた公務員たちにとってパピヨンさんの懸念はありがたいでしょうが、質量とも良い行政サービスを求める国民は可能な限り行政の民営化を望んでいるのではないでしょうか。
国鉄は民営化されて確かに良くなりました。第一にお客に対しての口の利き方も良くなったし。郵便局員もテキパキ動くようになった。 先日、陸運事務所で車の登録を個人でしましたが、印紙は向こうの建物で購入して持ってきてくださいなどと平気で公務員は言いますね。印紙など受付でパット買えるようにすれば便利なのにと思いますよ。
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at 2009-06-06 01:16
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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at 2009-06-06 01:17
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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papillon9999 at 2009-06-06 09:27
>国鉄は民営化されて確かに良くなりました
民営化で口の利き方がよくなったことは確かです(^o^) すごく慇懃ですよね。しかし,何か同じものを感じませんか? そう,銀行です。零細業者であるとおっしゃるあなたは結構お付き合いがあるのではないかと想像しますがどうでしょう。お付き合いしてどうですか? まあ,それがどうであれ,慇懃であることが我々のために働いていることを意味しないことは,あなた自身が骨身にしみているのではありませんかな(^o^)~~~~~~?
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papillon9999 at 2009-06-06 09:35
あのJR西日本尼崎事故は,その遠因は民営化にあると見ます。
確かにわが国の大手私鉄はきわめて優秀で,民営化=大事故という等式は成り立ちませんが,大都市周辺の効率よい鉄道+総合開発事業と,過疎地域まで運行を義務付けられるJRや国鉄とは,経営コストを同列には論じられるはずがありません。 ただ,念のため申しておきますが,あのままの国鉄でよかった,というのではないですよ。それこそ,オーナーである我々が経営陣に参加する制度を取り入れるなどね。決して政府の言いなりになる有識者でなくて我々がです。そう裁判員制度ではなく,国鉄経営こそ必要だったのです。
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papillon9999 at 2009-06-06 09:56
パピヨンは鉄道の旅にこの上ないロマンを掻き立てられます。でも民営化後の方がむしろ役所のようになったJRの体質が大嫌いです。
特急のような優等列車でしか実質利用できないような仕組は,実質的な運賃の値上げであります。なにしろ,下等列車のダイヤが信じられないほど意地悪く作ってあるんですから!普通列車が到着する直前に,その先へ行く列車が出発するとかね(^o^)~~~~~~ 国鉄時代,国民は利用コストが小さいことによって税金が還元されていたのです。税金の収奪システムに関する拙記事をご覧ください。 http://papillon99.exblog.jp/7449613/#7449613
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papillon9999 at 2009-06-06 21:43
【注3】 追記分をここに。
労働者が何も考えず眠っている間に,なぜ資本主義は自ら奇形化していったのか。それはやはりまっとうな資本主義だけでは埒が明かなくなったからであろう。つまり,早晩,資源の取り合い,市場の取り合いで成り立つシステムはその存在基盤がなくなってしまう,という見通し(危機感ではなく見通し)ができたのであろうと思うのである。そういう新たな戦略が必要だという先見の明が禿げ鷹たちを生んだのだろうと思う。
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kyusedai
at 2009-06-07 12:00
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商いではなくて商道に徹することは必要です。
トヨタなど12兆円もの内部留保があるのに簡単に派遣を切ったりしますし、日産・ホンダが良い車種を出すととたんに対向車を出したりします、それも値段をかなり下げて。何が何でも儲ければいいのだという商いは商道に反します。 TVも視聴率があがるから面白ければ何でもいいということで番組つくりをし、老人の性器と他の老人の禿げた頭を吸盤と紐でつないで引張りっこをさせたりする番組を放送していました。(抗議したら、同種の内容はもう企画しませんからTV局本社には黙っていてくださいと製作会社から後で返事があった)。 しかし、民営化は必要です。公務員運営では改革改善力が弱いのです。民営化できる部分は民営化すべきです。
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kyusedai
at 2009-06-07 12:07
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各地にある市営住宅なども本来は無いほうが良いと思います。
民間の活動する場を自治体が奪っていることに等しいからです。
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papillon9999 at 2009-06-07 12:55
>公務員運営では改革改善力が弱い
これはおっしゃるとおりだと思います。(残念ながら,としておきましょう。) ただパピヨンが心配するのは,『民営化』という言葉の独り歩きです。どのような民営化なのか,ということに依存します。 『民営化とは競争原理に基づく市場に委ねることであって,どのような民営化かなどと問うのは意味がない』というのであれば,やはり反対せざるを得ません。 逆に,公営だとしても,どのような形の公営かという議論が必要でしょう。 この問題は人類の本質的なジレンマに由来していると思います。競争がないと人間は動かない,かといって競争させれば極限まで競争してしまう。この問題は遠く共産主義社会の理想,『必要に応じて働き,必要に応じて受取る』のリアリティへの疑問ともつながりそうです。 パピヨンは時々漏らしていますが,高度な国民本位社会を思い描いています。そこでは管理された企業活動,国民のよりよい生活のための企業活動,などが必要ではないかと思っているのです。 >市営住宅 低所得者にはどうするのかが描かれてないので同意するわけには参りません。
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at 2009-06-07 15:02
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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kyusedai
at 2009-06-07 23:38
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>この問題は人類の本質的なジレンマに由来していると思います。競争がないと人間は動かない,かといって競争させれば極限まで競争してしまう。
要するに程度の問題なわけですよ。モラルの問題とも言えるでしょう。 勤勉な労働と産業の革命により国民に資本が発生し、養える人口が増えたおかげで更に産業が高度化してきましたが、高度化すればするほど大切なのは人が人間性を失わないことでだと思いますよ。 商業にも産業にも道徳があり、政治・行政の世界にも道徳があります。政治活動を禁止されている教員が学校内で日の丸反対だとか、国民が食えないで困っているのに政権にしがみつき世界から孤立しても核軍備開発する隣国だとか、いつまでも一党独裁で国民に政権批判を許さず言論の自由を束縛する隣国だとか産地偽装の食品メーカーだとか道徳に問題があることが多すぎますよ。
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papillon9999 at 2009-06-08 00:35
そういう話になっていくと安易過ぎるわけです。
ミソモクソモ一緒に『道徳』というキーワードで説明しようとしても,あたっていたり的外れとなったりするわけです。 どこが当たってどこが的外れかについては,議論する気はありませんのでご承知おきを。
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papillon9999 at 2009-06-08 20:29
>『道徳』というキーワードで説明しようとしても・・・・
何事も『階級闘争』という概念で説明しようとしても無理なことがある,というのと同じです。少なくとも,官僚システムとの闘いは,旧来の階級闘争という枠には入りません。パピヨン史観ではそうなっています。
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at 2010-10-28 09:54
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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