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アルバイシンの丘
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随想や意見,俳句(もどき)

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世界トンデモ遺産(1)服部禎男さん
 だいぶ以前からマークしていた方である。またまた大げさなタイトルを付けて申し訳ないが,「御用遺産」というよりも,この方の場合は「トンデモ遺産」のカテゴリーがふさわしいと判断した。カテゴリーが増えすぎると管理が行き届かなくなるが,あまりにもぴったりなので仕方ない。電力中央研究所という組織の元特別名誉顧問という錚々たる肩書を名乗っておられるにもかかわらず,なぜトンデモなのか。



 この方は『「放射能は怖い」のウソ 親子で考える放射能Q&A』という本を書いていらっしゃる。その中の冒頭であろう部分に漫画で分かりやすく解説している箇所があって,それを独立してウェブで見ることができる。(本は買うはずもないが,ウェブ漫画は「ご自由にご利用いただけます」と書いてある。)

 放射能のホントの話
 
 基本的には,この漫画と次の批判記事を参照してもらえば,そのトンデモ性がよくわかると思う。

 (書評)服部 禎男 (著) 「『放射能は怖い』のウソ 親子で考える放射能Q&A」--博士の異常な愛情

 服部さんが漫画で主張しているストーリーは,次のようなものである。
1.トーマス・ラッキーと言うアメリカの学者が,”低線量の放射線を浴びると元気になる”というホルミシス効果なるものの論文を書いた。それを服部さんは発見した。1984年のこと。
2.放射能は怖いと聞かされていたので驚いたという話のあと,なぜかアメリカの電力研究所本部EPRIに問い合わせる。(問い合わせ先は医学関係ではないのだね)
3.この手紙がきっかけで,なぜか米国エネルギー省が動き,世界中の専門家(何の専門家だろうかね)を集め,オークランドで国際会議を開く。これが1985年のこと。(エネルギー関係者が集まってもわからんだろうに。そこには医学方面の御用学者も多く招待されたのかね?きっと,凄まじい接待だったろう。望ましい結論を出してもらうために。)
4.その国際会議で,なぜかわずか1年後のことなのに”ラッキー博士の論文は正しいぞ!”と認定された。これだと追試をやって確かめる時間はなかったはずだから,”政治的に”認定されたのかね,たぶん)
5.その結論が出たので,これから自分で確かめる実験を始めた。そして電気工学者であるのに,なぜか10年余りで素晴らしいデータがたくさん出て来た。どんなデータなのかね?
6.服部さんにとっては思いがけぬ素晴らしい新発見もあった。その一つが,”若返り効果”。その他にも,癌抑制遺伝子の活性化,免疫系の活性化,各種ホルモンの増加,コレステロールの減少!まさに良いことづくめ!
7.喜んだ服部さんは,そもそも,なぜ放射線は危険と言われたんだろうか?と考える。そして,それは80年前の或る実験に原因がある,と主張する。それは,マラーという遺伝学者によるショウジョウバエの実験である。その実験では,ショウジョウバエに放射線を浴びせると,その量に比例して2代目,3代目に異常がでる結果が得られていた。
8.マラーの実験結果は都合が悪いので,さらに考える。そして,2つのことを発見した。一つは,この時代,まだ染色体のみでDNAの存在は知られておらず,DNAに修復機能があることも知られていなかった,と主張する。しかし,修復機能が知られていようといまいと,異常が出ることには変わりないんだけどね。放射線の悪影響の否定にはなってないんだが。
9.二つ目は,ショウジョウバエはDNAにも修復機能を持たない,珍しい生物であり,だからショウジョウバエには異常が出たのだと主張する。
10.だから,DNAに修復機能のある人間には,放射線は悪影響どころか,健康に良い効果を与えるというホルミシス効果は矛盾しないのだ,それを研究し発表を続けているのだ,と主張する。
11.ICRPがホルミシス効果を認めないのは,”50年以上も放射能は有害であると言ってきたんだ,今さら放射線は体に良いなんて言えるか”というメンツ上の理由からである,と主張する。(単に,そうはいえないからだろうに)。
12.さらにICRPが採用するLNTモデルは,マラーの実験結果に拠るものだ(だからLNTモデルも間違いだ),と主張する。(全然違うはずなんだが。)
13.そして最後にこう宣言する。『でも放射能を恐れることはありません!』

 以上のような主張は,どのようにトンデモなんだろうか?多くのことについては,上掲,引用した書評に書かれているので,それを参照してください。
 本記事では,他に触れられていない,9番の主張に対して,それがトンデモであることを指摘しておきたい。

 まず,ショウジョウバエは,DNAの修復機能を持たない珍しい生物である,という科学的事実があるかどうかだけど,この主張を為す人は服部さん一人のようである。それもそのはず,この説に従えばとんでもないあり得ない事態が出来するはずだからである。

 すなわち,DNAが傷ついて修復機能が無いとすれば,その傷は蓄積していく。つまり,元のDNAは見る影もなく違ったものになっていくはずである。すると,ショウジョウバエがショウジョウバエのままずっとあり続けるはずがないのである。最も可能性が高いのは,ランダムな傷をうけるのだから,生存不適合の状態になることである。
 それが,未だに『ハエ』という分類が可能であるとすれば,逆に,修復機能が無いということはあり得ない,といえる。(改変していく途中で修復機能を偶然獲得したことを除けば(^o^)/)

 いやいや,複雑な生命機構に関して,「永久機関は存在しない」というカテゴリーに入るような話に持っていくのは危険すぎるかな。DNA修復機能が無くても,それに代わる,ショウジョウバエがショウジョウバエのままずっとあり続けることのできる機能が存在するかも知れない。その危険性を10%とみよう(パピヨンの服部説の誤解も含め)。すると,
 『ショウジョウバエは,DNAの修復機能を持たない珍しい生物である』という説は嘘である。
という命題が10%の危険率で成立する。つまり,服部説は90%のトンデモである。

 もう一つ異なるバージョンで,ショウジョウバエの修復機能は成長すると失われるもので,ある時期までは機能がある,という説も聞いたような気がする【注1】。服部さんではない他の人(電力中研の人だったような気がするが,定かでない)の話ではなかったかな。
 これだと,生殖時までは修復機能があるとすれば通常の子孫が残せることになるが,それはマラーの実験結果と矛盾し,かつそれを批判した服部論拠と矛盾する。

 以上が,服部禎男さんの登録理由である。

 ところで,放射線と異常の発現との関係を調べた実験では,なぜショウジョウバエだけが有名なのだろうか?他の生物でも夥しい実験が行われているはずだが,これは本記事のテーマを外れるので割愛する。

【注1】 どうも,電力中研の中の,他の人の論文だったような気がする。断定するほどの確信は持てないことをお断りしておくが。でも,電力中研という組織も相当怪しい(妖しい)気がするのは気のせいか?
by papillon9999 | 2012-11-09 23:01 | Comments(2)
Commented by 磐梯朝日国立公園 at 2012-11-11 23:53 x
服部禎男は結構持て囃されています。
こいつは御用でもなくてトンデモなんだ。
Commented by papillon9999 at 2012-11-12 23:29
ググってみると,まるで放射能安全教の教祖様ですな。トンデモ男のありがたい教えで救われたちゅう体験談がずらっと並んでます。
瀕死の人には一時の気休めでも大変有効でしょうが,健康な人がこの教えにはまると・・・・何とも恐ろしか情景じゃ・・・