随想や意見,俳句(もどき)
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危うい『誹謗中傷』論(2)
2006年 09月 06日
ということでやはり『誹謗中傷とは何か』をさて置いては議論が進まないのだろう.それで,次の記事において『誹謗中傷』について書かれている.それによると,
・『誹謗中傷』は被害者側がそれに相当するかどうか決める権利がある,その傍証として侵略戦争の例を挙げる.この部分はテサロニケ氏自身も後になれば赤面するくらい恥ずかしい論理だろうと思う. 『誹謗中傷』を権力者が乱用したらどうなるか考えてみればいい.表現活動は死んでしまう.『誹謗中傷を正当な批判であるとして正当化する論法は、侵略戦争を防衛戦争だとして正当化する右翼の詭弁とよく似ている。』 と書いているが,そもそも『誹謗中傷』を正当化などしていない.『誹謗中傷』にあたるかどうかが問題なのではないか.侵略戦争だって,我々はそれを侵略戦争だと認識したから,右翼のいうように防衛戦争と言い張るのは詭弁だとわかる.逆に今の日本は米国に侵略されている,という認識は現在の(被害者である)我々には乏しい.しかし,後世,そういう評価にならないとも限らない. ・『悪意や敵意や不信感が1グラムも混入』したら正当な批判とは言えず,『誹謗中傷』と受け取られてもやむをえない,という.これも非常に外した議論だ.不信感がなくて安倍批判がどうしてできるのだろう.敵意がなくて,憲法改正論を批判できるはずがない.問題は正当な論理がそこに認められるかどうかであって,その論理を戦わせるべきであることはいうまでもない.ただし,往々にして『人格攻撃』に転化していくことが多い.これが始まると議論はできない.速やかに終わるべきだ.これはどなたにも言えることで,私自身も大いに気をつけたい. さらに次の記事では,『誹謗中傷』を『卑劣な言葉による暴力』と置き換えて,如何にそれがいけないかを論じている.しかし,『卑劣な暴力』がよい,とは誰も主張していない.不思議な論陣だが,これも一種の印象操作だろうか.件の記事が『卑劣な言葉による暴力』に当たることが,すでに自明であるかのような議論だ. そして最後の記事(現段階で)において,とんでもない記述が現れる.これまでの経緯をまとめながら, 『ここまでの状況から判断して重要なポイントは、主宰者と当該ブロガーが事実として記事を誹謗中傷記事だと認めている点である。』 と書いている.これは私の調べた範囲では明らかに事実に反すると思う.美爾依氏のTBセンターの趣旨はそもそも安倍氏批判だけではなかった.Soba氏の当該記事は安倍氏批判のやり方?を指導するようなものだったので,趣旨に外れる,ということを両者が納得したからではなかったのだろうか.これに対し,簡単に削除に応じた,という点を異様な執拗さで追求し,裁判やプロバイダ対ブロガの強弱関係に悪影響を残した,というような大げさな論理展開が続く.これでは言論への誠意が疑われても仕方がないだろう. 以上の通り,テサロニケ氏の記事を軸にしてコメントさせていただいた.ここから先は感想・ないし疑問を一人呟こう. 1.AbEndのTBセンターを運営する事業者が,なぜ記事削除を要求したか動機が非常に疑問である.安倍氏(側)が動いたのか?しかし,当該記事は論理展開そのものではなくて,リンクの貼り方のような,ネット上のテクニックを開示したものだ.それを安倍氏側が目ざとく見つけて,しかも削除依頼まで行ったとは(いくら安倍氏でも)到底考えられない.それより直接的な安部氏への罵倒記事はたくさん氾濫しているからだ. 推理小説の好きな私としては,ある推理が浮かぶが,それこそ『誹謗中傷』と言われそうなのでやめておく.『特定の政治家への批判キャンペーン』に対する事業者の不安だとしたら,これもなぜ他のもっと過激な罵倒記事は許されるのか.テサロニケ氏自身が『その作者だけ狙い撃ちにされた』と書いているが,なぜこの人(Soba氏)なのだろう.だれか意趣を抱いている人でもいたのだろうか. 2.そもそも,テサロニケ氏はどのようにして『今回の記事削除の件』を知ったのであろうか.パソコンから離れていたのでよくわからないが,テサロニケ氏が絡む前から大騒ぎになっていたのだろうか.(この疑問は事実関係ですぐに答が出るだろう.) 3.テサロニケ氏とSoba氏は互いに犬猿の仲であることを自他共に認めている.従って『誹謗中傷』に敏感なテサロニケ氏は何か手を打ってないのだろうか,という疑問を持つ.例えば,・・・やはりやめておこう. 4.テサロニケ氏のこれに関する一連の議論は非常に一方的,強弁的であると感じる.(Soba氏への私憤に駆られての(追加注2)直接の非難,批判ならわかるが).これで思い起こすことがある(注1).テサロニケ氏とは直接関係がないのでここに書くのは申し訳ないが,いわゆる議論に長けた『理論派』という体質を持った人は,実はあっさりと転向する,という印象を持っている.戦前の『文化人』の挙動をよく勉強すればわかることだし,戦後には全共闘達の終焉後の行動を見てもよい.自分の論理力を駆使して転向を正当化できるのだ.だから主観的には転向ではない.弾圧に負けてやむなく転向する,というより悪質で,なによりすさまじい偽善. 以上,図らずもテサロニケ氏への非難になってしまった.みんなの尻馬に乗ってバッシングしたのではないつもりだが,客観的にそう見えるだろうか.私としては公平に判断したつもりの結果である.非常に残念だ.今さらながら私ごときが,という気もあったが,遅ればせながらここは一つ,Soba氏へエールを送らなくてはなるまい,と思ったのである. 最後にテサロニケ氏へ一言.Soba氏の批判があるから,ないから,といって,我々のあなた(テサロニケ氏)への評価は全く影響されません.みんな自分の判断であなたを評価しているのです.いい所も悪い所も. 注1追記:どういう連想が働いたのかを書かないと不公平かもしれない.それはおそらくこういうことだと思う.安倍氏を利用・あるいは彼と協力して『誹謗中傷』を行った者をやっつけようとする態度が非常に危うく感じるのである.敵を利用することは両刃の剣であって非常に慎重な取り扱いを要するはずだ.しかし,この一連の記事では躊躇・逡巡が見られない.身内(もし言えるならば)の批判者をあっさりと売ることに通じるような気がしたのである. 注2追記:どなたかの記事に『私憤』とあった.この場にピッタリなので借用する.
by papillon9999
| 2006-09-06 21:41
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Comments(9)
TBありがとうございました。1,2とナンバーがなかったので、一瞬、同じエントリが入ったかと錯覚しました(笑)。
>いわゆる議論に長けた『理論派』という体質を持った人は,実はあっさりと転向する,という印象を持っている というくだり、非常によくわかります。ひとつには自分が理論家ではないせいだと思いますが、私は論理というものを100%は信用していません。どちらかと言えば「ん? 何処かおかしい」というカン(感覚というのでしょうか)の方を信用しています。理論だけで一致していた人は「久しぶりに会ったらまるで話が噛み合わなくなっていた」ということがままありますが、感覚が近かった人はめったにそういうことはありません。(送信がうまく行かず、2~3度クリックしてしまいました。重ねて入っていたら、お手数ですが削除してください)
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papillon9999 at 2006-09-07 12:23
華氏451度さん ずいぶん久しぶりの気がします.①,②などが表示される所とそうでない所とあるんですね.
さて,論理が100%であれば,すべての人が同じ結論になるはずですが,そうでないのはやはり人によって公理系が異なるからでしょうね.それは感性とか感覚とか想像力とかに当たるのでしょうか. 数学だって,公理系が異なれば異なる世界が現れますからね. ところでこの話題ですが,かなりひどいようです.かつてのチルドレンとしてはとても残念な思いです.
ほんとにお久しぶりな気がします。紀行も読ませていただいておりましたが、コメントする機会がないままでした。今回の話は残念というか、頭痛がしてきそうです。他に考えておきたい問題もあるので、傍観を決め込んでおりますけれども。
公理系が異なる――そうですね。あるいはもっと単純に、論理には道具性があるということかも知れません。 それから――私は詳しいことは分かりませんが、マル囲みの数字はしばしば文字化けの原因になるようです。たとえば私はウィンドゥズを使っているのですが、メールでマル囲みの数字を使った場合、受け取り先がマックならほぼ確実に化けます。というわけで、ブログでもマル囲みは使わないようにしています。
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at 2006-09-08 07:37
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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papillon9999 at 2006-09-08 13:10
kojitakenさん お初にお目に?かかります.それでは初めからの経緯は詳しくご存知なんですね.私の記事はそんなに大過ない,と思ってよろしいのですね.私もチルドレンの一人でした.なんかかっこいいリーダーになりたいようですね.私のような弱小ブログは一兵卒にしか思ってないのでしょうね.
それにしても唐突に『今回の記事削除の件は』と切り出すのは不自然ではないのでしょうか?ずっとウォッチしてないとわからないでしょうに. それはともかく,私も今年一月から始めた初心者です.よろしくお願いします.『小さなブログがつながって大きなことをしたい』です.
papillon9999さま
説明不足ですみませんでした。この件を取り上げておられたので、つい前置きなしでいきなり本論に入ってしまいました。 STKのメンバーだということは存じ上げていたので、まさか今年に入ってからのブロガーの方とは思いませんでした。なんか、STKのメンバーって雲の上の人かと思いがちで、つい何でもご存知なんだろう、って思ってしまった次第です。 もうあちこちで書いているので公開コメントにしてしまいますけど、あの件の削除依頼をしたのがテサロニケ氏自身ではないか、という推測(それも、確証はないものの状況はそれを指し示している)を聞いて、まさか、でもひょっとしたら、と思いながら、しばらく更新されていなかった「世に倦む日日」を開いたら、あのエントリ(8月31日)が目に飛び込んできたんです。背筋が凍る思いとはこのことで、冗談でなく恐怖を感じました。ただ、彼が権力側と手打ちをしたとまでは思ってません。手打ちさえ辞さないぞという恫喝だと思います。 TBありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。 (前の非公開コメントの原稿は手元にないので、二度同じことを書いてしまった部分があるかもしれません。ご容赦ください)
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papillon9999 at 2006-09-09 20:31
kojitaken さん 詳細なコメントありがとうございます.彼の記事が出る前に,「ひょっとしたら彼が・・・」という疑いはあったのですね.うーん・・・その推理をもう一歩進めると,現在Sobaさんのブログの事業者にも,「ブログ消滅」を要求するような働きかけをしてないのだろうか,という疑いにもたどり着きますね.
わたしは「世に倦む日々」のチルドレンだったのです.その真摯な初心を忘れないよう,STKのバナーは貼ったままにしています. 私は気分的にはまだまだ「ブログ初心者」のつもりなんですよ.書式を整えるために,「table」機能を使いたいのですが,exblogではそのやり方がわかりません.
papillon9999さん
この件はもつれさせたくないですね。テサロニケ氏の過去の記事を見たら、ずいぶんAbEndの主唱者・美爾依さんの「カナダde日本語」を気に入ってたみたいだから、余計にそう思います。 美爾依さんが「STOP ABE」を呼びかけた時、私はまっ先にそれに応じました。運動の名前が「AbEnd」になったのは、美爾依さんのブログへの私のコメントがきっかけになっています。だけど、その時からSTKとかぶる発想だということは十分認識していましたから、いつかはこういう日が来るという予感はありました。でも、ここまでひどい形で来ようとは思いませんでした。 私も、ブログの開設がもうちょっと早かったら、テサロニケ氏の門下生になっていたかもしれません。私はROMに過ぎなかったとはいえ、彼のブログから多くを教わりました。だから、本当はこんな事態は避けたかったのです。
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papillon9999 at 2006-09-11 14:42
kojitakenさん 反体制運動(古い言葉!)はいつも分裂して行きますね.昔からの宿命です.原水禁運動の分裂や社共の反目を嘲笑したりする資格はありません.
一つは運動それ自体が,『世直し』というより一つの自己主張,自己アピールの手段になっているからではないでしょうか.これを利用してのし上がる,とか.だから自分が不要になった運動主体に対し,牙をむくのでしょう. |