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アルバイシンの丘
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随想や意見,俳句(もどき)

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原発の直接的地球加熱効果(3.排出CO2による温室効果との比較)
 思いがけず長い長いブランクが生じてしまった。自分でも話の流れを忘れそうになったので,改めて整理しておく。基本は,原発は火力発電に比べ,廃熱をより多く出す宿命を負っているということ。そして,その余分の廃熱量は非常に大きいことを,
 ・原発の直接的地球加熱効果(1.余分の廃熱で琵琶湖は何度上昇?) 2014年 04月 09日
 ・原発の直接的地球加熱効果(2.余分の廃熱で全大気は何度上昇?) 2014年 04月 10日
とで考察してきた。
 シリーズ1と2での結論は以下のとおりである。



 1.100万kWの原発一基は,同じ出力のコジェネ発電に比べて,1年間に6.57×10^13 kJだけ余分に廃熱を放出する。このエネルギーは,琵琶湖を1年間でΔT=0.572 ℃上昇させる能力を持つということであった。たとえこの熱がいかに薄められようと,これだけ地球を加熱したことには間違いがないことである。
 2.この同じ廃熱量は,全地球上の大気を1年間でΔT = 1.29 × 10^(-5) ℃ = 0.0000129 ℃ 上昇させる能力でもある。あるいは,この熱が日本上空の大気の量だけに加わるとしたら,ΔT = 0.0174 ℃ の温度上昇をもたらす。

 前報において,日本における1年間の総発電量をすべて原発で賄ったら,として計算した(実際やるかどうかとは無関係の,どのくらいすさまじいかを実感するための話だからね。)その場合,100万kWの発電設備だと114基分の発電量になる。すると,次の結論が得られた。

 『原発の余分の廃熱は琵琶湖を年間で65.2 ℃上昇させ,または日本上空の大気を2℃上昇させ,または全地球の大気を0.00147℃上昇させる』

 本記事ではいよいよ最後の段階,原発推進論の最後の拠り所である火力発電由来のCO2の温暖化効果なるものの大きさを推定し,原発由来の余分の廃熱による直接的加熱効果と比較する。その比較の公式を改めて書いておく。

  原発:100万kW+廃熱量A=100万kW+廃熱量B相当分+(余分の)廃熱量C
  火力:100万kW+廃熱量B+排出CO2による温暖化効果D

 このようにみなして,上式の(余分の)廃熱量Cと温暖化効果Dを比較しようとしているのだからね。

 さて,考察は以下の手順で進める。

  1.火力発電によって排出されるCO2量を求める。
  2.そのCO2量がCO2濃度を今より何ppm押し上げるのかを求める。
  3.その増加したCO2濃度でCO2の放射吸収率がどのくらい増加するかを求める。
  4.放射吸収率が増加したことによる温度上昇寄与分を上記の大気上昇温度と比較する。
  5.4の比較を基に,温暖化防止のためには原発再稼働しなくてはならないという原発推進理屈がホントかどうかを検証する。

(1)排出CO2量の見積もり

 排出CO2量を見積もるのは結構面倒である。燃料と発電方法などでいろいろ変わるからだ。ここでは概算の目安を得るためなので,シンプルに考える。
 ・燃料:LNGによるコンバインド発電を例にとって考える。
 ・CO2排出係数値:(ここから拾ってきた。)すなわち,4ページ目の図中,『LNGコンバインドのグラフ』の『発電燃料燃焼』の値である。それによると,0.407 kg/kWh
  コジェネ発電用であればもっと少ないと思うが,直截的な値を発見できなかったのでこの値で代用する。つまり,コジェネ発電ではCO2の寄与はここでの計算よりももっと少ないと言える(と思う)。
 ・出力100万kWの場合,1年間に排出するCO2の総量:1 kWh あたりの排出CO2量は0.407 kg だから,100万kWの場合,1年間あたりのCO2排出量=10^6×24×365×0.407=3.56×10^9 kg/year

(2)排出CO2の濃度(ppmへの寄与)【注:通常使われているppmは体積比ですね。質量比を体積比に直します。本質は変わりません。】

 ・大気の全質量:前報の計算より,5.10 × 10^18 kg,分子量28.8
 ・大気に占める排出CO2の濃度(分子量44):3.56×10^9/(5.10 × 10^18)×(28.8/44)=6.98×10^(-10)=6.98 4.57×10^(-4) ppm
 すなわち,1基分のコンバインド火力によって,1年間でCO2濃度が0.000698 ppm 0.000457 ppm増加,わが国の発電すべてをコンバインド火力で賄うと114基必要だから,1年間でCO2濃度が0.0796 ppm 0.0521 ppm増加することになる。

(3)排出CO2による放射吸収率の増加

 本記事所論の方針は,まず(2)で求めた排出CO2のppm増加分によりCO2の放射吸収率がどれだけ増加するかを求め,次にその増加した放射吸収率で温暖化効果がどれだけ増加するかを求める,という2段階で行うことである。【注1をぜひご覧ください】
 ということで,【注1の吟味を経て】本記事では次のモデルを用いて計算する。出典は二酸化炭素濃度(ppm)増加に伴う大気温度変化の計算である。これによると,次の式(1)は
 『
Hottelが実験に基づいて作成した二酸化炭素の熱放射率推定図表をもとに、Faragらは放射吸収率が次の関係式で推定できることを示した。』
とある。念のためこれらの原著論文をあたってみたが,ネットでは発見できなかったので,そのまま用いた。この式は現実の温暖化効果ガスの放射吸収率によく合っていることが示されている(というか,現実に合うようにパラメータを設定したのだろう。従って,少なくとも現在値付近では誤差はそれほど大きくはないだろうと思われる。)
原発の直接的地球加熱効果(3.排出CO2による温室効果との比較)_f0036720_10494911.jpg
 この計算式は大気層の2000m~4000mまでの厚さ2000mの大気の層に関して(これ以下の大気の層では放射吸収はほとんど関係がないから),現在のCO2の濃度を370ppmとして濃度と放射吸収率の関係を与える式である。CO2濃度が1000とか2000の場合はともかく,現状より少し変化する場合の放射吸収率の変化を求める場合には【注1】の考察を以って十分に使えると判断した。
 出典元には計算に必要な係数パラメータ値がすべて与えてあり,だれでも計算できるようになっている。そして,計算した結果のグラフが示されている。それが下図である。CO2濃度370ppm時点での放射吸収率は 0.150449722という値になる。この値が客観的観測事実とどの程度一致するのか,よくは知らない。ちなみに,水蒸気についても計算されていて,その値は0.61442となっている。ただし,水蒸気のこの値はほとんど一定と考えてよい。
原発の直接的地球加熱効果(3.排出CO2による温室効果との比較)_f0036720_10460406.jpg

 以上から前節(2)で求めた,CO2排出量によって増加したppmが,放射吸収率をどれだけアップするかを求めることができる。その結果は以下のとおりである。(誰でも計算できるので確かめてもらいたい)。
     CO2濃度370ppmの時,ε=0.150449722
     CO2濃度が0.0796ppm 0.0521ppm 増加した時,ε=0.150455816 0.150449722

(4)CO2の放射吸収率の増加がもたらす大気温の変化
 いよいよ,CO2の放射吸収率の増加がもたらす大気温の変化を見積もることができる。同じ引用元の,二酸化炭素濃度(ppm)増加に伴う大気温度変化の計算には温室効果ガスの放射吸収率と大気温の関係を与える式が書かれている。この根拠となる理論は,おそらく大気一層モデルだと思われるが,【注1】に書いた意味で本記事の目的には十分と思われる。理論的過程の概略を【注2】に簡単に書いておく。とにかく次の式である。
原発の直接的地球加熱効果(3.排出CO2による温室効果との比較)_f0036720_17442144.jpg
 この式のaは温暖化効果ガス全体の放射吸収率であり,水蒸気分+CO2分+他の温室効果ガス分で近似される。水蒸気分はほぼ一定,他の寄与分は一定とすると,aの値の変化はCO2濃度の変化がもたらすことになる。地表に到達するエネルギーIiは 277W/m^2として計算してある。また,Tは地表温度であるが,これが大気の温度と等しいとしてある。ただし,どの範囲の大気まで等しいと想定できるかはわからない。従って,本来なら生活圏における大気温の変化と解すべきだと思われる。つまり,原発の廃熱による大気温度上昇の際は,大気全量を対象にしたのであるが,こちらの場合はその一部だけを対象にしたものと解さなければならない【注3】。それにも拘らずこちらの温度上昇は以下に見るように小さいのである。
 出典元の計算グラフは以下の図が示されている。CO2濃度370ppmの時,大気温変化=0℃となったグラフである。

原発の直接的地球加熱効果(3.排出CO2による温室効果との比較)_f0036720_10491938.jpg
 それではパピヨンが計算した結果を紹介しよう。
原発の直接的地球加熱効果(3.排出CO2による温室効果との比較)_f0036720_17220909.jpg

 すなわち,我が国の年間の発電をすべて火力で賄った時(100万kW出力で114基分)に排出するCO2によってもたらされる大気温の上昇は,現状を370ppmとした時には 0.000234℃と見込まれる。この値は,原発の余分の廃熱量によって直接大気を加熱して上昇する温度0.00147℃よりもかなり小さい。また,仮に現状が500ppmとした時には0.000165℃と見込まれ,さらに小さくなる。【注4】

 以上,本シリーズの結論として以下のことが言える。(計算に間違いがなければ(^o^))

  温暖化防止のために原発を稼働すべきだ,という論は間違いである可能性が大きい。

 地球温暖化に危機感を持って原発再稼働を叫んだ人は,これを機会にその考えはご遠慮ください。

 
以上で,原発の余分の廃熱による地球の直接的加熱効果がいかに大きいかの考察を終える。本記事の所論には,理論的にやや不確実な部分も存在すると思うので,この結果で鬼の首を取ったように大騒ぎするつもりはない。だが,それならば同時に,CO2排出を以って原発にすべしという論理も実に無責任と言わざるを得ない。よくわかっていないのに原発が温暖化対策に良いなんて主張するな!と言えるのである。
 それから,CO2の悪玉論自体については,この記事ではどちらとも主張していない。仮に悪玉であったとしても,原発の廃熱よりはマシだ!という主張で,今は十分と考える。機会があれば悪玉論そのものを考察したいのであるが・・・


【注1】 ここで問題となるのが,この種の地球環境科学分野では確立された定説というものがない点である。いくつかのモデルがあって,CO2悪玉説に有利となったりその逆であったり,する。本記事の目的はこれらの優劣を吟味することではない。パピヨンは真の事実に到達したいという動機のみでこの記事を書いている。そういう中で,本記事のような計算はどのような意味を持つか,書いておく。
 本論考の目的はお判りのごとく,現在からの変化量を推測することである。従って,仮に或るモデルに基づき計算した値に誤差が含まれているとしても,変化量はその誤差を相殺する方向に働くので,絶対量自体を問題にしない限り,一応のモデルであれば,その変化量が小さい範囲では致命的な誤差を含むものとはなりにくいと思われる。式で書くと次のようになるかな。

   現在のCO2濃度による温暖化効果=真の値1+誤差1     ①
   わずかに濃度が上昇した時の温暖化効果=真の値2+誤差1+α (α:高次の微小量) ②
   温暖化効果の変化分=②-①=真の値2-真の値1+{(誤差1+α)-誤差1}≒真の値2-真の値1+α (α≒negligible)  ③

 これを,sin θθの近似式で説明してみよう。この近似式はθが十分小さい時に成り立つ(これは,モデル計算が現実に十分合っているということに相当する)。例えばθ=0.1とすると,sin(0.1)の値を,0.1の値で近似する意味である。この場合,sin(0.1)の値が真値(人間にはわからない),0.1がモデルを立てて計算して得られた値となる。詳しく書くと,

   sin(0.1)=0.0998334166468282 だから,①式の左辺=0.1,右辺=真値+0.000166583353171809(誤差1)
   
sin(0.11)=0.109778300837175 だから,②式の左辺=0.11,右辺=真値+0.000221699162824995(誤差2)
   真値の変化分=0.00994488419034666を0.11-0.1=0.01と予測する。その誤差は,0.0000551158096533388となり,それぞれの近似の誤差より2桁精度が上がる。本文の計算でもこれと同じことが期待できる。

 ただし, ③式が近似的に成り立つのは,濃度変化が十分に小さい時に限られることに注意しよう。例えば上の例で,sin(0.11)-sin(0.1)ではなく,sin(0.2)-sin(0.1)の場合は,それぞれの近似が十分であるにもかかわらず,その差の近似の精度は上がるとは限らない。従って,濃度が大きく変化,例えば2倍になった時などの予測には③式は使えず,モデル自体の信憑性が第一義的となる。逆に言えば,現状をある程度説明できるモデルであれば,どのモデルを採用しても,本記事の論考,現状からわずかに変化する分の見積もりには本質的な影響は与えない。

【注2】 この式の導出過程は次のとおりである。
    地表から放射される熱線エネルギーE=σT^4 (Stefan-Boltzman の法則,黒体近似,σ:ボルツマン定数)①式
    Eは温室効果ガスにより吸収率aで吸収され(aE),残り(1-a)Eは宇宙へ逃げる。さらに吸収されたaEは四方へ放射されるので,外向きは宇宙へ,内向きは地表へ戻る。割合は五分五分。従って,宇宙へ逃げるエネルギー量の総和は,(1-a)E+aE/2となる。地球が熱的平衡にあれば,逃げるエネルギーだけ太陽から補給されていることになり,保存則から次式が成り立つ。(I:太陽熱入射量(初めにアルベド係数で反射された残り))
    I=(1-a)E+aE/2 ②式
①式と②式から,本文(3)式が得られる。(IはI1のこと)

【注3】 地表温度はその付近の大気温度と等しいと考えてよい。しかし,計算結果の23℃を上空2,000mの大気まで含めるわけにはいかない。従って,ここでの大気温度というものは,地球全体の大気を意味しないと考えるべきである。

【注4】 強調しておくが,この比較はかなり控えめなもの(核マフィア側に有利な条件での結果)である。
1.まず,対象となる大気の量が違う。原発廃熱による温度上昇は,地球上全大気量を上昇させるのに対し,温暖化による大気上昇は全大気量を対象としたものではない。
2.また,CO2削減技術はこれからも進歩するだろう。
3.原発は遠くに立地しなければならず,大消費地までの送電線によるロス(発熱)が無視できないだろう。
4.使用済み核燃料の冷却熱がまた地球加熱に貢献するだろう。
5.核燃料製造工程や安全重視の原発建設時にも多くの余分の環境負荷がかかることだろう。
等々をすべて無視している。それでも原発の余分の廃熱による地球加熱効果の方が温暖化への寄与は大きいのである。

by papillon9999 | 2014-10-08 00:31 | Comments(3)
Commented by papillon9999 at 2015-06-11 23:17
ずっと前から考えていたのを忘れていた!
改めてリンクを張っておくけん。

発電方法と温暖化http://papillon99.exblog.jp/16266621/#16266621
発電方法と温暖化・続http://papillon99.exblog.jp/16333762/

Commented by 地方議員 at 2016-02-09 10:39 x
原発が海水温の上昇が、全世界の異常気象を引き起こしているに違いないと睨んでいます。その意味で、こういう理論的な考察は貴重な示唆を与えると思われます。

原発は従来、産業と雇用を維持する装置として社会に組み込まれ、危険な側面は覆い隠されてきました。電力会社の巨大資本は、マスコミを広告収入で黙らせ、産業界に巨大な発注力で影響力を及ぼし、政官界は政治力(政治献金を含む)で締め付けてきました。

国会には与野党を問わず息のかかった議員を送り込み、地方議会には社員を議員として送り込んだり、候補者を東電労組が推薦して味方につける工作を長年にわたって繰り広げてきました。

因みに、私めは零細な地方議員ですが、公的な場で「原発は怖危険だ」と言ったら、直ちに東電労組の推薦を打ち切られました。推薦がなければ労組の組合員の投票は期待できず、票が減って落選の危機に直面します。図らずも、原発村による政治支配の一端を身を以て体験したという訳です!

Commented by papillon9999 at 2016-02-09 18:10
地方議員さま

この記事に着目してくださって嬉しいです。
原発村の戦略は用意周到ですね。核廃棄物の処分を,国が引き取って行うというのが間違いの素なんだと思います。
発生させた者が自らの土地に埋めるというルールを作りさえすれば,気楽に核廃棄物を増やすことはできないでしょうに。

温暖化は産業革命以後の,エネルギー使用自体が原因であろうと今は確信しています。それだけのエネルギーを使って来たということは,その何倍ものエネルギーを排熱してきたということになるのですから。
おそらく,言われてみれば当たり前,のコロンブスの卵だと思います。学会で発表したいくらいです\(^o^)/。
(研究者の方へ:この件はパクらないでください\(^o^)/。いずれ私が発表しますので。(時効2年))

東電労組の推薦などなくても当選できるよう,頑張ってくださいね!
あなたのような地方議員が増えないことには,この国はどうしようもありません。