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福祉ではなくて必要経費なのだ
 福祉切捨て(障害者切捨てを訂正)の実態を精力的にまとめられた関係性(morichan)さんのおかげで,幸せになるために(Yohko)さんのブログを知ることが出来た.Yohkoさんはご自身が難病に見舞われた方のようで,その『貴重な立場』からの発言を続けておられるようである.
 最近の記事「体験して知ることの意味」では「難病遭遇体験の意味」を考えておられる(と思う).その意味とは「知ること」.私は,この言葉を『この体験でなくては知ることが出来ないものは何か,を探すこと』と解釈した.その体験は自分を進化させ,(それを知ることは)「全体に対して、自分が役立つ瞬間でもありましょう。」とも書かれている.

 安全なところから,しかも頭だけで考えることしかできない私だけども,この記事で書かれたことは私なりによく理解できるつもりである.これを拝読して,ぜひ書いておきたいと思うことが生じた.ある意味で誤解を招きかねないのであるが敢えて書いてみたい.(過去の記事をすべて読んだわけではないので勘違いがあるかもしれない.その時はご容赦のほどお願いします.致命的な勘違いがあれば訂正,ないし削除も厭いません)

 Yohkoさんの言われる『体験』は(残念ながら)すべての人ができるわけではない(残念ながら,と言おう).それで,その『貴重な体験』を代表してやっていただく役目の人が必要である.というより,自然界(人間も大自然の一部であり,その法則から逃れることはできない)はそういう役目の人を必ず要求するのだというように私は考える.これは前の記事に書いた『自然界のバラツキ』のことと同じものである.
 ではその『体験』はなぜ『貴重』なのか,何のために必要なのだろうか.それはいろんな視点・地点・状態・・・からの見方,考え方を社会へフィードバックさせるためではないだろうか.例えば何か障害を負った場合,その視点・地点・状態・・・からの見方は,健常な状態にある人間に隠在している脆さ・危うさを指摘してくれるかも知れない.その指摘は全体の健全性を保つために重要な役割を果たしてくれるに違いないのである.健常な状態の人間にはそれは不可能とは言わないまでも到底期待できないだろう.
 そういう違った視点・地点・状態・・・からの考え方はどんなシステムにおいてもとても重要な要素である.多様性の原理だ.その一つの例がこういう所にもあると考える.こう考えると,yohkoさんの「全体に対して、自分が役立つ瞬間でもありましょう。」という言葉がよく理解できるのだ.
 一方,『貴重な体験』を出来ない人はどうすればいいのだろうか(どうすべきなのか).それはいろんな視点・地点・状態・・・からの見方,考え方を学び,システムの健全性に役立てる,ということだろうか.そのためには,体験しなくても『想像力』を働かせてそれ(体験無し)を補う努力をすることが必要になってくると思う.無論,想像力が及ぶ範囲ははるかに狭いとしても,とにかくそれしか手段はないのだから.

 代表して『貴重な体験』をしていただくにはそうでない場合に比べて非常に多くの身体的・金銭的なコストがかかるはずだ.以上のように考えると,そのコストは社会全体で受け持たなければならない,ということははっきりとわかる.もし『福祉』という言葉に『特別な配慮』という意味が含まれているとしたら,社会全体で受け持つべきコストは『福祉』ではない.『当然の必要経費』であるはずなのだ.最近の”ベッドはがし”はこの意味でも根本的に間違っている.
by papillon9999 | 2006-11-08 23:56 | Trackback(5) | Comments(10)
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Commented by Runner at 2006-11-09 02:10 x
こんにちわ。ついに流れてきました(^^;。
社会保障というのは「福祉」と「権利保障」の二つから構成されていると理解しています。
小泉政権がやらかしたのは、単なる「福祉」の削減ではなく「権利保障」の放棄だと思いますよ。
そこのところを批判する側もしっかり押さえておく必要がありますね。
Commented by yohko at 2006-11-09 09:44 x
アルバイシンの丘さん、トラックバックをありがとうございました。
そして私のブログから独自の記事をお書きくださって、とてもうれしいです。
おっしゃることはまったくそのとおりと思います。「貴重な体験をする人」と「体験しなくても想像力を働かせ、それらを生かし社会を創っていく人」などと、社会の中で役割を分担しているのだと思います。「自分は関係ないと思う人」が、一番始末に悪いですね。
ところで私は障害者ではないので、そのことだけは訂正をお願いしたいと思います。免疫不全の病気でただ今治療中です。治らない病気と言う医者もいます。新たに研究し治ると言っている医者は、日本の医療界からは無視されているとう状態です。それで私の治療はねじれた状態で行われているという訳です。
そのお陰もあり、物事を色々の角度からみるようになりました。何が幸いするかは、分かりません。自分は不運だと思う必要もないと思います。
どう生かすかですね!こうして皆さんとめぐり会えて社会に発信できることは、ほんとに嬉しく、全体に役立っていると思います。
ありがとうございます。
Commented by papillon9999 at 2006-11-09 09:45
Runnerさん  よくいらっしゃいました.コメントいただくのは初めてですね.
さて,『「権利保障」の放棄』ということですが,私は『権利』よりももっと普遍的な概念とみなすべきかと思ったのです.例えば,母親がお乳を挙げること,三度三度の食費を捻出すること,・・・などは,『お乳を飲権利』,『食事をする権利』に基づいて実行しているのではないと思うのですよね.生きていく活動そのもの,というのでしょうか.ですから,障害者が他の健常な状態にある人たちと全く同じ質の生活ができるような社会システムを構築する,というのも社会活動の自然な姿だと言いたいのです.
(それが完全に可能である,というのはお伽噺としても,それは別として,そういう姿勢,心構えの問題を言ってます)
Commented by papillon9999 at 2006-11-09 10:13
yohkoさま  『ところで私は障害者ではないので、そのことだけは訂正をお願いしたいと思います』
これは大変失礼致しました.早速訂正させていただきます.このような訂正のみでよろしいでしょうか.どうか遠慮なくご指摘ください.お願いします.
そうでした.難病も『その地点に立っていただく』という役目を果たされているという点では障害者と全く同じなんだと思えます.人類全体があっという間に崩壊しないために(ウィルス,環境の変化,・・など多数考えられる)そういうものが必要悪としてあるのではないかと思えてなりません.
Commented by morichan at 2006-11-10 13:11 x
 papillon9999さん
 社会の多様性を本当に理解できたとき、目の前が明るくなります。そして、この多様性は実態や体験そしてそれとの相互作用によって明らかになります。
 ですから、この多様性の中に含まれる「コストは『福祉』ではない.『当然の必要経費』である」という言葉には重みがあります。
 ブログの関係性からこの記事が生まれたことをとても喜んでいます。そして、あらためてYohkoさんの知性に感じ入っています。
Commented by papillon9999 at 2006-11-10 17:49
morichanさま  コメントありがとうございます.
私は2点,反省していることがあります.
1.Yohkoさんのことを『障害者』と思い込んでいたこととは別に,ご病気だ,と聞いたとたん,『難病だ』とまた思い込んでしまったことです.ご本人は一言も『難病』と表現しておられません.私は条件反射的に『難病』と反応してしまった,その浅はかさを反省しています.もしかしたら,Yohkoさんは不快だったかもしれません.もしそうであれば深くお詫びします.
2.Runnnerさんへの回答の中で,
『障害者が他の健常な状態にある人たちと全く同じ質の生活ができるような社会システムを構築する,というのも社会活動の自然な姿』
と書きましたが,これはホントの自然界ではこういうことはあり得ませんね.『人間社会だから』こうあるべきだ,と言わなくてはならない,と思いました.『それが福祉なのだ』という反論を受けそうですが,それでも『必要経費』だと言いたいです.『特別の配慮』という感覚では相対的なものにすぎず,削減の対象となります.
Commented by Runner at 2006-11-10 22:54 x
要は、「福祉」だと「道徳律」とみなされるため、「予算がない」といって切り捨てることが可能なわけです。
実際、この論に多くの人がはまってしまい、渋々ながら納得させられているように私には見えます。
Commented by papillon9999 at 2006-11-11 09:24
『「予算がない」といって切り捨てることが可能』
そうなんです.『財政に余裕があれば』という話になってしまいます.それは間違っている,ということを指摘したいです.
Commented by Runner at 2006-11-11 11:23 x
このところ気になってしょうがないんですが、なんでもかんでも「米国ではこうだから」「米国のようにしましょう」との線で事が進められていますよね。
しかし、実際の米国はどうなんでしょうか?
たとえば、先の選挙で小泉さんを支持した人たちの内、米国では郵政は民営化されていないという事実を果たして何人の人が知っていたでしょうか?
確かに、米国が低福祉国家であることは間違いないでしょうが、憲法で定められた諸権利を政府が履行しないなんてことがあるのでしょうか?
何か、人々の知識のなさにつけ込んで、都合よく米国カードを利用しているだけのように思えて仕方ありません。
障害者の置かれている立場についても、きちんとした日米比較を知りたいものです。
Commented by papillon9999 at 2006-11-13 12:59
『米国では郵政は民営化されていないという事実を果たして何人の人が知っていたでしょうか』
そうなんですよね.グローバル化のキーワードで何でも米国の都合のよいシステムにさせられてしまった為政者の責任は重大なものがあります.歴史にその屈辱の汚名を残しておかねばなりません.
欧米は『権利意識』が旺盛ですから,障害者の立場は美しい我が国よりはるかに進歩しているような気がします.車椅子で海外旅行に出かける,という風景が普通に見られると思います.ただし,サッチャーのように削減の対象とする大ばか者も現れますね.『権利意識』に基づく考えの限界といえないでしょうか.
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