人気ブログランキング | 話題のタグを見る
アルバイシンの丘
papillon99.exblog.jp

           
ブログトップ
メール     
当ブログ内の表現,論理などは,平和活動等のために活用してください.ただし,オリジナリティーが当ブログに存するものについては原作者を騙ることは禁止します.オリジナリティーを尊重してくださるようお願いします.     

随想や意見,俳句(もどき)

by papillon9999
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
最近の10記事
最新のコメント
パピヨン様 shino..
by shinoshi at 12:07
Jさん,以前はいつだった..
by papillon9999 at 19:15
Jです。ご無沙汰しており..
by J at 10:10
あっと,「賛成です」とい..
by papillon9999 at 14:38
賛成です。 9月入学し..
by papillon9999 at 11:49
shinoshiです。 ..
by shinoshi at 17:23
これはこれはお懐かしい!..
by papillon9999 at 21:35
パピヨン様 愛知県の牧..
by shinoshi2013(牧野弘幸) at 17:58
>史書というのはどうでも..
by 特命希望 at 13:58
はじめまして。お言葉です..
by 特命希望 at 13:45
最新のトラックバック
カテゴリ
以前の記事
その他のジャンル

Stop the 原発ファシズム
Stop the 官僚ファシズム
Stop the 軍産ファシズム
Stop the 経済成長至上主義
Stop the 弱肉強食システム
教育基本法への挽歌はまだ早い(3)
3.教育の目的
 ここは現行と政府案で大きく異なっており,あの有名な郷土愛とやらも現れる箇所である.現行法では,第一条で教育の目的,第二条で教育の方針,という条を並べているが,政府案では第一章として教育の目的及び理念,と立て,結構長々と続く.ここの違いはかなり重要な部分である.




【現行基本法】
 第一条(教育の目的)
 教育は,人格の完成をめざし,平和的な国家及び社会の形成者として,真理と正義を愛し,個人の価値を尊び,勤労と責任を重んじ,自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない.
 弟二条(教育の方針)
 教育の目的は,あらゆる機会に,あらゆる場所において実現されなければならない.この目的の達成のためには,学問の自由を尊重し,実際生活に即し,自発的精神を養い,自他の敬愛と協力によって,文化の創造と発展に貢献するように努めなければならない.

【政府案】
 第一章 教育の目的及び理念
  第一条 教育の目的
 教育は,人格の完成を目指し,平和で民主的な国家および社会の形成者として必要な資質を備えた,心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない.
  第二条 教育の目標
 教育は,その目的を実現するため,学問の自由を尊重しつつ,次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする.
 一 幅広い知識と教養,真理を求める態度,豊かな情操と道徳心,健やかな身体(要旨)
 二 個人の価値の尊重,創造性,自主自立の精神,職業と生活,勤労(要旨)
 三 正義と責任,男女の平等,自他の敬愛と協力,公共の精神,社会形成に参画,発展に寄与する態度(要旨)
 四 生命を尊び,自然を大切にし,環境の保全に寄与する態度を養うこと.
 五 伝統と文化を尊重し,それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに,他国を尊重し,国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと.
  第三条 生涯学習の理念
 ・・・その生涯にわたって,あらゆる機会に,あらゆる場所において学習することができ・・・社会の実現(要旨)

 1.現行法の場合,ここでまず教育の目的として,「平和的国家と社会の形成者」として国民の望ましい属性を具体的に書く.一方,政府案は似たようなことを書きながら,平和で民主的な国家・社会の形成者として「必要な資質を備えた国民」を要求する.現行法で具体的に書いた「個人の価値を尊び」,「自主的精神に充ちた」などの文言をまとめた形で,「必要な資質を備えた者」と一言に置き換えているのであろう.しかしこれは大きな危険性を内蔵している.「何が必要な資質なのか」は将来,国が恣意的に決めることになるだろう.国の方針を素直に受け入れることが一番の必要な資質になってしまう.

 2.政府案の第二条にある「目標」という言葉は,現行法の前文の最後の段落にもある.現行法における「目標」は非常に大きな意味を持たせた言葉で,私は「道標」のような意味で使ってあるのではないかと思う.
 そして,現行法第二条で「教育の方針」とある.これは「方針」であるから,第一条の目的を達成するために「国」が持つべき「方針」ないし「哲学」を定めている部分である.つまり,「国」は「学問の自由を尊重」し,「自発的精神を養い」,「自他の敬愛と協力によって文化の創造と発展に貢献するように努め」なければならないのである.
 重要なことはこれは「方針」なのであって,決して国民に「強制」するものではないことだ.場合によっては「真理と正義を愛さない」国民も出るかもしれない.しかしそれはそれで仕方がない,そういう人も生まれるかもしれないが,多くは「真理と正義を愛する」国民になることを期待する,そういう意味を持つのではないかと思う.そのために,憲法によって,たとえ「真理と正義を愛さない」国民がどんなに暴走しようとしてもできないような仕組みを作っているのである.そのように解釈したい.

 ところが,政府案は非常に矮小化され,いつの間にか,国家が国民に要求する事項となっている.つまり,「平和で民主的な国家および社会の形成者として必要な資質を備えた,心身ともに健康な国民の育成」のために,「豊かな情操と道徳心」だの,「公共の精神」だの,「社会形成に参画,発展に寄与する態度」だの,「伝統と文化を尊重し,それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度」だのを身につけさせることが教育の目標となるのである.
 「伝統と文化を尊重し,わが国と郷土を愛する」主体は「国家」でなければならないのに!

 3.政府案では「生涯学習」のようなものが眼につく.これは現行法でも「あらゆる機会」とあるのでそれに対応した形ではある.しかし,政府案ではことさら強調されているような気がする.理念としては悪いことではないと思うが,何か深謀がないであろうか.これは今の私では想像がどうしても及ばない.そのうち,これを根拠に何かおかしいことを始めそうな気がするのだが・・・考え過ぎか・・・?
by papillon9999 | 2006-12-14 17:13 | Comments(0)