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御用論理(2:自然界にも放射線があるじゃん!)
2012年 06月 09日
御用論理第2弾!(「御用論理2012-03-06 22:37」の続編。実は書き継ぐたびに記事を更新する新スタイルを考えていましたが,コメントを引き継いでいくのは困難なことにやっと気が付き,敢え無くこの構想は挫折しました(^o^)/。従って,前記事も残ります。(意味がわからない方は,上掲リンク記事をご覧くださいな)。
さて,今回の御用論理とは,以下です! 『低線量被曝が全然恐れるにたらんことは明らかじゃん!すでに自然放射線が年間1mSv以上あるんだから。従って・・・ A:たとえ新たに年間1mSv増えたって,実績があるんだから何の問題もないのは明らかじゃん!(100mSv以下は安全,とは別のカテゴリー) B:100mSvに0.001mSvつけ加わったって,極微線量なんだから無視できるのは明らかじゃん!(100mSv以下は安全,とは別のカテゴリー) いろんな御用学者たちの御用発言を見ていると必ずこういう理屈を吐いている。胸糞が悪くなるのを禁じ得ないが,正確に反論したものもあまり見当たらない(否定したものは無論たくさんあるが,水掛け論に持ち込まれてしまう)ようなのでここで採り上げる。ずうーっと書きたかった。 ここでの反論は主に以下の2点から行い,この御用論理が暴論であることを示したい。 1.放射線被曝によるダメージは積分量であることを無視している。 2.生命歴史上における自然放射線と生命システムとの折り合いを無視している。 まず,1について。この意味を理解してもらうのに一番良いのは喩えを用いて説明することだろう。計算機のケタ落ちの問題を採り上げる。コンピュータによる数値計算で最も注意を要するのは加減算だ。ケタ落ちという現象が知られている。わかりやすくデフォルメして書くが,たとえば100万という大きな数に0.1を加えるような計算プログラムは避けなければならない。コンピュータの答は100万となる。決して1000000.1とは答えてくれない。 これは0.1の部分は記憶桁が割り当てられず,その部分は切り捨てられるからである。0.1は100万に対して無視できる量だから何の問題もない,などという勿れ。この問題は,その加算を1000万回繰り返しても答は100万のままという処にあるのを知ってほしい。切り捨てられた量は累積して実に100万,それがすべてなかったものとなるのである。従って答は致命的な間違いとなることがおわかりだろう。塵も積もればこういう山ともなるのである。これは特殊な話ではなく,計算プログラム(というより結果かな)の信頼性に係る有名な話である。 今回採り上げた御用論理はこのケタ落ち現象そのままの論理である。それは繰り返しが数100回程度であれば確かに問題ないと言える。あるいは1千万回の加算でようやく500となる程度であれば,1000500が1000000という答になっても大きな影響はないといえる。しかし,被曝に関してはそれがいくつまで累積されるのかわからないことが大きな問題である。わずかな量が1回きり,数回きり,というのであれば無視しても良いとしても,たとえばごくわずかでも放射線源が内部にあって長時間そこから被曝するという場合,この加算量はケタ落ちのごとくに切り捨てたら取り返しのつかない致命的な量となる可能性があるからである。 他にも例を挙げてみよう。電気使用量と家計簿,それに金属疲労などがすぐに思いつく。 節電のためにそれこそ待機電力まで切って使用電力量を減らして関西電力の節電に協力する。それはそういう小さい量の一つ一つの積み重ねである。 苦しい家計簿から1円の節約を見つけ出して実行することもそうだ。1円の節約が1個所あっても意味が無いことは確かである。そういうのを焼け石に水という。しかし多くの支出項目で1円,5円,2円と削減できるなら牛肉1kgを買う分が出て来るかも知れない。1の御用論理はこれらを総和せずに,すべて無視することを意味する。牛肉1kg分とは,放射線で言えば癌変異1か所分に相当するかも知れんのだ。 そして金属疲労。1回で壊れるよりもはるかに小さい力(本当は応力という尺度で考える)でも,繰り返し繰り返し力が加えられることで遂に破壊に至る現象である。これも1回あたりの損傷ダメージは無視できるのであるが,繰り返されるとそのわずかなわずかなダメージは無かったことにはならないのである。ほんの少しずつではあるが累積されていくのだ。 次に2について。すでに自然界には年間1mSvかそこらの放射線が飛び交っているという。だからあと年間1mSv余計に浴びても生命システムは大丈夫と御用学者はささやく【注1】。ホントに大丈夫なのか? 自然界の放射線で外部被曝しており,天然カリウムで内部被曝もしている(これは放射線が恐くないということではなく,むしろ怖いということを意味するのだが,低線量被曝の真実(4:放射性カリウムの謎) 2011年 10月 19日を参照),こういうことを以って生命システムにとって放射線はちっとも怖くないのだ,という恐るべき理屈を御用学者は世に蔓延させている。ホントに大丈夫なのか? これらの理屈は実に薄っぺらな未だ科学的根拠のない『精神論』に過ぎない。それなら次のようにだって言える。この世にはある割合でハンデを持った個体が出現することについてだ。それはひょっとしたら進化の起点となる状態なのかもしれないが,多くの場合適応力が低くて生存力に乏しい状態のことが多いだろう。どうしてこのような神様の配剤が生じるのだろうか? それは,ひょっとしたら,ひょっとしたら自然放射線に由来したものかも知れないと思うのである。つまり,生命系システムとは,地球誕生以来の放射線強度が次第に減衰して初めて存在が可能になったもの,そして生存環境に対応して進化していったもの,そして放射線に対しては(他の有害物質も含む)一部を犠牲に差し出すことでようやく自然界と折り合いをつけて生存が許されるようになったもの,なのではないだろうか。 ということは,ようやく生命系システムが手に入れた今の折り合いシステムは,今以上の放射線強度が世に存在するようになると崩れてしまう怖れがあるということだ。現在はこれを科学的に証明できる段階ではないと思うが,十分合理的な安全側の予測として成り立つと思われる。なぜなら,環境問題の本質はいろんな所で折り合いを成り立たせることだからだ。 少なくとも現在の自然放射線との折り合いシステムの考えは万一の生命系全体の崩壊を招来しない。これに対する『放射線は恐くない』という御用論理は環境問題の本質からは外れる方向であり,断定するなど論外の暴論である。しかも御用論理は今現在の極限された私利私欲のためと言うしかなく,もし外れた時は取り返しがつかないものである。どうか,御用論理は科学的に証明してから断定し広めておくれ!それなら私利私欲のためであっても何の問題もないから。 それにしても,一般的に言って医者の放射線問題に対する楽観的な見解は実に不思議だ。あちこちで医者と称する人たちが,放射線は恐くないですよ,と不安を持つ人に対して一生懸命になって不安を取り除いてやっている。確かにそれが無用な不安なのであれば貴重な働きである。しかし,彼らのその根拠が実に心許ないことにあなたはお気づきだろうか?その根拠とは,主としてこれまでの経験なのである。経験と現在の知識のみに依存した発言,しかもそれはチェルノブイリのWHO報告を無邪気に信じた知識であったりする。 少なくとも疫学で確立する前のことが新しいイベントとして今現在目の前で起こっているのである。そういうものに対し,疫学で証明されていないから,ということのみの根拠であのような無邪気な安全コメントがどうしてできるのか,実に不思議だ。放射能安全ということに少しでも貢献したいという不純な動機しか考えられないのだが・・・ 実は放射線の危険とはどういう意味かについて考察している。原爆被爆者で100歳近くまで生きる人がおられるが,一体どうしてだろう,というようなことも含まれる。近々の記事アップをお楽しみに。 【注1】 御用学者はホントは1mSvなんて生易しいことは言わない。御用度によって違うというべきなのか,100mSvまでいろいろ違いがある。しかしここでは最も御用度の低い1mSvで考える。それ以上など,ここでの反論も不要なほど論外も論外なのだから。
by papillon9999
| 2012-06-09 10:57
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Comments(4)
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眠れぬ人
at 2012-06-11 13:35
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おはようございます。
計算機の桁落ちのことは初めて知りました。 そこの例で1000500が1000000いう答になっても大きな影響はないといえると書かれていますが、リスク論から言うとこれでもすごく大きいといえうるのではないでしょうか?1万人に付き5人増えると言うことですよね?誤解だったらすみません。
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papillon9999 at 2012-06-11 19:51
ありゃりゃ,最後の一押しが記事にはなかったですね。誤解でもあるし誤解ではない意味もあります。
これは必ずしも死亡率と直結した数字というのではなく,被爆線量の蓄積のつもりで書いたのです。でもそれが死亡率とどのように関係するかというような話が必要でした。有益な質問ありがとう。 100万単位を浴びる時とそれプラス500単位を余計に浴びるのとの差,という意味なんですが,このプラス500単位でダメージがどのように増えるのかということ問題です。場合によってはこれが無視できるレベルではないのかも知れません。 線形モデルでは,たとえば100万単位の時に1万人に1人(の死亡率)とすれば,プラス500単位で2千万人に1人が加算されるというような話になるのかな。無視できると言ってもその程度なんです。しかもホントは1千万人に1人かそれ以上かも知れないのです。宝くじなら決して当たる気はしないけど,こういうロシアンルーレットなら当たりそうな気がするなあ。ギャンブルに弱いパピヨン! 問題は,御用物理学者や工学者が御用医学者の言を待ってましたとプロモートすることですかね。 無論,あの喩えが死亡率と直結したものなら,1万人に5人というのはきわめて大きなリスクです。
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眠れぬ人
at 2012-06-16 00:31
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こういうのを発見しました。
「低線量放射線でのLNT仮説」成り立たない可能性示唆。バークレー研究所が新たな証拠を報告 http://www.sustainablejapan.net/?p=1065
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papillon9999 at 2012-06-17 17:07
眠れぬ人さん,情報どうもありがとう!
原文はまだチェックしてませんが, ttp://newscenter.lbl.gov/news-releases/2011/12/20/low-dose-radiation/ (New Take on Impacts of Low Dose Radiation) 第一印象では一過性の放射線に対する応答のような気がします。原文調べて報告しますネ。 |