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アルバイシンの丘
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随想や意見,俳句(もどき)

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藤原氏のインタビュー記事より 前編
 毎日新聞の2面に,インタビュー短期連載シリーズ『新・宰相考』が載っていて,9月6日付にはあの『国家の品格』の著者,藤原正彦氏のものが掲載された.『国家の品格』は読んでいないが,宇佐美氏の記事その他で大体どのようなものか想像できているつもりでいる.ただし,その想像でものを言っては公平ではないので,直接に批判したことはまだない(はずだ).
 しかし,未だに彼の話に感動する人が後を絶たない.それで,なんかものを言いたくて(文句をつけたくて)たまらなかったので.このインタビュー記事を題材にしようと思う.ただ,記事は非常に短く,この材料のみでは心もとないので,この人(藤原氏)の議論の仕方(議論の性格)のようなものを考察してみよう.



(以下,新聞から要旨のみ.といっても記事自身が要旨としてまとめてあるようだから,ほとんどそのままかな)

【質問】  小泉政権の5年半を厳しく批判していますね.
【藤原氏】 「国柄」を壊した.格差がどんどん開き,金銭至上主義社会にしてしまった.日本はそれから最も遠い国だった.小泉首相だけが悪いわけじゃない.国民もそれを支持した.「小さな政府」も支持して自分たちの首を絞めている.一体誰が貧しい人や恵まれない人,地方を助けるんですか.

【感想】  うーん,一見,まったく文句のつけようがない.しかし注意してみるとこういう所でも実はあるのだ.『金銭至上主義社会に日本は最も遠い国だった』とさりげなく書いている部分,ここは重要な役割を微妙に果たす部分のようだ.そう,いつ頃のことか,というのが何も言ってない.
 文脈からすると,明らかに小泉政権によって,最も遠い国じゃないようににさせられた,と読める.しかし,国民は『エコノミックアニマル』として世界中で嫌われた時代があった.それはもう二・三十年も前になるだろう.だから,小泉政権以前でも『最も遠い国であった』とは言えないはずだ.(確かに新自由主義的にものすごくひどくはなったが).彼はそのことを当然知っているが,あえて小泉以前もそうだったとは書かない.そう書くと,一気に隠しておきたいことまで言ってしまわなければならない.一番言いたいことは『戦前は金銭至上主義ではなくて素晴らしい時代だった』なのだから.
 つまりこういうことだ.我々は,『金銭至上主義から最も遠い国であった』と書かれると,何となく通過させてしまう.特に新自由主義のひどさがわかった今は,何となく肯定したくなる.しかし,藤原氏の戦術のうまさはこういう所にあると見た.つまり,この文言,命題,には誰も積極的に異議は挟まないだろう.それで,読者の同意はずっとひきつけておけるのだ.読者は勝手に,新自由主義のひどさを思い浮かべるだろう.しかし,藤原氏が本当に言いたいのは,『金銭至上主義から最も遠い(良き)時代とは,もっと遠く,戦前,あるいは明治,さらには江戸時代ですよ』なのではないだろうか.最後の方を見るとそれがわずかに窺えるのだ.しかし,彼はここではあえて具体的には言わない.勝手にイメージさせておくのだ.

【質問】  国柄,とは何でしょう.
【藤原氏】 卑怯を憎み,誠実や勤勉を尊び,惻隠の情があふれる国です.武士道精神ですね.生き馬の目を抜く市場経済が吹き荒れる世界で惻隠は最も必要なキーワードです.バブル経済がはじけてから,日本国民は「布教克服のためならなんでもする」ようになった.人心と社会が荒廃し,小泉政権がそれを加速してしまった.

【感想】  うーん,一見まったく文句のつけようがない.ただ.『武士道精神』なるものがほんとにあったのならであるが.それに,市場経済で惻隠はなぜ必要か,というのが不思議だが,不良債権処理による敗者の無残な状況が忍びない,という意味だろうか.ここはまあ,わかる.しかし,この時に必要なのは『惻隠の情』などではなくて,具体的な救済策なのではないか.そういう政策が必要で,惻隠なんかしてもらっても自殺を止める助けにはちっともならない.
 そして,武士道精神を失ったのはいつか,ということがここでも問題だ.小泉政権や新自由主義によって失われた,と勝手にイメージする人をここでもひきつけたままにしておくのだ.しかし,この人のいいたいのは,実は『戦後教育』のせいらしい.これは後になってようやくわかる.

これも長くなったので,二つに分割する. この稿,続く.

忘れないように書いておく.読者にずっと賛同を抱かせながら書いていくとどうなるか.そういう賛同の惰性で,読者は自分と感性が似ていると錯覚するだろう.そうすると後で本音を漏らす時に,それへの賛同を勝ち取りやすくなるではないか.
by papillon9999 | 2006-09-07 22:00 | Comments(0)