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沖縄と「恨(ハン)」
2006年 03月 05日
しばらく沖縄へ行っていた.着いた日は肌寒く小雨模様だったが,翌日から晴れてきて,沖縄らしい空気をおいしく味わってきた.例の那覇のカプセルホテルも見てきたが,何の変哲もないビルで,何事もなかったように立っていた.
近くのおじさんやおばさんに,「あれは殺人事件だよね」と水を向けると,多くが「・・・」と言葉はなくて深くうなずく反応を示した. 国際通りの居酒屋でとても安い,いい店を発見したので紹介したい.ぜひ寄ってみて欲しい. 居酒屋 「ふるさと万歳」 ホテル国際プラザ2階 その間,新聞を読まなかったので,社会情勢がどうなったかよくわからなかったが,偽メール事件もとうとう終わったようだ.そこで一句できた. 「偽メール 事実もなかったことになり」 これより面白い川柳が今日の毎日新聞,「仲畑流万能川柳」に載っていた.特選ではなく,真ん中あたりの句.手元に新聞がないので正確に書けないのがもどかしいが,「正直」と「幹事長」が出ている句だ.自宅に帰ったあとで,書き加えることにする.また夜に見て欲しい. 「平和祈念資料館」はかなりよくできていた.下記の点である.きっと大田昌秀知事の時代だったからできたのであろうと推慮する.「姫ユリの塔」よりずっといい. 1.「沖縄人」以外の人々の被害も記録している. 2.日本軍による住民虐殺も記録している. 3.十五年戦争全体の中での沖縄戦の位置づけ・意味を記録している. ただし,不満は,一つある.それは,沖縄戦を持久戦に持っていった作戦は,「本土決戦の準備のための時間稼ぎであった」という言い方がなされていたことだ.無論,一部の脳みそのない軍人たちがそのように叫んでいたことは事実だが,多くの指導者たちは「本土決戦は無理だ」とわかっていたのだ.それがわかっていて,なぜ無意味な沖縄戦を続けたのか.その理由は「国体の護持」である. これは正確に,「天皇制国体の護持」の確信を得て終戦に持っていくための時間稼ぎだった」という言い方をすべきだろう.昭和天皇だって,日本軍の現状を知るや,愕然として,終戦やむなし,に傾いたという.「国体護持」の確信を得るために,「せめて最後の一撃を以って有利な交渉する」などとぐずぐずしている間に,沖縄の悲劇が拡大して行ったのだった.当然ながら,「琉球人」の犠牲など露ほども思いを馳せることはなかったはずだ.このグズグズさが悲劇を拡大していく様子は,田中伸尚著「ドキュメント 昭和天皇」第五巻で読むことができる.憤怒の涙なしには読むことができない.(公平のため記せば,沖縄現地司令官クラスの誰かが(牛島中将か誰か思い出せない.原著で確かめるべきだが)自決する時,「沖縄県民のこの頑張りに,(沖縄県民への)今後の特段の配慮を求む」と遺言を残した.) それにしても沖縄人たちはどうしてあんなに明るいのだろう.「琉球(民俗)村」や,私の町でも沖縄料理の店で観られるが,若い連中の三線弾き達.堂々と少しも臆することなく島唄を朗唱しエイサーを踊る.誇り高き人たちだ.思えば韓民族もそうだ.ものすごく誇り高い.その誇りを奪われ,虫けらのように扱われたその悔しさを想うと泣ける. この明るさは,でもすべてを許したからではあるまい.奥底深く「無念さ」がしまいこまれているに違いないのだ.これは,韓国に在る「恨(ハン)」と名づけられた「感情」と同じではなかろうか.深い深い,決して癒されることのない「恨み」.決して許すわけではないのだが,何を言ってももうどうしようもない,という気持ち.加害者そのものへは当然ながら,運命自体への嘆き・呪いの部分も大きい,一種無常感に占領された仏教的・哲学的な感情. 「恨」の感情を理解しようとはとてもおこがましいとは思いつつ,せめて精一杯の想像をして,自分の言葉で表現したいと普段から念じている.その一例が上記の言葉だ.当たらずとも遠からん事を願う.狂気が恐ろしい. (この記事をアップしてから数時間の間,最後から2番目の段落の「・・・韓国に在る」から,最後の文の「狂気が恐ろしい」までの途中がすっぽり抜けて,「・・・韓国に在る狂気が恐ろしい」という「恐ろしい」文になっていました.これは「恨(ハン)」のフォントカラーのタグ文中の「#"ff0000"」の最後の ” が抜けており,最後のセンテンス中の引用タグ文中の ” と反応したためでした.私の意図と正反対の「恐ろしい」文となり,不注意の「恐ろしさ」を痛感しています.前の文を見た人は再度読み直して欲しいです.)
by papillon9999
| 2006-03-05 15:26
| 済み
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