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神と科学(1)
2009年 03月 21日
以前,『科学と道徳』という題でシリーズ記事を書いた.この記事はそれの続編に位置づけられるものであり,いくつかに分けたシリーズ記事となる予定である.
今年になってからであるが,我が敬愛すべき義兄(葛飾の片隅で頑固に孤居を貫いている)がある一冊の本を届けてくれた.その本とは, スティーブン・J・グールド著:「神と科学は共存できるか?」,邦訳:狩野秀之ほか,日経BP社 であった. ![]() パピヨン自身の中では全く問題なく解決できている問題であるが,あのグールド【注1】が一体どのような『神と科学』論を展開してくれるのかとても楽しみであった.もちろん,パピヨンの理論をはるかに越えた何かがあるはずである! 実は,この本は翻訳調が強く感じられて,余り読みやすくは感じられなかった.それでも次第に読むのに調子が出てきて,現在はようやく約半分ぐらいの所まできている.その段階ではあるが,実に興味深いことが次々に出てくるので,取り急ぎ第1報をお届けしよう.皆さんの思い込みにたくさんの誤解があることがわかるだろう. (1) NOMA(Non-Overlapping Magisteria) の原理 まず最初に『NOMA』というものを理解しなければならない.「Magisteria」というのは「教導権」と訳されているが,あることを説明するための「権威ある指導原理」といったもので,「権」ということでその指導原理で説明できる・説明しようと試みてよい領分のようなものの存在を考えていることを示す. つまり,NOMAとは宗教と科学のそれぞれが,お互いの領分を犯さないように慎み深く尊重しあうことが必要だ,という共存原理のことである. 冒頭の章でグールドは『二人のトマス』を用いて,このNOMAの原理を導入する.一人目のトマスはイエスの十二使徒のトマス.このトマスはイエスの復活の証を求め続ける.証を確認しなければイエスの復活を信じない.そういうトマスに,イエスはあくまでも穏やかに,しかし断固として叱責する. 『見ないのに信じる人こそ幸いである』 このイエスの態度,これこそ宗教の領分である.これに対し,使途トマスの態度は宗教の領分では懐疑主義者となる.使徒トマスの悲劇は宗教の領分で科学の教導原理を用いたために生じたのである. もう一人のトマスは,アイザック・ニュートンの親友でもあったという,17世紀のトマス・バーネット卿.このトマスは宗教者であり,後に歴史から消えたがしばらくは重要な役割を果たした本をいくつか書いた.その業績?は聖書記述のあらゆることを自然法則から,つまり神の奇跡に委ねずに,説明しようと試みたことである.例えばノアの洪水の水がどこから来てどこへ行ったか,というようなことを.そしてその説明が合わなくなると,聖書記述の解釈を変更した.つまり,自然現象は自然現象のみで説明すること,を聖職者でありながら徹底的に貫くのである.(ニュートンよりも厳格に!) こうして,聖職者トマスは科学的考察の創始者となったのである(科学者としては正しい業績を遺すことはできなかったにしろ). それからダーウィンが我が子を亡くしたときの逸話も恐らく名文で(判りにくい翻訳文で)語られる.ダーウィンはその壮大な悲しみの内にあって神による慰めは拒否しながらも,慎み深く宗教への敵視や軽蔑は示さず粛々と科学の探求を行った.『科学の範疇にある事実の問題と各個人が自分のために解決しなければならない道徳上の問題とは別である』ことを理解していたからである. NOMAとはこのように,宗教と科学は互いに干渉せず,互いの領分だけに通用する理屈でやっていかなければならない,という思想である.なんと,これこそパピヨンが『科学と道徳シリーズ』と『水伝と道徳シリーズ』で一生懸命に伝えたかったことである. (2) コロンブスの伝説 現代はしばしば科学が宗教の領分に侵略する.それは科学が『宗教の非科学性』を追求する時である.その歴史的な題材が,ガリレオの地動説とコロンブス時代の地球の形,地球は平らではなく丸いのだ,ではないだろうか. コロンブスが大航海に出る時,我々は教科書で習ったのは『地球は丸いことを証明する』ということではなかっただろうか?これは当時の教会がまだ『平らな地球』を押し付けていたという裏返しである.しかし,グールドの本は教えてくれた.これは嘘なんだと.当時の教会はとっくの昔に地球は丸いことを知っていたのだと言う. ではなぜそのような誤解,つまり,『遅れた教会』対『先進的な科学』という固定観念,が広がったのか,ということに関して,興味深い歴史的事実を紹介してくれる. でも今日は疲れたからこれでおしまいにします.次回はこの続きと,米国で起こっているすさまじい創造科学の嵐を紹介します. 【注1】 この名前は一般の人にもかなり浸透したと思う.『断続平衡説』で有名な古生物学者.パピヨンは京都の国際会議場でこの人の講演を直接聴いたことがある.やや甲高い大きな声でカンブリア紀の大量絶滅の意味を熱く語っていた.印象に残っているのは,一般の進化のイメージは,先の方がどんどん枝分かれしている進化樹であるが,そうではない!たくさんの枝が途切れているのだ,と何度も力説していたことである. カールセーガンといい,グールドといい,素晴らしい科学者が早世するのはまったく残念である.
by papillon9999
| 2009-03-21 18:51
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Comments(1)
NOMAの共存原理とは,パピヨンの表現で言えば,『プラスのねじ回しはマイナスのネジには使えない』,となります.
しかし,どちらのネジも必要とされるのです.
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