アルバイシンの丘
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随想や意見,俳句(もどき)

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最高裁判断の考察-夫婦同姓の強制問題-3
 前報(最高裁判断の考察-夫婦同姓の強制問題-2 2016年 01月 09日最高裁判断の考察-夫婦同姓の強制問題-1 2016年 01月 06日)までの趣旨をまとめると以下のようになる。
1.民法の条文は形式的に男女の対称性(平等性)を満たしているので,



男女平等の観点から違憲を問うのは筋違い。現代における社会的文化的情況と実質的男女平等意識とのミスマッチングの問題。
2.たとえ選択的夫婦別姓の制度を条文化しても,現代の社会的文化的情況では期待した男女平等の状態が実現するとは限らない。(割合は減るかも知れないが,現代の情況下では夫婦別姓を”選択できない”カップルが依然として存在し続けるだろうという意味)
3.個人の不利益を強制するという観点からの違憲訴訟も”比較不利益”に過ぎないから無理。さらに個人対国家の観点から人権問題とするには,個人的人権について概念拡張が必要だろう。(国家が個人を管理するための姓に関して,”改姓を強制されない権利”,”改姓できる権利”など)
4.以上にも拘らず,選択的夫婦別姓は個人にとっては最も自由度の高い制度であり,法律レベルで改正するほかはない。
5.その際,我が国には近代天皇制(象徴天皇制ではない)の亡霊が空気を支配しており,改正は容易ではない。(改正を強行すれば,勢力は小さいがテロ行為などを誘発しかねないほど強力な意志が存在する。)
6.ではどうすればいいか。やはり国会で改正派が多数を占めて,法律改正を目指すほかはない。(結局,堂々巡りになってしまうが,どうにも致し方ない。実質的な国民主権を目指す中で,こういうことはほかにもたくさんある,その中の一つだろうということだ。)
7.パピヨンの真意を白状しておこう。4に書いた通りであるが,それにも拘らず,夫婦の姓そのものについては全く興味はない。興味があるのは近代天皇制を成仏させるには何が有効かということだけである。

さて,本記事では最後の問題に移る。

3.女性だけにある再婚禁止期間に関して

 この争点に関しては最高裁は実に中途半端な判断を下した。100日を超える部分のみを違憲としたのである。これは言うまでもなく,妊娠という事態を配慮してのことであろう。しかし,これは”余計なお世話”というべきである。これまでの議論から明らかなように,この件は当然ながら撤廃すべきものである。すなわち,再婚禁止規定はすべてが違憲でなければならない。

 そもそも,この問題の本質は男女間の厳然たる非対称性にあることは言を要しない。むろん,妊娠という事態が持つ非対称性である。男はいくら望んでも自分が妊娠することは無い,その非対称性である。
 だから,その特権(自分の子供であることは自他ともに自明)を引受けた女性とその特権を持たない(自分の子供であるかどうかは客観的には推認にすぎない。極端な場合,女性自身にすら判然としない場合もあるだろう)男性の間に非対称性が生じるのはやむを得ないという考えもあり得るだろう。
 しかしながら,他の法律は男女間のその非対称性を何ら配慮してくれない。例えば遺産相続に関して,女性がその再婚禁止期間の所為で権利を得られない,といった不利益が(現実にどの程度多く生じるかは別として)生じるのを想定できる。こういう意味から,再婚禁止期間条項の撤廃は貫徹すべきであり,最高裁判断は中途半端と言わざるを得ないのだ。

 ところが,この禁止条項を撤廃するには実に微妙,デリケートな問題をクリアしなければならない。男女平等を貫徹するために,また,最高裁に”余計なお世話”と言うために,我々の知恵を総結集しなければならないのである。

 現在はDNA鑑定によって真の父親はだれか?ということは判明する。しかしながら,再婚禁止条項を撤廃する代わりに,たとえば100日以内に誕生した子供にはDNA鑑定を義務付けるというような規定を設けるとすれば,全く別の深刻な人権侵害を引き起こすだろう。もちろん,女性の人権侵害(再婚者だけ強制的にDNA鑑定に供されることの精神的苦痛,その他),男性側の人権侵害(同じ。特に旧夫),赤ん坊の人格無視という人権侵害,といった点である。
 しかし,赤ん坊にも本当のことを知る権利というものが存在しており,大きくなってそれを使おうとするかもしれない。それから,男性側には本当に自分の子供であるかどうか,本当のことを知る権利というものも認める必要があるだろう。この場合,DNA鑑定を要求する権利なども考慮すべき問題となる。

 微妙でデリケートな問題とは以上のようなことである。何かうまい法的テクニック(例えば離婚の際にはDNAデータを交換するとか・・・無理かぁ・・・(^o^))が発明できれば良いが,そうでないとどのようにすればよいのか・・・パピヨンは解を持っていない。違憲状態は許されないとすれば,100日条項を撤廃し,真の父親問題は当事者間で解決すべき個別の問題となる(解決のためにはDNA鑑定が使われることも多いだろうが),というしかない。それが,DNA鑑定を全体に義務付けるよりも(ましてや100日条項で強制的に禁止するよりも)マシであると思われる。
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by papillon9999 | 2016-01-19 08:02 | Trackback | Comments(0)
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