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発電方法と温暖化
2011年 07月 13日
たんぽぽさんの処でずいぶん恥しいコメントを書いて,すぐに気がついたので即削除してもらった。たんぽぽさんと読者のみなさんに,お目汚しをお詫びする。
この恥ずかしいコメントの趣旨は以下のようなものである。 原発推進(今の処は推進まで言う人はかなり勇気が要って当面は少数派だろうが)の理由としてよく挙げられるのが,原発はCO2を出さないクリーンエネルギーということである【注1】。つまり,原発は地球温暖化に関して無辜の存在である,という主張がなされるわけである。 さて話はたんぽぽさんの記事原子力発電のコストとコメントを読んでいた時のことから始まる。その時突然閃いたことがあったのだ。それというのは・・・ 原発は海水で冷却しているから温排水を垂れ流している。これはまあ周知のことであるが,この温排水によっても確実に海水が温められる,これによる温暖化も無視できないのではないか,と思ったのである。だがこれはまあ,周知の事実である。 そして汚水だって無限と思われた地球の容量を超えて海を汚染するのだから,海水温の上昇も必ずいくばくかの影響をもたらしているはずだと思った。しかしこれもまあ,周知のことである。 問題はここから。では一体,原発における海水温上昇による温暖化効果と,その原発を火力に置き換えた場合の排出CO2による温暖化効果と,どっちが影響が大きいのか?こりゃ一体どっちかわからんではないか!と閃いたのである【注2】。科学的な事実次第で,これは原発推進への有力な反論根拠を提供できるではないかというわけである。少なくとも調べる価値はあるはずだ。 ところが,重大なことを忘れていたことにすぐに気がついた。(念のため,「ただし,何か大きな間違いをしているかもしれませんので,その時は笑って許して下さいませ。」と書いていたのがわずかな救いだったが)。 その忘れていたこととは,うっかり系であるが火力でもCO2排出以外に冷却もなされている(必要な)ことであった【注3】。空冷だったら空気中に,水冷だったら川とか海とかに,やはり原発と同様,熱を捨てているのである。だから,火力におけるCO2問題は,この排熱の他に抱えている問題なのである。 CO2は化学的処理によってかなり減らすことができる(コストは余分にかかるが)のに対し,原発の温排水は原理的に無くすことができないから,こりゃかなり火力の優位性が示されるぞ,と喜んだのも束の間,上述のことにすぐに気がついて,あわてて削除依頼に及んだのであった。 以上がコメント削除依頼の顛末である。 本記事では新たな材料を用いて,同じようなことを再考する。もう一つ重要な材料とは熱効率である。同じ発電量を火力と原発でまかなう場合に,必要な供給エネルギーは熱効率の差で大きく違っている。そこで今度は熱効率を入れてじっくり考えてみた。 例えば,火力の熱効率を60%,原発のそれを30%として仮の計算をしてみよう【注4】。100万kWのエネルギー出力(発電量)に対し,火力は167万kW(毎秒167万kJ)のエネルギー供給が必要で,排熱エネルギーは67万kW(毎秒67万kJ)となる。一方,原発は333万kW(毎秒333万kJ)のエネルギー供給が必要となり,排熱エネルギーは233万kW(毎秒233万kJ)に達する。 つまり,排熱量からすると,原発1基分が火力3~4基分に相当する。あるいは,100万kW出力の原発1基を同出力の火力1基に置き換えた場合,排熱量は233ー67=166万kW分節約できことになる。その代わりCO2を排出することになるが,従って今度はこの排出CO2と効率差による余分の排熱量との比較の問題になる。 だけど排出CO2の量がどのぐらいになるか知らないし,その温暖化効果もわからない。そして化学的処理によってどの程度CO2排出を低減できるかも知らない。 だから大変乱暴な議論だけども,しかし,166万kW分の排熱増加による温暖化効果とどちらが大きいかを比べて見るまでは,原発の方がクリーンだと力強くは言えないのではないだろうか,ということを主張したいのである。 でもこれまで,専門家から(反・脱原発サイドからさえ)そのような火力援護説は聞いたことがないので,たぶん温暖化効果は段違いに排出CO2の方が大きいのだろうね。あるいはこの記事の「理論」のどこかに大きな間違いがあるのだろうね。間違いがどこにあるか,だれか教えて下さい。嗤ってもいいです。 まあ,仮にCO2の温暖化効果が格段に大きいとしても,放射能まみれになるよりは,当面,温暖化の方をやむなし,と受入れる必要はあると思う。そもそも,原発だって膨大な熱を海に捨てているわけであるから,温暖化に対してそんなに威張れないはずだし,クリーン度も実はそんなに大差はないのではないかと希望的観測をしているのである。 【注1】 そのためか,反・脱原発派の中には,温暖化の原因としてCO2が犯人というのは疑わしい,あるいは温暖化そのものの事実も疑わしい,ということを主張される人もいる。これについては私自身,何が真実なのか正しくは判断できない。しかしながら,一応はそのような警戒をしておくべきだと思っている。 温暖化が事実としても,それ自体は大したことはないんだ,という論もあるがそれには賛成できない。あの武田センセが主張していたのではなかったかな?これについてはいつか機会がある時に議論するが,ここでは主題ではないので省く。 【注2】 CO2は太陽熱の閉じ込め効果,原発は崩壊廃熱の蓄積効果,いずれも開放系で無から有を生じており(系外からの入力),地球外に熱を捨てなければ温度がどんどん上昇する。 【注3】 発電方法が火力,水力,原子力,と異なっていても,同じ熱効率ならば,同じ電気エネルギーを生み出すのに同じだけのエネルギーを供給する必要があって,同じだけの排熱量を生じる。これは熱力学的法則がどうしても要求する。 【注4】 原子力発電は通常,熱効率は30%と言われる。これに対し,火力発電は最新の技術では60%を超える。最近では天然ガスを用いて80%程度まで出した実績もあるらしい。 この効率の差は,火力では高温,高圧蒸気を使えると同時に,コジェネ技術が使えることも大きく貢献した結果である。 これに対し原発は安全設計上,蒸気は火力ほど高温・高圧にできないとか配管肉厚も薄くできないとか,効率が悪くできている。そして新規建造はおろか,現存原発の改造ももはや無理だと思われるので,最新の技術応用が取り入れられず,効率の向上は望めない。
by papillon9999
| 2011-07-13 09:46
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Comments(10)
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at 2011-07-14 23:09
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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at 2011-07-14 23:09
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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たんぽぽ
at 2011-07-15 22:46
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わたしのブログでのコメント削除のことは、
気になさらないでくださいね。 これからも、どんどんわたしのブログに コメントをいただけたらと思います。 それから、あらためて、ご意見をエントリにしてくださり、 ありがとうございます。 このエントリの後半は、炭酸ガスのような 温室効果ガスを排出するのと、直接熱を放出するのと、 どちらが地球温暖化に貢献するか、という問題ですね。 これは、わたしもよくわからないです。 もっぱら温室効果ガスが問題になるあたり、 直接の熱放出は、わずかと考えられているのかもしれないです。 地球温暖化の懐疑論については、これをご紹介しておきます。 http://wiredvision.jp/blog/ishii/200809/200809111300.html
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papillon9999 at 2011-07-15 23:21
>直接の熱放出は、わずかと考えられているのかもしれない
これについてはCO2との比較ではあまり論じられてはいませんよね。だからまあ,比べるとわずかなんでしょうが,塵も積もれば山となりますからね。 ところで,この記事 http://wiredvision.jp/blog/ishii/200809/200809111300.html の論じ方はなかなかいいですね。そして論旨も結論もほぼ同意できるものです(第3を除いて)。 とくに重要なのはこの部分でしょう。 『第2に、懐疑論は「何もしないこと」への言い訳になりかねません。』 私はCO2効果がどのぐらいの時間遅れでやってくるのかが心配です。もしですよ,今の気温上昇がもし1930年代のCO2排出の所為だとしたら,今の時代の排出は何十年後かに影響を与えるのですが,それはとてつもない大きさになります。 車は急に止まれない! というアレです。今一生懸命削減してもその効果が現れるのは十年後とかなると,その間,ピークに向かって上昇し続けるわけです。おおーって感じ。
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pulin
at 2011-07-16 11:59
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今の菅首相は、ウヨクからもサヨクからも政界からも経済界からもそして大衆からも目の敵にされていて、こんな立場になった首相は日本史上はじめてではないでしょうか。逆境がバネになるなら、この総スカン状態だからこそ菅首相は強いのだと思いますね。他の人だったらとっくに逃亡していますよ。
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papillon9999 at 2011-07-16 22:46
>今の菅首相は、ウヨクからもサヨクからも政界からも経済界からもそして大衆からも目の敵にされていて
大体はそうなんですが,唯一,脱原発派だけからは最後の砦と思われているのです。つまり脱原発派にとってはこの程度であってもここにすがるしかないという極めて身も凍るような現実があります。 それというのは,国民は大体原発安全が神話であること(神話の崩壊)が大体行き通るようになったのですが,それを実現してくれそうな政治勢力が実はないんですよ! 岡田とか仙谷とかにもし引き継がれるようであれば,せっかくの総理の脱原発宣言という物凄い歴史的なエポックが単なる個人の想いになってしまう。それを歴史的事実として重く残すには今は菅を盛りたてるしかないという,何とも悲しいジレンマに陥っています。 それ以外は,より過激な即時停止派(私は即時停止です,当たり前のことでっしょ)はこんなんじゃ生ぬるい,原発利権温存派は別の観点から攻撃するわけです。これは一面では菅自身が自ら招いた自業自得の結果に他なりません。せめてもの原発幻想を打ち砕く最大の機会を菅のバカたれが逃してしまったというこつです。さて,これからどうするのがいいのかな・・ったく・・・
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たんぽぽ
at 2011-07-17 00:23
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>この記事
>http://wiredvision.jp/blog/ishii/200809/200809111300.html >の論じ方はなかなかいいですね 地球温暖化の懐疑論が「周回遅れ」で、すでにおなじ議論を くりかえしている、というのは、わたしもはじめて知りました。 この点に関しては「とんでも」の様相を帯びていますね。 「すっかり議論が終わった」とは言えないけれど、 地球温暖化は正しいと仮定して、さまざまな政策を立てるのは、 じゅうぶん妥当と考えてよいのでしょうね。 >『第2に、懐疑論は「何もしないこと」への言い訳になりかねません。』 これは「懐疑論」のとても深刻なことですよね。 わたしも、この指摘は重要だと思いましたよ。 >(第3を除いて) さきの記事は経済屋を相手にしていますからね。 ビジネスに関心のある人には、大事なことなのでしょう。 >私はCO2効果がどのぐらいの時間遅れでやってくるのかが心配です そういえば、タイムラグはどのくらいなんでしょうね。 具体的な議論を見かけないので、わたしもわからないんだけど、 専門家もあまり考えていないのかもしれないです。
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pulin
at 2011-07-17 06:10
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自民党内の「急進的反原発派」の河野太郎でも脱原発を2050年までに達成するといっているので、その位将来に設定しておくのが結局社会の最大公約数的コンセンサスになるのではないでしょうか。
もう二三回事故が起こればどうなるかわからないですけど。
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papillon9999 at 2011-07-17 08:35
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papillon9999 at 2011-07-17 08:40
>最大公約数的コンセンサス
そうかもしれませんが,電力会社の供給能力の完全公開など隠蔽をすべて取り除いて国民に晒す必要があります。国民はその上で判断する権利があります。 それより送発分離をやったら一発で原発はなくなるでしょう。 |