アルバイシンの丘
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『二大政党制』とは何か
 民主党政権・鳩山内閣がいよいよ船出した【注1】。脱官僚政治によって真の国民主権国家を建設する道のりの第一歩である。ということであれば,パピヨンは非常に期待している。
 これが期待通りになってくれるかどうかはまだ分からない。しかし,これでうまく行かなければもうどうしようもない【注2】ということを強く認識すべきである。というのはこれがまさに千載一遇のチャンスであり,これまで虐げられて来た国民は少々の失敗には眼をつぶってしばらくは(暖かく)見守らなければならない【注3】,それほどの重大事だからである。



 ところで重要なことは,このような好ましい状況が出来したことは,実は二大政党制のおかげなのである。ということで,この記事は,階級史観論者や階級史観ではなくても護憲派に属する人々に新しい観点を示すために書く(そうでない人にとっては問題(弊害)意識すらないから無意味)。
 彼らにとって,二大政党制とは悪魔の制度である。なぜなら,民意を比例的に反映できないからである。二つの政党に集約することを強要されるとはものすごく乱暴なことであり,そのこと自体がすでに「善」ではあり得ない。
 パピヨンも護憲派の一翼を自負するから,この危惧は大変よく理解できる。しかし,一方で,鳩山,小沢を初めとする民主党の連中は,「真の国民主権国家の建設」という素晴らしい理念を掲げながら,「悪」の制度である二大政党制を推進しようとしている。
 そこで,パピヨンは冷静になって,「彼らは(民主党のこと)なぜ二大政党制を主張するのか」ということをじっくり考えてみた。素晴らしい理念と悪の制度推進のギャップは一体どこから来るのか,ということである。すると,得られた結論は以下のようなことである。

 1.北欧型をイメージした,高度福祉社会を実現【注4】するには,二大政党制でなければ実現はほぼ不可能である。
 2.企業活動をベースにした経済社会を前提とする限り,国民の幸福は高度福祉社会で実現するしかない。(つまり,労働者階級の国家建設というよりは所得再分配を図る高度な政治によるしかない。)
 3.高度福祉社会の理念は,すでに階級史観を超越している。従って(高度福祉社会を目指す人が多数であるから),階級闘争の末の革命を待つのは半永久的に実現し得ない。(キリスト教で言う,ハルマゲドンを待つのと同じである。しかもハルマゲドン後の社会が幸福をもたらすものとは限らない。救いようのない官僚社会かもしれない。)

 以上のような結論がもし当を得ているものとすれば,二大政党制を目指すのも十分に理のあることであった。特に,現在の我が国では,国民が幸福になれないのは労働者が搾取されているからというよりは,官僚による富の収奪システムに因るところが大きい。(新自由主義の問題は,一見,搾取問題のように見えるが,実は違っている。分配の問題である。)

 では,次になぜ二大政党制でなければ実現できないかということになる。実は,護憲派から見ると区別がつかないが,高度福祉社会を目指す勢力と旧来の土建国家(いわゆる旧保守政治=一口にラベル貼りは難しい)とは,実現したい理想が違うのである【注5】。(すなわち,旧来保守=えげつない資本主義との闘争という意識)。
 それで,前者(高度福祉社会を目指す勢力)は(好意的に解釈すると),その理想とする社会を実現するために,旧来保守と如何にして分別してもらえるか,と図ったのが,二大政党制なのである。
 それを実現するための選挙制度が,かの小選挙区制に他ならない。中選挙区制ではこれら二つ(極右も入れると幾つも)を峻別できない,という理屈であった。なぜなら,同じ政党で呉越同舟できるからだ。要するに,今までの自民党にもいろいろ居たが,味噌と糞の区別がつかんということである。

 だから,護憲派が思うほど,悪意があって二大政党制が導入されたのではない(だろう)ことは強調したい。(まさか,9条改憲のために大芝居を打つというのはあり得ない)。要するに,,保守の論理なのではあるが,保守にもいろいろある,ということである。)
 別の言い方をすると,わけの分からない(誰が得するかわからない)『革命』よりも,高度福祉社会を真剣に求める勢力の方が(たとえ企業活動を前提とする経済社会を志向しても=資本主義の高度の修正であっても),国民の幸せのためには望ましいということである(ハルマゲドンを待つよりは目の前のより良い幸福)。

 以上のことは,階級闘争史観に留まる限りは絶対に理解できないことである。以上書いたのは,納得するかどうかは別として,二大政党制を毛嫌いしている人に,「なぜそういう悪そのものの制度を志向する考えが存在するか」を拙くも知らせるためであった。

 こういう考察を通して,パピヨンはどう変わったか。それは,一応,現在の状況は二大政党制の良い面が出た,と評価したいマインドを得たことである。ほぼ確実に言えることは,中選挙区制のままでは,あと50年経っても国民は幸せになれないということである。ああだこうだと,官僚の収奪システムはより酷くなる一方,護憲派は相変わらず,9条を守れーーと叫んでいるだけの構図でしかないだろう。その一方では,9条はそのまま残って,「解釈改憲」がどんどん進んで,花より団子ならぬ花を持たされて団子をいっぱい食われる事態が頻発しているはずである。この観点からは,今の民主党政権ではまあ,問題があるようには感じられない(今のところ)。

 しかしながら,二大政党制論者に言わねばならないことがある。今の民主党内閣では問題は無いと仮にしても,ことは制度の問題である。これが一人歩きすることが大問題である。民主党指導部はこれに想いを馳せているか?
 たとえば,鳩山総理。この人は大金持ちらしくて,でも庶民の心が分かるか,という無粋なことはいう必要は無い【注6】。これは逆に利点である。ファシストでもないし私服を肥やす必要も全く無いのである。つまり,自分の信じる理想に邁進できるのだ。これこそ大きな武器,期待の根拠となる(庶民にはうらやましいけど)。だから,鳩山総理の時は問題ないかもしれない。
 しかし,鳩山総理が理想を実現して退任の時期を迎えたとしよう。その後はどうなるか。二大政党制が一人歩きしていく。今度は誰になるか分からないとすれば,これはものすごく怖い状況におかれることを意味する。すると最悪,小鼠がやったごとく,あっという間にどんな世の中にひっくり返るかもわからない。国民をそういうガラスの上を歩ませる制度であることは確かなのである。

 全般に,民主党党員は憲法9条の問題意識が比較的薄い。これは,すでに国政の問題が憲法問題のステージから大きく外れている(あまり必要性が無い)ことから来るのだと思う。言い換えると,憲法問題をさほど勉強しないでここまで来たのだと思う。しかし,高度福祉社会を実現するには何よりも憲法が最大の拠り所となるのであり,特に9条の精神なのである。その精神に基づかないものは空中楼閣のような感がある。従って,これからその重要性をじっくりと学んで頂かなくてはならない(尤も,隠れ自民がいっぱい居るけど)。

 以上のようなことで,二大政党制は護憲派が思ったほど悪意があったわけではなく,その方が早く高度福祉社会を実現できそうで,しかし一人歩きしてとんでもない社会(小鼠社会とかファシズム社会とか)を招きやすいガラスの制度でもある=諸刃の剣=二大政党制推進者は自覚しているか,ということを考察・提起したのでした。

【注1】 想えば,西松献金問題における検察の恣意的捜査により小沢一郎が代表失脚した時,もうこれで終わりか!と暗澹たる気持になったことが懐かしい。
 その後を受けた鳩山さんは大変よくやっているではないか。これにはパピヨンも,お見それしました,という他は無い。むしろ,民主党を瓦解させようと企んだ連中にとってはとんだ思惑外れ。今度の選挙だって,小沢さんのままだったらこれほどの地滑りが生じたかどうか。利敵行為となってしまった感がある。それにしても慌てふためいたパピヨンも反省しなければならない。(理を通すこととは別)

【注2】 「これでうまく行かなければ」と書いたが,階級史観に囚われた人は,「他にもあるではないか,最後の砦みたいに言うな」と言いたくなることだろう。「真の解決は革命しかないのだ!」というわけである。しかしながら,どなたかが書いていたように,今度の政変は「無血革命」とも呼ぶべきものである。いや,そう呼べるように成功しなければならないのである。

【注3】 仮に民主党政治が国民の幸福につながらなかった場合,民主党政権が裏切った所為なのか,一生懸命やってもどうしようない状況があったのか,この二つは厳密に区別しなければならない。

【注4】 階級史観からすると,高度福祉社会とは高度資本主義の最後の悪あがきということになる。しかし,ここではこのような考えを無視する。そもそも企業活動を前提としない経済社会はイメージすることができない。

【注5】 このことは,右翼から見れば,左翼の中の,階級闘争志向派や単なる9条護憲派やその他の人権擁護派や諸々との区別がつかないのと似ているのではないかと思う。

【注6】 生まれながらに巨額の資産を持つということに,本人の罪は無い。欧米には,超大金持ちは(ビルゲイツを始め)社会に還元する余裕がある。守銭奴の新自由主義でうまい汁を吸った成り上り者とは違う文化が厳然として存在する。えげつない金の亡者とはちがうのだ。(と思う。ビルゲイツが成り上り者かどうかはしりません。マイクロソフトは大嫌いです)
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by papillon9999 | 2009-09-17 00:12 | Trackback(4) | Comments(2)
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