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アルバイシンの丘
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随想や意見,俳句(もどき)

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エボラの脅威に便乗するな,BSL4施設の稼働(4:早くも現れた御用水先案内人?村中璃子さん)
 村中璃子
  エボラ患者は入院できても退院できない レベル4ラボを正式稼働せよ!
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4368

また,これに群がる幾多の付和雷同組。ここをご覧ください。




)。たちの悪い人なのか純粋で素朴なのかは今のところ不明だが,公表された記事を基に判断すると,この方の心配は真剣なようにも思える。危機感がそこそこに伝わってくる。だから,ツイッターでも垂れ流しの付和雷同拡散が続いているのだろう。
 だが,もし真剣にこのようなことを宣まうとすれば,それは医師・ライターとしての能力欠如を示すことに他ならない。そして真剣でなければ,たちの悪い御用水先案内人だ。
 本記事では,『BSL4施設がなければ退院の判定もできない』という言い分の頓珍漢性(ある種のトンデモ性)を論証する。以下のように,BSL4施設があっても治療には意味がないし,またそれがなくても退院の判定はできるのである。(第1報に書いた,安田某氏の”当てずっぽうの薬品試し”は可能であるが,時すでに遅いのだ)。

 1.村中璃子さんの言うように,エボラ患者の治療時において,活きたウィルスを常時監視しておかないといけないのであれば,BSL4施設は治療にあたっている特別な病院のすぐそばにないといけない。つまりセットとして存在している必要がある。しかし,BSL4施設は稼働しても1カ所,特別な治療施設は45病院であり,”治療のためのセット”という概念は全くない。何度も書くように,BSL4施設は実験研究施設,エボラ患者に必要なのは医療施設なのである。

  2.活きたウィルスを分離することは時間がかかる。仮に武蔵村山の施設がBSL4として稼働したとしても,各地の特別な医療施設から採血したものを武蔵村山まで運び培養するということになるが,これでは却って面倒くさくてしかも時間がかかりすぎる。採血した中に含まれるであろうウィルスを不活化して武蔵村山で検査する方がはるかに早く,効果的である。

 3.患者の血液を採取して,ひょっとしたら存在するかもしれないウィルスを不活化する操作を施して,武蔵村山で検査することはBSL4違反にはならないし,ウィルスの有無や数の多少の判断にはそれで十分である。従って,症状が治まり,ウィルスが消滅していればそれで退院の判定は可能である。その上で,念のため72時間の経過観察を行えばよい。

 4.(追記)そもそも,病院は比較的便利な場所になければならない。この種の特別な病院となれば,国際空港の近くも候補地として考えられる。ところが,BSL4施設は,WHOの立地指針によれば,人口密集地を避けるべきとされている(前報にて既述)。国や推進側は意図的に誤訳しているのである。となれば,人口密集地を避けるべきBSL4施設と,比較的便利な場所にあるべき病院とが同居できるはずがない。これからしても,村中璃子さんの言う治療のためにセットとしてBSL4施設が必要ということはおかしいとわかるのである。

 以上によって,村中璃子サンの言う,チェルノブイリや福島の原発事故が,放射能被曝関連の御用学者たちの絶好の売込み機会であったのと似ているが,そうではないことを祈るのみである。

とにかく,活きたウィルスが国内に存在すること自体の危険性は,万一のテロ等を想定して,すでに根絶されている天然痘ウィルスを”念のために”国内に存在させておくとしたら,と想起するだけで想像できるだろうに。

村中璃子さんの発言(備忘録)

エボラ患者が出た場合、現場では、他の病気と同様、まず診察と検査をし、治療方針を立てるために、患者の状態の評価をする。エボラの場合、患者状態を評価する際の基本となるのは、血液中のウイルス量。エボラは、発熱で始まる急性期(急に症状が出て悪くなって行っている時期)に、ウイルス量が増加。回復期に入ると突然、ウイルス量が減少に向かうことが知られている。入院時採血で得られたウイルス量をもとに治療方針を決め、治療を開始した場合、それが効いているのかを評価していくのもまたウイルス量による。医療現場では、血中のウイルス量が把握できて初めて、患者の状態や病気の進行ステージを理解し、有効性を評価しながら、治療を進めていくことができるのである。

 エボラウイルスは感染法上の1種病原体、世界保健機関(WHO)基準ではリスクグループ4、つまり、地球上でもっとも危険性が高い部類に属する。1から4まである国際的バイオセキュリティ基準(=バイオセキュリティレベル、BSL)の最高段階、BSL-4(レベル4)の検査・実験施設でしか取り扱うことができない。レベル4の施設は日本にもある。しかし、日本ではBSL-4に相当するラボ(国立感染症研究所村山庁舎)が正式稼働していないのが現状だ(感染症法の表現としては、1種病原体等取扱施設として厚生労働大臣の指定を受けていない)。

 厚労省によれば、「エボラ疑い」の段階の患者から採取された血液検体は、レベル3の施設でも取り扱うことができる。そのため、エボラかどうかの診断までは現状でも下すことができる。しかし、エボラと確定して以降は、エボラウイルスの含まれた血液などの検体を、レベル3で扱うことができなくなる。

 エボラ患者が「回復した」と判断されるのは、状態が良くなり、かつ、血中からウイルスが検出されないことが確認されたとき。こうなれば、エボラを他人に感染させるリスクも、自らが再びエボラに感染するリスクもない。しかし、この判定にはレベル4として正式稼働している施設が必要だ。

 エボラと確定すれば、隔離され、治療を受けることはできる。しかし、レベル4施設が正式稼働せず、エボラ治療の基本である血中のウイルス量測定すら出来ないこの国では、入院時の状態や治療の評価はおろか、「回復した」という判断を下すこともできないのだ。レベル4を正式稼働しないとは、医療者に手探りで医療を施せと言っているようなもの。患者が回復し、仮に退院できるとなっても、まだ感染源であるかのようなスティグマを押されてしまう事態も懸念される。

新型インフルエンザとの比較

 2009年の新型インフルエンザでは、WHOがパンデミックを宣言して世界を不安に巻き込んだが、当初予測されたよりも「致死性が低い」というウイルスの性質に助けられ、それほど大きな被害はなかった。実をいうと、過去にパンデミック(世界的流行)を起こしたインフルエンザウイルスはすべて致死性が低い型のもの。「スペイン風邪」(風邪と間違えられたが、実はインフルエンザ)と呼ばれた1918年のパンデミックでは世界中で多くの死者が出たことが知られるが、それは当時の医療水準が低かったためだ。

 エボラ出血熱の致死性は高い。すでにアフリカを中心として、多くの死者を出している。しかし、思い出してほしい。エボラは飛沫で流行しやすいインフルエンザとは異なり、体液に直接触れることでしか感染しない「流行しづらい」病気である。見てのとおり、他人との距離が遠く、衛生状態のよい先進国では、医療者や渡航者の散発例は報告されても、一般人の間での流行は見られていない。

 2009年の新型インフルエンザが「致死性が低い」というウイルス自身の性質に助けられてきたように、エボラもまた「流行しづらい」というウイルスの性質に助けられ収束していくのか。希望を持ちつつも、これを機にやるべき体制づくりを急ぎたい。


by papillon9999 | 2014-11-03 20:35 | Comments(16)
Commented by yakumo at 2014-11-09 15:52 x
インターネットでエボラ熱のニュースや意見をいろいろ調べましたが、レベル4の危険性を訴えたものは貴殿一人です。
どちらが正しいか見定めようと思っています。
Commented by papillon9999 at 2014-11-09 20:52
コメントどうもありがとう。
”レベル4の危険性を訴えたものは貴殿一人”という少数意見に注目してくださり,ありがとうございます。

拙記事がご参考になれば嬉しい限りです。
Commented by papillon9999 at 2014-11-21 09:56
その後の村中璃子さん
エボラ上陸「予行演習」で見えた日本の無防備なバイオテロ対策
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4411
この中にもバカなことを書いている。
「エボラ疑い」としてBSL-3で検査された検体は、「エボラ確定」となると突然、扱いが変わってくるからだ。感染症法によれば、いったん、エボラと確定した検体は、確定から2日以内に破棄するか、BSL-4に運ばなければならない。

不活化して検査した検体がエボラと確定したとしても,このように突然扱いが変わってくることはない。
もしそれがホントなら,BSL4施設の排気は施設外に出せなくなる。その中に不活化したエボラウィルスが含まれる可能性があるからだ。施設設計はそれを前提としているのである。このような矛盾を平気で,一般国民が知らないと思ってのことだろうが,公に発信するとは,この璃子さん,どうやらこれからハッタリで生きていく覚悟のようだ。これは改めて記事にしようと思う。
Commented by papillon9999 at 2014-11-25 08:58
4を追加しましたよ。治療施設とBSL4施設が同居することはおかしいという理由の第4番目。
Commented by chayakoban at 2015-05-04 16:40 x
ご意見に全面的に賛同します。
村中璃子さんの『エボラ上陸「予行演習」で見えた日本の無防備なバイオテロ対策』(BLOGOS)に対して、次のようなコメントをしました。

>患者の状態評価は、PCR検査では分からない。
>患者が回復し、他人への感染力がないという確定診断は、患者の血液を培養してウイルスが増殖しないことを確認し、生きたウイルスが存在しないことを証明することでしかできない。

活性ウイルス分離法による検査(一週間以上を要する)はBSL4施設が必要であるが、RT-PCRによる遺伝子検出法は、検体処理過程でウイルスが不活性化されるので、BSL3施設で迅速に実施できる。治療現場では、下記文献(シエラレオネで感染し、ドイツのハンブルクで治癒した患者の治療経過報告)に記載されているように、RT-PCR法が主に用いられる。

Kreuels B et al.A Case of Severe Ebola Virus Infection Complicated by Gram-Negative Septicemia. N Engl J Med. 2014 Oct 22. [Epub ahead of print]
患者の体液のRNA遺伝子の増減・有無がリアルタイムRT-PCR法によって継続的に測定され、治癒の確認と退院の判断が行われた。

>患者の血液からエボラウイルスが取れれば(BSL4)、必ず遺伝子情報を解析し、必要に応じてプライマーを書き換えていく必要がある。

エボラウイルスの遺伝子情報は、不活性化ウイルスの遺伝子解析(BSL3)から得られる。
Commented by papillon9999 at 2015-05-05 08:40
これはこれは大変貴重な情報をありがとうございます。
大変役に立ちます。
今旅の途中なので取り急ぎ御礼まで。
Commented by chayakoban at 2015-05-07 16:08 x
RT-PCR法に関する追加情報です。ご検討ください。
論理的には患者の診断・治療支援はBSL3(2)施設で実施可能と考えます。もちろんBSL4でも可能ですが、エボラ脅威に便乗してBSL4の使用が認可されると、感染研の本来の狙いであるBSL4施設を用いた研究のための恒常的使用が懸念されます。
日本でのエボラ治療経験はないので、治療現場の報告が重要な情報であると思いますが、ご検討いただけると幸いです。
Commented by chayakoban at 2015-05-07 16:21 x
(1)最近のニュース(CDC)「エボラ出血熱から回復して半年近くたった男性から感染」の判定もRT-PCR法が用いられています。
http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm64e0501a1.htm?s_cid=mm64e0501a1_w
Commented by chayakoban at 2015-05-07 16:34 x
(2)感染研の検体検査法では、ウイルス分離法はBSL4施設、それ以外のRT-PCR法などは、検体処理過程でウイルスが不活性化されるので、BSL2施設で検査可能です。

IASR(Vol.26 p 218-221)
わが国のフィロウイルス感染症(マールブルグ病とエボラ出血熱)の検査システム

フィロウイルス感染症では、発症初期(急性期)には高度のウイルス血症を呈するためRT-PCR、抗原検出ELISA法、ウイルス分離・同定が有用である。また、回復期には抗体が検出される。感染研では、これらの検査法を用いて総合的に実験室診断が可能である。なお、ウイルス分離・同定にはBSL4実験室の稼働が必要であるが、それ以外の検査法では、検体の処理過程でウイルスが不活化されるためBSL2レベルで検査が実施できる。
(国立感染症研究所・ウイルス第1部 森川 茂 西條政幸 倉根一郎 )

Commented by papillon9999 at 2015-05-07 20:22
chayakobanさま
数々の貴重なご教示,まことにありがとうございます。
大変参考になりました。気を強くしています。

ところで,2つ上に戴いたコメント中,

>日本でのエボラ治療経験はないので、治療現場の報告が重要な情報であると思います

とのことですが,以下のような趣旨のことでしょうか?

【キューバ政府および国境なき医師団(MSF)はBSL4施設を持っていないのに、今回のエボラ騒動でもいつものように多くの医師、看護師を派遣し、懸命に治療にあたっています。また、ナイジェリアもBSL4施設は持っていませんが、今回患者10人程度でエボラの侵襲阻止に成功しています。日本もこのような事実に学び、BSL4施設が国内になくとも早急に医療ノウハウの蓄積を進めて欲しいものです。】
(BSL4施設の必要性の意味 http://bsl4731.exblog.jp/20853029/ より)

私自身はこの【日本もこのような事実に学び、BSL4施設が国内になくとも早急に医療ノウハウの蓄積を進めて欲しい】という意見に大いに賛同するものです。
Commented by chayakoban at 2015-05-07 22:08 x
感染研(村中氏)は、日本で患者が発生した場合、ウイルス分離法によってウイルスの増減・有無を判定し、治療法の有効性や退院の決定を判断するので、治療支援のためのBSL4施設が必要であると主張します。ウイルス分離法は一週間以上の時間を要します。
しかし、海外の治療現場では、報告にあるように、迅速な遺伝子検査法であるRT-PCR法が主に使用されているので、日本での治療でもRT-PCR法が有効であると考えます。感染研(村中氏)がウイルス分離法を主張するのは、治療現場の経験がないのではとの疑念がわき、「エボラ治療経験がない」と記述しました。この主旨で、私も、海外で医療ノウハウ学んでほしいと思っています。
なお、感染研の報告では、RT-PCR法は検体の処理過程でウイルスを不活性化するので、BSL2で実施できるとしています。
Commented by papillon9999 at 2015-05-07 23:31
ああ,そういう事情なのですね。素人にとってはほんとうに有益な情報です。ほんとうにありがとうございます。長崎大学の設置計画に反対しているグループは知っておられるのでしょうか。大学はかなりいい加減な説明をしているようですので,ぜひ教えてあげたいと思います。彼らには設置計画をぜひ阻止してもらいたいです。
長崎大学のホームページより,設置検討の経緯http://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/bsl4/outline/
この中にはかなりの誇張や脅し,印象操作が含まれていて,ある種の高度なウソというべきです。

別のコメントで
『バイオテロ・生物兵器対策としてのBSL4施設の稼働・新設は反対ですが、国家安全保障の特定秘密に指定されることを懸念』とのことですが,私も全く同様の懸念を抱いています。
Commented by chayakoban at 2015-05-09 10:49 x
RT-PCR法に関する追加情報です。
エボラ感染症から退院14週めに男性の眼体液からエボラウイルスが発見された最近の記事です。検査はRT-PCR法です。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1500306#t=article
Commented by papillon9999 at 2015-05-09 14:18
chayakobanさま
情報,まことにありがとうございます。
重要な検査もRT-PCR法で行われることを確認いたしました。
Commented by chayakoban at 2015-06-23 10:03 x
「感染研村山庁舎BSL4施設の稼働に関する市民連絡会」
の見解をブログに投稿しました。一読くだされば幸いです。

ネット検索で「katakuri.blog.jp」
http://katakuri.blog.jp/archives/1031027463.html
http://katakuri.blog.jp/archives/1031235500.html
http://katakuri.blog.jp/archives/1031243352.html
http://katakuri.blog.jp/archives/1031650682.html
http://katakuri.blog.jp/archives/1031928732.html

Commented by papillon9999 at 2015-06-23 21:25
chayakobanさま,貴重な情報ありがとうございます。
大変役に立ちます。
それから,木村盛世さんの記事で,あなたがコメントしておられる所も拝見しました。
記事にしようと準備していますが,ちょっと時間が取れなくて苦心しています。
これからもよろしくお願いします。取りあえずは近々,MERS関連の記事をアップしますが,ご意見を賜れば幸いです。